第71回『頑固なホストがステップアップできるかは「無知の知」への理解が鍵を握る』

うぃす! 大阪男塾の塾長です。

僕はホストを辞めた後、ホストクラブのオーナーになり、今はお笑い芸人として活動を行っています。

ホストとお笑い芸人には、ある共通点があります。

それは頑固なこと。

ホストもお笑い芸人も心底「俺が一番や!」と信じている人が集まる業界ですから、おのずと自我の強い人間が多くなるんです。

自分がなさすぎても難しいので「この辺は、ほんまに紙一重やな~」というところっすね。

僕は今、ホストクラブのオーナーとして、毎月15人ほどのホストを面談して、今後の目標設定や改善点を具体的に伝えてます。

ホストとしてキャリアが浅い人間には、長所へのフォーカスを意識して「お前のええとこはここやから、もっと伸ばしていこう」という伝え方をしますね。

人間はほめられると喜ぶ生き物ですから、面談のあとにぐんぐん伸びていくホストも珍しくありません。

ただしそのあと、必ず壁にぶち当たるっす。そこから真価が問われますね。

次のステップに進もうと思ったら、自分の短所と向き合いそれを改善することが求められるんすよ。

ホストは快楽主義者が多いっすから、楽しいことはなんぼでもできるんすけど、しんどいことに向き合うのを避けたがる人間が少なくありません。

でも、ここが分岐点。

これまでのやり方にこだわって「俺はこれでいいんすよ!」と変化を拒むタイプもいれば、果敢に自分の短所の克服に挑むタイプもいます。

もちろん、将来成功しやすいのは後者のタイプっすね。

実は、自分の改善点をわかっている場合がほとんど。「俺の弱点はここなんやけど、でも指摘されたくないねん」というのが本音やと思います。

だからそこに触れると、露骨に嫌な顔をするホストもいますね。

今、ホストクラブ「大阪男塾」で安定してナンバー入りできてるSというホストがいるんすけど、彼はしっかり短所の改善に取り組めるタイプっす。

なかなかポテンシャルのあるタイプだったんすけど、目標設定を低くする気弱なところが弱点でした。

「月間売上の目標は?」と尋ねたら、Sは最初「200万です」と答えてました。

彼はその範囲内だったら、負担なくやれるでしょう。でも、それだと成長は見込めません。

僕は「お前の能力を考えたら200万は低すぎる。3倍の600万を月間目標にしよう!」と伝えたんすね。

最初は「600万なんて、達成できるんですかね……」と自信なさげなSだったんすけど「どうやったら達成できるか具体的に考えて、逆算して動くのが大事やで」と伝えました。いろいろこちらからアイデアも出しました。

結果、どうなったかといえば、見事に「月間売上600万円」を達成。よく頑張ったと思いますね。

ただし後日談があって、そこから彼は自分に自信を持ちすぎたようで「一人で自分のやり方を試したい」と言ってきたんです。

これもあるあるで、やっぱり本質は男なんで、自分の力を試したいと思うもんっすよね。

そうなると、必ずどこかで頭打ちになります。そこで「あっ、俺、調子に乗ってた!」と気づける人間は、まだ見込みがあるんすよ。

それにすら気づかずに「俺は俺のやり方でやるんで」と意固地になるヤツは、確実に成長が止まります。
中には「俺のやり方が通用しない=向いてない」となって、辞める選択を取るヤツもいるんすね。

Sのえらいところは「すみません、塾長、僕調子に乗ってました。またあかんところを指摘してください」と反省して、素直に頭を下げられるところっす。こういう素直さは、めっちゃ大事ですね。

なんのために僕がいるかと言えば、その子の今のベストの状態を把握した上で、育てるために教える、足りないところを補うためっすよ。あと、もちろん、バランスを崩した部分を見つけて建て直してあげる役割もあります。

これはメジャーリーグのコーチと似てるっすね。
メジャーのコーチは、普段練習してる選手を見てるだけで何も言わないんす。
でも選手が調子を崩したりして相談してきた時に、普段のフォームや練習データ、映像などものすごく大量の資料を持ち出してアドバイスするんすよ。

これはすごく大事っす。

そういえば最近「無知の知」という言葉を知りました。

古代ギリシアの哲学者のソクラテスが定義したとされてる「無知の知」は、ざっくり言うと「自分は自分がそれを知らないことを知っている」です。

知らないことって、そもそも自分には見えてなくて理解できないものなんで、それを見ようとするのってめちゃくちゃ難しいんすよね。
ましてや「見えない欠点や足りないものを受け止めろ」っていうのは結構なストレスなんです。

人は楽したい生き物なんで「自分ができることだけを、負担をかけずに続けたい」という甘えた気持ちが、やっぱどっかにあるんやと思います。

それゆえ「無知の知」を突きつけられたときは、ショックですししんどいんす。

でも僕は例え理解しきれてなくても「成功するために足りないところを指摘されるのはありがたいし、覚悟を決めて信じて努力しよう」と思うことにしてるっす。

もちろん僕が実行するのは、自分が信頼してる人や、結果を出してはる人の言うことに対してですけどね。

改善点を指摘された直後に葛藤を感じるかもしれないっすが、自分が変わっていったり成長を実感できるのは、まぎれもなく人生の喜びっす。

だから僕はタイミングを見定めて、ホストに「相手がまだ気づいていないこと、気づくのを無意識に避けてること」を積極的に伝えています。

僕も周囲の人から「無知の知」を突きつけられたことが、これまで山ほどあるっすけど、「言いづらいことを、よく伝えてくれた」と感謝してるっすよ。

たまに幸太郎が「塾長、ちょっといいですか?」と告げてきた際は内心「黙れ、たらこ唇!」と思いつつも、伝えてきた情報だけはしっかり耳にいれるようにしてるっすね。

どんな仕事でもレベルアップしていくためには、客観的に自分を見つめて改善点を洗い出して、欠点の克服に励むことが求められます。

つらいこともありますが、やっぱ改善点を無視しての向上は絶対にないっすからね。

最後まで読んでもらって、あざしたぁ!!

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