第54回『ホストクラブにやってきた「枝」のお客さんにガチ恋された話』
うぃす! 大阪男塾の塾長です。
今回は僕がホストをしていた頃に「枝」のお客さんからガチ恋された話を書くっすね。
ホストクラブでよく使われる業界用語として「枝」っていうのがあります。
「枝」は、指名のあるお客さんと一緒に来たフリーのお客さんのことっす。
お客さんを木に例え、指名のあるお客さんは「幹」と呼んで、そこへサブ的についてきているお客さんなので「枝」ってよばれるようになったみたいっすね。
ホストからすれば「枝」は、今後、自分を指名をして来てくれるお客さんになる可能性があるので、その出会いをチャンスに変えられる可能性が十分あります。
先に関係性をお伝えしておくと、今回の話では「幹」に当たるのは妹さんで、「枝」の女性は姉。ある日、姉妹で来店してくれたんすよ。
「お姉ちゃんが家庭のことでストレス溜めてるから癒してあげてほしい」という理由で妹が「枝」のお姉ちゃんを店に連れてきたんす。
席についた僕は「枝」のお姉ちゃんと話をすることになったんですが、
聞けば「夫が、かなり厄介な人で困りはててる」とのことで、普通に「大変やな」と思った僕は共感をしながら親身に話を聞きました。
すると、次の日またお店に来て、
「あなたのことが大好き!」「私と付き合って!」と言い出してぐいぐい迫ってきたんです。
僕は「いや無理っすよ。だってあなた結婚しててご主人いるんでしょ?」と返しました。
でも全然聞いてもらえず「好きやから付き合って」の一点張り。
こんなやりとりが、何度もありました。
なんべん言われようが、僕の意見は変わらず「結婚してるから、無理」というもの。
そしたら、この女性が1週間後、思い切った行動に出たんです。
意味ありげな笑みをたたえながら来店したかと思いきや「あなたのために離婚してきた。だから付き合って」と一言。
「え、なんで?」一瞬頭にハテナが浮かんだ後、「こわっ!」って思ったっすね。
はっきり言って、こんなもん絶対に僕のためやないですからね。
「あなたのため」って言ってますけど、絶対に「自分のため」っす。
僕は離婚してくれとは、一言も言ってないすからね。
むしろ、夫婦生活が上手くいくようにストレスの捌け口として話聞いてあげてたらぐらいっすよ。
なので「離婚してくれてありがとう。ほな付き合うわ」なんて僕が言うはずがありません。そのあとも、あの手この手で色んな理由をつけて交際を断ったんですが、なぞのモチベーションを発揮して、全て乗り越えてくるんす。
「忙しいし今は恋愛してる余裕ない」
「大丈夫、私そういう人慣れてるから」
「ホストっていう仕事は毎日忙しいから付き合っても会えないからごめん」
「じゃあ店に会いに来る」
「ごめんだけどタイプじゃない」
「どんな人がタイプ? 私頑張る」
「借金あるし大変て言ってたし、今は恋愛するタイミングじゃないんじゃない?」
とやんわり断れば、
「自己破産してきた」
しまいには、店に来てもらうことも気をつかって
「仕事してなくてお金ないやろ?無理して来てほしくないから」
と言っても、
「私、夜の仕事戻った。昔やっててん」
逃げれないんす。とことん追い詰められる感じっすね。
何ヶ月もの間、ほぼ毎日店に来てくれました。
それ自体はありがたいんやけど、僕的には「なんかなぁ」と。
ぶっちゃけ、僕の気持ちを全くみてくれてない。
そしたらある日、「たくま(※僕の源氏名)が振り向いてくれない」というのをヘルプしてたお店の従業員に相談してたらしいんすよ。
もちろん従業員は、ヘルプなんで親身に聞くじゃないすか。
そしたら次はその従業員のことを好きになったみたいで、裏でそいつにこう相談してたんです。
「私はたくまじゃなくて、あなたと付き合いたい」と。まじで身勝手っすよね。
ただ、それ自体はお客さんの自由だしどうでもいいんす。
問題はその後で、相談された従業員が、
「たくまを指名してるから付き合えない」
こういう断り方をしたんす。
じゃあどうなるか?
「大丈夫! 指名変えるから!」
お店のルール上、ホスト側に何か大きい過失がない限りは指名替えは無理だったんで、そのお客さんはそれから店には来なくなったんすけど、それから10年以上たって連絡がありました。
「今、困ってるねん。お金を貸してほしい」
僕の自分ルールの中に
「お世話になった人には、必ず1つは恩を返す」というのがあります。
その人には世話にはなったし、何も言わず100万近く貸しました。
後日ちゃんと返してくれたんすけど、その時に「またあなたと付き合いたい」って言われたっす。
前の傾向も踏まえて今回は、やんわり断るのではなくキッパリ断ることに。「一切、女性として見れないし、100%好きになることはないからごめんなさい」と伝えたんす。
それ以降また金を借りようとしてきたんで、ブロックしてます。
こういう人は結局、その都度その都度で自分に都合のいい人が好きなんす。
相手の気持ちなんか考えてなくて「相手を自分を満たす道具くらいにしか考えてないんか」ぐらい思ったっす。
実際にその人にはたくさんのことをしてもらいましたが、情を感じたことは1度もありませんでした。
自分の気持ちが移ったから指名変えるっていう行為も、こっちの立場とか顔を全然考えてないっすよね。
別に好きな人作るんはいいけど「俺らの知らんとこでやったらいいのに」「なんでそれをできひんのか?」って思うっすね。
僕は社会の競争の中で生き残るために人を蹴落すのはいいと思うんす。けど、人付き合いでそういうことをやるのは、ぶっちゃけ下品っすよね。
この時の経験で僕は自分本位で人と接するのではなく「相手をしっかり見る」「相手の気持ちを汲み取る」その上で、人を大事にする。
これを徹底しようと決めました。
もちろん僕なんかぷっぷちゃんなんで、できてないことも多いんすけどね。
色んな人と出会い色んな人と深く関わることで、色んな角度の考え方や価値観を身につけられます。
渦中にいるときは、「しんどいなあ」と感じることもあるっすけど、やっぱり体験を通じて学べたことは全部、自分の中の財産っすね。
ほんま色んな人がおるっすわ。
最後まで読んでもらって、あざしたぁ!!
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