2023ベストアルバム30【邦楽編】10位〜1位
ついに2024年も2月・・どころか半ばもすぎててしまいましたが、年末から二ヶ月以上引っ張ってきた2023ベストもいよいよ最終回・・note最遅(ほぼ確実)、邦楽編10位〜1位です!!なお、洋楽編および30位-11位は下記リンクからどうぞ〜。
◎2023年邦楽ベスト : 21位〜30位 / 11位〜20位
◎2023年洋楽ベスト : 1位〜10位 / 11位〜20位 / 21位〜30位
※本文中の"今年"は2023年を、"去年/昨年"は2022年を指します。
10位 PINEAPPLE / 斉藤和義
今年デビュー30周年を迎えたベテランシンガーソングライター・斉藤和義さん(57)、2年ぶり22枚目(!!)のスタジオフルアルバム。・・といっても、この方の場合は本当にコンスタントに作品を出し続けているので、あまり久しぶりという感じはしないですが。・・しかしなぜにぱいなっぽー?
あー・・あの謎の招き猫は斉藤さん ご自身の作でしたか。そっかそっか。・・で、なぜにどうしてぱいなっぽーなの?? (結局不明)
斉藤和義 - 朝焼け 映画「リクはよわくない」主題歌 [Lyric Video]
アルバム収録曲は『朝焼け』『寝ぼけた街に』『俺たちのサーカス』など21年以降に配信済のタイアップ曲群や、CM用に書き下ろした曲や"THE FIRST TAKE"で披露した楽曲の新バージョンなどに加え、書き下ろしの新曲7曲を加えた多彩なラインナップで全13曲を収録しています。
斉藤和義 - 「底無しビューティー」Music Video
今年は現ツアーメンバーとともにNHKのスタジオで過去の代表曲をリアレンジして一発録り/録りするライブDVD/CD"ROCK'N ROLL Recording Session at Victor Studio 301"もリリースした斉藤さん。バンドとの関係がよほど充実しているのか、そちらも傑作でしたが、自身の楽器演奏(ドラム含む)を中心とした今作も、サウンド/グルーブともに心地よく、近年の作品では一番よく聴いています。
寝ぼけた街に[Audio Only]
9位 いまも忘れらんねえよ / 忘れらんねえよ
メンバーの脱退により現在は実質的にボーカル・柴田隆浩さんのソロプロジェクトとなった忘れらんねえよの4年ぶり6枚目のフルアルバム。今作はこの3年間に配信で発表してきた既発曲を15曲収録したDisk1と、「忘れらんねえよを歌ってみた」と題して縁が深いアーティストが忘れらんねぇよの曲をカバーしたトリビュート盤のDisk2という構成の2枚組。
うち6th〜15thの10曲を新曲10曲連続リリース企画として5月〜11月にリリース(とゆうか、5thシングルも4月に出してるから、実質は11曲連続リリース)したのちにアルバムとしてまとめるという、いわば変則ベスト版みたいな趣もあり。
忘れらんねえよ『君の音』Lyric Video
本ランキングでもいくつかのアーティストがこれに近いかたちでリリースしていますが、サブスクやデジタルシングル、あるいはYouTube動画などでどんどん新曲を発表していく現代の音楽シーンにおいて、パッケージのアルバムはだんだんこういう形が主流になっていくのかもしれませんね。
それはさておき、まあなんせ歌詞が良いんですよねぇ彼らは。歌詞に関しては本作が今年一番良かったかも。とにかく一曲一曲テーマが多彩で、笑えるんだけどぐっとくる部分もあり、言いたいコトを詰め込んでるけどメロとのからみもよくてちゃんと耳に残る、秀逸な歌詞ばかりです。
忘れらんねえよ『これだから最近の若者は最高なんだ』Music Video
・・いやなんつうか、控えめに言ってほんとだいぶ頭おかしい・・笑(ほめてます、もちろん)。最高すぎますわまじで。30過ぎて以降すっかり曲が書けなくなってしまったわたしとしては、こんなペースで曲書けるってだけで尊敬しますが、さらにその中から5曲も本作に採用されているという・・("君の音"も入ってる)。
歌詞書けなさすぎて、朝
そりゃあんた、歌詞も書けなくなりますわな・・(この曲はその時書いた曲じゃないそうですけど)。実は今まで彼らの曲をちゃんと聴いたことなかったんですけど、アルバム冒頭のこの1曲で完全にハマりました。
忘れらんねえよ 『プロポーズ』
あと、ファンの方が忘れらんねぇよのライブに一緒にきた彼女へ公開プロポーズをするためにバンドが楽曲を書き下ろして演奏、さらにその一部始終を撮影して、結婚するファンの方ご自身が彼女との日常風景と合わせて動画編集してMVにする・・というこの作品がとってもとっても良かったです。(断られたら地獄だと思うがそこはまぁ・・確信があったんでしょうね・・)
いずれの曲も熱量が半端なくて、ストレートなバンドサウンドながらMVなどはすごく見せ方を工夫していて飽きさせない、今まで聴かなかったのがもったいないくらいいいバンドだと思いました。これから推していきます!
