「名古屋をどりNEO傾奇者」2024を終えて(思いつくままに…)②
#佐藤匠 さん
今年は、10月の初めに舞台があり、お忙しい日々だったと思いますが、名古屋をどりでは、新しい挑戦として、鳴物の太鼓と日本舞踊をご披露されました。
お稽古場では、相変わらず、明るいムードメーカーの匠さんで、共演者と仲良くお話ししたり、他の代役もたくさんやってくださいました。
今回は、実在した鳴物の三世・住田長三郎先生の役でしたが、
やはり難しかったのは、鳴物の太鼓だったと思います。初めてのお稽古に同行した私は、お稽古の様子を見せていただきましたが、初対面の四世・住田長三郎先生のご指導を受け、ご本人は、とても緊張されてはいたと思いますが、元来の素直さと、ハキハキと、答える体育会系の匠さんを、住田先生が気に入ってくださったこともあり、しっかりとお稽古をしてもらい、その後も、直接先生にご連絡を取り、ご自身でお稽古に通ってくださいました。
舞台稽古まではなんとなく不安もあったようですが、本番の4回は完璧で、他の鳴物の先生方が「初めてでここまでできる人はいない、特に、長唄と比べて、清元の四季三葉草は、難しいのに、よくここまでできた!」と、絶賛されていたほどしっかりと、取り組んでくださいました。 (鳴物は、掛け声も全て決まっていて、タイミングも必要ですが、はじめはなかなか、声が出せない人がほとんどらしいので、匠さんがとても優秀な事は、お稽古場にいた、舞踊家達は、皆よくわかっていました。)
「名古屋をどり」振り返り公演でもお話が出ていましたが、
実話としてあった、鳴物の掛け声が機関銃と相通づると言う話は、現在の鳴物の先生方も、大きい先生(三世長三郎先生)から、昔の「名古屋をどり」の、鳴物部屋で、何回も聞かされていた話らしく、
その場面では、舞台を見ながら大きい先生のことを思い出して、毎回涙ぐんでしまっていました。と言うことを後から聞きました。
今回、残念ながら、カットされた場面では、猛の心の中の師匠が現れて、「勧進帳ってなんだかわかるか?」と猛に聞き、そこで勧進帳とは、と言う説明をすると言う場面ですが、猛に「自分の人生は自分で切り開くんだよ!」と言うことを教えると言う場面でした。
BMK解散…と言う今の時期の、匠さんが、この場面でこの師匠の言葉を聞き、どんなふうに自分の道を歩んでいくのかな?と、なんとなく思って観てていました。
“師匠"に言われても言われなくても、きちんと自分で考えて進んでいくんだろうなぁと思ったわけです。
私個人としては、去年からの匠さんしか見ていないわけですけれども、今年は、日本舞踊をしっかりと踊られた事もあり、「やはりこれからも、舞台には立っていてもらいたいなぁ」と、心の中で願っております。
今後のさらなるご活躍を楽しみにいたしております。
西川陽子
※写真・浮辺奈生子