2023ベストアルバム30【邦楽編】20位〜11位
邦楽編、2回目は20位から11位!!
洋楽編および30位-21位は下記リンクからどうぞ〜。
◎2023年邦楽ベスト : 21位〜30位
◎2023年洋楽ベスト : 1位〜10位 / 11位〜20位 / 21位〜30位
※本文中の"今年"は2023年、"昨年"は2022年を指します。
20位 OKシンセサイザー / ザ・リーサルウェポンズ
主に1980年代〜90年代音楽へのリスペクトとオマージュに満ち溢れた異色の日米2人組ユニット・ザ・リーサルウェポンズ、1年半ぶり・2枚目のフルアルバム。AI-KID(日本人)が作詞/作曲/編曲/Gt/Key/プロデュースに加えて全曲のMV監督を担当。サイボーグジョー(アメリカ人)はボーカル担当です。ちなみにAI-KID氏は年齢非公表・群馬県前橋市出身だそうですよ(そこは隠さないんですね)
80's・90'sの音楽へのオマージュで溢れたMVは馬鹿馬鹿しさ全開・・なんですけどまあ楽曲が本当によくできていて、おっさんホイホイというかなんというか笑
本作も往時のシンセポップを実によく解析/再構築していてたまらないものがあります。パッと見IQ低そうですけど(失礼)実は音楽IQクソ高いという・・。
[MV]『キングオブポップ』The Lethal Weapons
今作で一番好きなのはこちらですが、歌詞に某MJの楽曲からのフレーズが散りばめられてたり、イントロにあの曲のあのリフ、シンセベースの印象的なフレージング、MVではあのサングラス等々、細かい元ネタを探す喜びがありますね。
もちろん特にコレといったわかりやすいオマージュ元がない曲も秀逸で、とにかく根っこのキャッチーさが揺るぎなく、実に良く練られた作品だと思います。
[MV]『仮想通貨サンバ』The Lethal Weapons ビットコイン
わたし仮想通貨はだいぶ前に微妙なプラスでやめたので大丈夫なんですけど、株はちょっとアレな銘柄をいまだに持ってたりするので(大腸を半分摘出する手術にむかう前に、このまま死ぬかもしれないし一応念のため損切りしとこう、と指値を入れておいたけど麻酔が醒めてみたら1円届かず反転暴落しててそのまま塩漬け)、実に身につまされますねぇ笑 いつかライブで一緒に絶叫したいものです。🎵塩漬け損切り大・失・敗(ぎゃー)🎵
19位 Steppin’out / KIRINJI
KIRINJI、約1年9ヶ月ぶり・通算16枚目のフルアルバム。1996年に堀込高樹氏(兄)と堀込泰行氏(弟)の2人で結成。2013年に弟・泰行氏が脱退するも、その後一気に5名の新メンバーを参加させ、バンド形態で約8年間活動。そして2021年以降は堀込高樹氏のソロプロジェクトとして活動・・と、なかなか複雑な経歴のKIRINJIですが、本作は今年の4月に自ら設立した新レーベル「syncokin(シンコキン)」からのリリースです。シンコキン・・新古今ってこと?
KIRINJI - New Album「Steppin' Out」[DIGEST]
リリース時のご本人コメント通り、本当に全編に渡って捨て曲のないアルバム。オープニングナンバー"Runner's High"からして疾走感に溢れる素晴らしいサウンドで、一気に引き込まれます。
KIRINJI - Runner's High [Official Short Movie]
アルバムに先駆けて配信リリースされた韓国の人気ロックバンドSE SO NEON(セソニョン)とのコラボ楽曲"ほのめかしfeat. SE SO NEON"は夏の夜の気だるい雰囲気を漂わせた良曲。前作「crepuscular」はバンド形態からソロへ移行して最初のアルバム、かつコロナ禍の真っ只中ということもあってか、抑えた楽曲が目立ちましたが、本作はほんのりと明るいトーンの楽曲が多く、全編通して心地よく聴けます。
KIRINJI - ほのめかし feat. SE SO NEON(Official Music Video)
18位 ハザード オブ ラブ / 曽我部恵一
'90年代から活躍するサニーデイ・サービスのボーカル、曽我部恵一さん(52)のソロアルバム。なんと同日にもう一枚、"ヘブン 2"というラップ主体のアルバムをリリースしていて、本作は歌モノの楽曲が主体(と、言いつつこちらも1曲目はラップ+歌だったりするけど)。まあ個人的な好みでいうとわたしは断然こっちです。
曽我部恵一 - まる。 [Official Video]
彼の場合あまりに多作かつライブアルバム等もたくさんだしているので、通算何枚目かもうわからないのですが、近年はソロと並行して再結成サニーデイもやってるわけで、この旺盛な作曲意欲はいったいどこからくるのだろうか・・。2枚あわせて20曲ですよ? しかも数年ぶりのアルバム! とかならまぁわかるけど、前年にもソロアルバム2枚出してて、サントラも2枚出してるんですよ?? あ、あとサニーデイのアルバムも出してたわ・・。
観覧車 / 曽我部恵一[Audio Only]
正直アルバム全体としてサウンドやミックスの仕上げについてはやや荒いところもあり、(僭越ながら)個人的にはもう少し詰めたらもっと名盤になるのでは?という思いもありますが、いやでも、これはたぶんこの形が正解なんだろうな・・という気もします。
さっき"もう少し詰めたら・・"って書きましたけど、やっぱりこの、"今、歌っておきたかった、歌わなきゃいけなかった曲たち"ってところが肝なんでしょうね。
曽我部恵一 - 運命とたたかえ [Official Video]
そういえば今、曽我部さんの中でこの曲はソロ、この曲はサニーデイっていうラインはどこにあるのかな?? 最近インタビューとか全然読んでないのでちょっと気になりました。今年はサニーデイのツアーあり、映画「ドキュメント サニーデイ・サービス」公開あり、さらにはこうして新作2枚同時発売ありと、いったいどんだけ働くんだという感じですが、くれぐれも、ぐれぐれも健康だけは! 気をつけてくださいね、曽我部さぁん!(切実)!
17位 夢中夢 /Cornelius
小山田圭吾さん(54)のソロユニットとして1993年より活動を続けるコーネリアス、前作「Mellow Waves(2017年)」以来約6年ぶりとなる待望のフルアルバム。それと今年は(コーネリアスとしての)活動30周年だったんですね! あまり大々的に周年をお祝いするような方でもないと思うので、全然気がつけきませんでしたが。あと小山田さんの場合、活動歴はフリッパーズギター時代から数えるのが正しいのかもしれませんが。
Cornelius「変わる消える - Change and Vanish」Official Audio
'90年代の傑作シングル"STAR FRUITS SURF RIDER"を彷彿とさせる小山田さんらしいメロに"POINT"以来続く演奏やSEの隙間をパズルのように組み合わせてつくられる独特の"間"を最大限活かしたアレンジがとにかく心地よく響きます。
Cornelius - 火花 - Sparks
小山田さんといえば21年夏、過去に行った(とされる)いじめとそれに関するかつての雑誌インタビューでの露悪的な発言を持ち出されて激しい批判が巻き起こり、東京オリンピックの音楽監督を降板することになった騒動があり、その余波で高橋幸宏さんらと組んでいたMETA FIVEの新作(にして最終作)も発売中止に追い込まれたりと、このままでは2度と表舞台には戻ってこれないのでは?と長年のリスナーからすると非常に歯がゆい状況でしたが、なんとか持ち堪えてくれてこうして新作が聴けたことは正直ほっとしています。(彼の過去の行いの是非、またその発言や記事の真実性などは本稿の趣旨とは直接関係がないのであえて触れません。)とにかくこれからも良い作品を出し続けてほしい、願うことはそれだけです。
16位 replica / Vaundy
一昨年あたりから大型タイアップつきのリリース数が凄まじいことになっている売れっ子シンガーソングライター・Vaundy(23)、待望の2nd Album。・・ってゆうかまだ23歳なのか・・。一昨年のデビューアルバム「ストロボ」発表以降は、配信シングルを切れ目なくひたすらリリースし続けていたので、もしかしてこれ、もうアルバムという発表形態をとらないのでは?? とも思いましたが、既発曲をまとめたDisk2と、今年後半につくったばかりという最新モードの自分をパッケージしたDisk1の2枚組、なんと全35曲!!!(ただしSE4曲含む)という驚愕のボリュームでリリースしました。
【PART 1】Vaundy 2nd Album “replica” special on YouTube [ MUSIC VIDEO WATCHING PARTY ]
ここまでくると正直曲もどれのせたらいいかさっぱりわからんのでとりあえず全部盛りで・・一時間半ありますけども笑 しかしどこをどうきってもクオリテイが異様に高く、何がどうしてどうなったらこんなペースで創れるのか・・。
傾向としては、タイアップなどがついてリリースされた既発曲・・いわばある種のクライアントワークでもあるDisk2はとにかくキャッチーでとっつきやすいのに対して、ロック色強めのDisk1は影響を受けてきたアーティストへのリスペクト、オマージュが炸裂していて、ゴリッと荒かったり暗かったりで、これってそんなにVaundyに求められてるものでもないような気が・・とか思って聴いてたんですが、、MV見るとまぁめっちゃくちゃかっこいいですね。うーん。
ZERO / Vaundy:MUSIC VIDEO
なんにせよ今という時代を代表するすごいアーティストでありすごいアルバムには違いないし、自分も好きで聴いてきた配信シングルがたくさん入っているので、当然こうして2023年ベストにも入れているのですが・・いかんせんボリュームが凄すぎて、全く消化しきれていないというのが本音です(リリースが11月なかばと遅く、ちょうど年間ベストのために他のアルバムを聴きまくっているタイミングだったこともあり)。
アルバムとしてのトータリティも考えられてはいると思うのですが、特にDisk1は流れを理解できるほど聴き込めているかというとそこまではいかず、結果最終的にこの位置におちつきました。Disk2は単純にヒット曲満載のベスト盤としてとらえれば聴きやすいんですけどね。本人的にはDisk1が本来的な意味での"アルバム"であって、Disk2は"豪華な特典みたいなもの"という位置付けのようですし。ともかくもう少し時間をかけて自分なりに咀嚼していきたいと思います。
15位 ひみつスタジオ / スピッツ
もはや国民的ロックバンドといっても過言ではないベテラン・スピッツ、前作『見っけ』から3年半ぶり、17作目のオリジナルアルバム。
スピッツ / 紫の夜を越えて
本来は文中の「跳べ」を貼りたいところですが、YouTubeにはなかったのでこちらを。結成35年を越え、大舞台を数多経験してきてなお、4人だけで音を鳴らす喜びを語るメンバーが本当に素晴らしいなと思います。バンドって本当にいいものですね・・。実際、本作は4人のバンドサウンドを中心としたかなりストレートなアレンジが多い印象(もともとアレンジにおいて過度な装飾は少ないバンドですが)。
スピッツ / 大好物
バンドを組んだ経験のない方でもなんとなくわかると思うのですが、これは本当に稀有なことで。ましてこのクラスのバンドでこういった気持ちをメンバー全員が持ち続けられるというのは・・ある種の奇跡といっても差し支えないし、それが音になって結実しているのが今作と言えるのではないでしょうか。
スピッツ / 美しい鰭 Spitz / Beautiful Fin
上白石萌歌さん主演のショートムービー仕立てのMVが楽しいこちらの曲も、まさにスピッツ! という王道のメロディでありつつ、ちゃんと"2020年代の今鳴らすべき曲"として成り立っているのがすごいですよね。
最後に、YouTubeに上がっていないもので気にいったものをいくつか。デジタルミュージックにエスニックな民謡を入れる手法を試したい、とのことで作られた"未来未来"ですが、ゲストで民謡パート(裏メロ)を歌っているのは朝倉さやさん。この方、結構前(2014年)にYouTubeでスピッツの"楓"をカバーしてバズってた方です。これがまたほんとに素晴らしい出来で、当時感動してよく聴いてましたが、まさか本家とコラボされるとは・・!!! なんだか嬉しくなります。
また、17枚目にして初めてメンバー全員でボーカルをとった"オバケのロックバンド"がほんわかしつつかっこいい、まさにスピッツでなければだせない空気感で最高です!
それにしても同時代を生き抜いたメガヒットバンドの双頭とも言えるとスピッツとミスチルのコロナ禍以降初のアルバムがこの2023年に同時に出るというのもすごいし、内容がまた実に対照的で興味深いです(ミスチルはあとででてきます笑)。
14位 HIROBA / HIROBA(水野良樹)
いきものがかりのリーダーであり、多種多様なアーティストへの楽曲提供でも知られるソングライターの水野良樹さん(41)が、「"考えること つながること つくること"これらをもっと豊かに楽しむための"場"を他ならぬ自分自身の手でつくりだしたい」というコンセプトのもと、立ち上げた新プロジェクト「HIROBA」。
2017年、いきものがかりを放牧(いわゆる無期限活動休止)してから、2019年の集牧(いわゆる活動再開)までの間の2年間で、80曲もの楽曲提供を行ったという水野さん。以降もいきものがかりとしての活動と並行し、楽曲提供を続けています。
わたしは水野さんの提供楽曲の中でも一昨年上白石萌音さんに提供し大ヒットとなった"夜明けをくちずさめたら"という曲が大好きで、また、番組名は失念しましたが、ソングライティングにおいて留意していることを語る番組でメロディと歌詞の母音/子音の関係など、非常に細かいところに留意しながら楽曲を仕上げている話を聞いて感銘を受け、以来ずっと注目しています。
そもそも考えてみれば、いきものがかりとしてキャリアの最初の10年ほどで既に朝ドラ主題歌やオリンピックのテーマソングなど、数々の大型タイアップ曲を書き上げているわけで、この世代で最も優れた職業作家のひとりだと思っています。
ただ いま(with 橋本愛) Music Video -Narrative- | HIROBA 2023.2.15 発売
今作では女優の橋本愛さんがボーカル、そして初の作詞で参加した「ただ いま」がお気に入り。てゆうか橋本愛さんめちゃめちゃいいな・・ゆいちゃん・・。この曲のMVは喫茶店で書き物(作詞?)をする愛さんを引きで撮ったオリジナルバージョンと、歌っている表情をアップで追ったこのナラティブバージョンと2つあります。
HIROBA『南極に咲く花へ』(作詞:宮内悠介. 唄:坂本真綾. 編曲:江口亮. 作曲:水野良樹)
こちらは2021年に発売されたCD付きの単行本「OTOGIBANASHI」からの再収録。重松清さんや宮内悠介さんなど5人の小説家が書いた歌詞をもとに、それぞれが小説を書くのと並行して、水野さんが楽曲を制作。さらに各楽曲のイメージに合わせて歌い手を選出しています。この曲は声優の坂本真綾さんが担当し、他の曲では俳優の伊藤沙莉さんや柄本佑さんなど、実に多彩な顔ぶれが参加されています。
HIROBA 『YOU』レコーディングドキュメント(Short ver.)
そして本作のハイライトはやはり、大先輩である小田和正さんと世代の枠を越えて向き合い、約半年間にも及ぶ制作期間を経て完成した"YOU"。HIROBAプロジェクトの最初の曲ですね。そして、小田さんの「自分の言葉を、自分で歌う経験をしてほしい」という願いから、水野さん自身がボーカルを務めた"I"。
今作は一般的なソロ作にありがちな単に水野さんが普段できないこと(=いきものがかりらしくない音楽性の曲)ばかりをやるわけでもなく、彼自身がシンガーとして全曲を歌うわけでもありません。歌い手だけではなく演者、演奏者、小説家など、水野さんを中心に様々な才能が集い、つながり、作品として結実する、まさに広場のようなアルバム。本作は立ち上げからの活動の集大成と位置付けられていますが、このまま単なるサイドプロジェクトではなく、ライフワークとしてぜひ続けていってくれることを期待します。
13位 THE CHARM PARK II / THE CHARM PARK
韓国生まれ、米ロサンゼルス育ちで、日本を中心に音楽活動をしているシンガー/マルチサウンドクリエイター Charmさん(36)のソロプロジェクト、THE CHARM PARK(ザ・チャーム・パーク)。作詞/作曲はもとより、歌/ギター/ベース/鍵盤/プログラミング、そしてレコーディングやミキシングまでをほぼ彼一人で行っています。
今作はタイトルに"II"とありますが、2ndアルバムという意味ではなく、セルフタイトルのアルバムとしては2017年の1stに続き2枚目、ということですね。これまでにミニアルバムを3枚、フルアルバムを本作も含め5枚リリースしています。
フシギ[Audio Only]
もともとは大好きな大橋トリオがわたしの地元・盛岡へライブツアーにきた際、サポートギタリストとして帯同していたのが彼でした。大橋トリオの多彩な曲を弾きこなし、楽曲の魅力を増幅するすごくいいギタリストだなと思っていたら、物販に彼のCD(A Letter EP)が置いてあったため、試しに購入してみたのが最初でした。
THE CHARM PARK - Slow Down[MV]
いやしかしほんとなぜもっと売れないのか謎・・。スケールの大きいメロディに優しい声、良く練られたアレンジと、個人的には評価めちゃくちゃ高いのですが・・。強いていうと、歌詞が日本語/英語混在(曲にもよるが、どちらかというと英語のウエイトが高い)で、響き的には絶妙なんだけど、邦楽としては少し伝わりづらいのかも。とにかくなんとかしてもっともっと多くの人に聴いてもらいたい、お気に入りのアーティストです。
THE CHARM PARK 「セルフノート」(映画「オレンジ・ランプ」Special Collaboration Movie)
追記 : いったん書き終えたあと、この映画主題歌のスペシャルコラボムービーを見つけてそうそう、これこれ!! こういうこと!ってなりました。映画の内容にもぴったりあっていて、すごく素敵だと思います。こうやって彼の音楽が少しずつ広まっていくことを願っています(ほんとにただのファン)。
12位 幻燈 / ヨルシカ
n-buna(Gt / Composer)とsuis(Vo)による2人組バンド・ヨルシカ、EP『創作』以来約2年2ヵ月ぶりの作品。「作者が作品より前に出ないようにしたい」とのコンセプトから、2人の顔や詳細なプロフィールは公開されていません。
ヨルシカ - 都落ち
本作は2020年の「盗作(3rd Album)」以来久々のフルアルバムですが、今回この2023年ベストをまとめるにあたりオフィシャルサイトを確認してみたところ本作を"音楽画集"と呼んでおり、なんと今まで自分が聴いていたもの(Apple Music版=全10曲入)はダイジェスト版でしかなかった、という衝撃の事実が判明笑
ミスチルが2015年にリリースした大作「Reflection」でゆうところの{Naked(限定版ボックスセット/全23曲)}と{Drip(通常盤CD、Nakedから厳選全14曲)}みたいなもんですね(その例えいる?)。
ちなみに【音楽画集「幻燈」】の詳細は、以下。
ま・・まじか・・。となるとあれですか、わたしは本作の半分も聴いていないことになるわけで、まして画集や専用音楽再生ページなども含めた"体験"となると今作全体の何分の一かを味わったにすぎないのですね。まいったな・・・。
音楽画集「幻燈」(Album Trailer)
Amazonの購入者レビューをみたところ、専用音楽再生ページもつくりこまれていて体験として素晴らしいとの感想が。こういう造り手としての創意工夫は本当に頭が下がります。そういえば以前、わたしがヨルシカを初めて知った「創作ep」の時も、通常版のCDのほか、ディスクのないCD(つまり、歌詞カード/ブックレットとダウンロードコードだけ封入)を販売していました。楽曲そのものはデータでもいいけれど、作品を何かフィジカルで所有したい、という要望にこたえてのもので、実に面白い試みだな、と強く印象に残ったことを覚えています。
ヨルシカ - ブレーメン(OFFICIAL VIDEO)
とはいえ、サブスクで配信されている10曲だけでも実に完成度の高いアルバムであることに違いはなく、この位置に入れさせて頂きました。曲はもちろん、歌詞も抜群に良いです。特に和の要素を織り込むのがとても巧みで、歌詞だけ読んでいても唸らされます。また、あまり言及している人が少ない気がするんですが、ヨルシカは各楽器やボーカルの録り音がすっごく良いんですよ。ミックスも良くてとにかく耳に心地よい(もちろんプレイもよい)。音響的な快楽という意味も含めて、今若手でいちばん好きなバンドです。
11位 異空 / BUCK-TICK
1987年11月のメジャーデビュー以来、不動のメンバーで活動してきた5人組ベテランロックバンド・BUCK-TICK。昨年でメジャーデビュー35周年を迎えたのちも、衰えない創作意欲でリリースを続け、今年は23枚目のフルアルバムとして本作「異空」を発表。このまま順調に活動が続いていくと誰もが思っていただけに、10月末にボーカル・櫻井さんの訃報が伝えられた時は衝撃でした。
BUCK-TICK / 『異空 -IZORA-』 全曲視聴トレーラー
私自身はBUCK-TICKの長年のファン、というわけではないですが、実は高校時代にコピーバンドをやっていたこともあり、比較的馴染み深いバンドでした。当時は主にXのコピーバンドをやっていたのですが、ご存知のようにあまりにキーが高いことから、ボーカルだったわたしとしてはもう少しキーが低くて歌いやすいものを、ということでBUCK-TICKを何曲か(悪の華、SPEED、JUPITER)とZIGGYの曲を提案してセットリストに取り入れていました。そういえば後輩のバンドのヘルプで"JUST ONE MORE KISS"を歌ったことも。私に限らず、平成初期のバンド小僧ならBUCK-TICKは一度は通った方が多いんじゃないかと。
BUCK-TICK 「無限 LOOP」 MUSIC VIDEO
しかしながら、改めて最新作である本作を聴いてみると、そんな個人的な感傷やノスタルジーを吹っ飛ばすほど、現在のBUCK-TICKが放つ現役バンドとしてのパワーは圧倒的で、かえすがえすも残念でなりません。こんなことになるまで、たまに新作が気になっても音源で聴くだけでMVとかライブとかは全く観ていなかったので、特に櫻井さんてこんなにすごかったのか、とまさに今更ながら圧倒されています。50代だなんて信じがたいほどかっこいいな・・。
BUCK-TICK 「太陽とイカロス」 MUSIC VIDEO
同性の、しかもおっさんのわたしでもほれぼれするほどにかっこいいまま飛びたっていってしまった・・。訃報から既に三ヶ月がたちますが、長年のファンの方の心痛はいかばかりかと思います。バンドの継続を決断したBUCK-TICKメンバーの皆さん、そしてファンの皆さんにとって良い未来が訪れることを心から願います。
末筆になりますが改めて櫻井敦司さんのご冥福をお祈りいたします。長年にわたり素晴らしい音楽をありがとうございました。
やっぱり邦楽は洋楽に比べて対象の距離が近いからか語りたいことが多くて・・20-11位の時点で既に12,000字超の長文を最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。ようやくここまできました・・。次回はいよいよ(ようやく?)年間ベスト2023年最終回、邦楽編の10位〜1位です!