8位 pink blue / 緑黄色社会
男女混合4人組バンド緑黄色社会、22年初頭に発売された前作「Actor」以来、およそ約1年半ぶりの4th Album。前作「Actor」が好きで好きで、とにかくそればっかり聴いていたので、実のところ今作はリリース後しばらく気づいてもいなかったんですよ。あと私事ですがちょうど今年前半は自分の楽曲のレコーディングで頭がいっぱいで、意識的にインプットを減らしていて、新しい曲はほとんどチェックしていなかったという事情もありまして。
なのでこの年間ベストを書き出してから、そういえば今年緑黄色社会の新譜も出てたっけな、と思いだして聴いてみてびっくり。めちゃくちゃいいじゃないですか笑
緑黄色社会『ピンクブルー』 Official Video
現在の邦楽の若手バンドの中で、ボーカリストとしては長谷晴子さんがダントツで好きなんですけど、さらにもう一段表現力があがり、成長に呼応するように楽曲も多様さを増していて、冒頭のこの"ピンクブルー"なんか歌詞・曲・アレンジともに明らかに新規軸だけど、しっかりとバンドの魅力が表現されているのが興味深いです。2曲目の"Starry Drama"が緑黄色社会の王道ともいえるストレートかつ切ない美メロで、オープナーとしても映えそうなはちゃめちゃにいい曲なのに、あえてこっちを一曲目にもってくるところがまたいいですね。
緑黄色社会『Starry Drama』Live Video (pink blue tour 2023)
いやでもやっぱりこっちもいいな笑 今の時代のJ-POPの正統進化、スタンダードですね。終盤でランキングもほとんど組み上がってから聴き直したので全体の入れ替えが本当に本当に大変でした。
緑黄色社会『ミチヲユケ』Official Video -「ファーストペンギン!」主題歌
長屋晴子さんが好きすぎてついつい見過ごしがちですけど、演奏陣もどんどん進化していて、音楽性の拡張が著しいですね。緊張感のあるアンサンブルとライブでの観客とのコールアンドレスポンスが思い浮かぶコーラスが印象的なこちらの曲など、従来とはまた違うカラーが楽しめます。
7位 ⚪︎ / いきものがかり
今年デビュー20周年を迎える2人組音楽グループ・いきものがかり。14位に入れた水野良樹さん(Gt/Pf)のソロ作(リーダー作、というべきか)"HIROBA"の項でも書きましたが、いきものがかりはデビュー10周年の2017年に一度"放牧(活動休止)"を宣言、2年間のソロ活動期を経て2019年末に活動を再開。その後2作を発表するも、一昨年もう一人のソングライターである山下穂尊さん(Gt)が脱退。今作は2人体制になって初の作品となります。
いきものがかり「うれしくて」(『映画 プリキュアオールスターズF』) Music Video
“うれしくて”サビラストののびやかなハイトーンだけでもう、はい、優勝!って感じですね。よろこびが乱反射するような多幸感あふれるとメロディとアレンジ、どこまでもまっすぐな歌詞。そしてやはり吉岡清恵さん(Vo)の声は重要無形文化財。
これだけの爆発的なポジティビティにさらされると、ふだん苔むした路傍の石の下でひっそりと息をひそめて暮らしている私がごとき陰キャのゾウリムシは強烈な居心地の悪さを感じ最悪その場で蒸発しかねないものですが、不思議と清恵さんの声にはそうした卑屈なマインドを喚起させない優しさと包容力がありますね。なんかこう、生きてていいんだなって思います、はい〜。
あ、あとMVの最後で、撮影前後の大勢のスタッフさんの様子がインサートされる場面があって、舞台上でまさにキラキラ輝くふたりを撮るために、たくさんのひとたちが自分の持ち場で地道にひたむきに努力を重ねている様子がまた、別の意味でキラキラしていて、なんかもう、ぐっときてしまいました。
いきものがかり『誰か』(「新聞で紡ぐ希望のうた」テーマソング)|オリジナルムービー
それにつけても2人になりある意味でのリスタート作ということもあってか、水野さんの筆が最高潮に冴えてますね。清恵さんの声は重要無形文化財、と申し上げましたけれども、ソロのカバーアルバムだと、普通のすごくいい声としか思わないんですよ。やはり清恵さんの声を最大限に引き出せるのは水野さん、なんですねぇ。(もちろん元メンバーの山下さんもですけど、わたしは水野さん推しなので)
そしてまた、水野さんのソロ作「HIROBA」ですが、あれもゲストボーカルにそうそうたるメンバーが参加していて、素晴らしいできですけど、水野さんの楽曲を最高に輝かせるのもまたやっぱり聖恵さんなんだなぁ・・。なんか小室さん/木根さんと宇都宮さんみたいですね(にっこり)
6位 感覚は道標 /くるり
京都府出身・1998年デビューで今年25周年を迎えたロックバンド・くるり、前作「天才の愛」以来およそ2年半ぶり・14枚目のフルアルバム。そして本作はメジャーデビュー時のオリジナルメンバーであるドラムの森且行さん(もっくん)が実に約21年ぶりに復帰し、トリオ形態でつくられたファン感涙の一枚です。
ご存知の方も多いかと思いますが、くるりというのはたいへんメンバーの入れ替わりの激しいバンドでして。4枚目のアルバム制作時にギターの大村さんが加入した・・と思ったらアルバム完成後にデビュー時からのドラマー・森さんが脱退、さまざまなドラマーとライブやセッションを繰り返した末、ついに新ドラマーとしてクリストファー・マグワイアが加入するもアルバム1枚で脱退、さらに大村さんが脱退してしばらくは岸田さん(Vo/Gt)と佐藤さん(B/Cho)の2人体制で活動、2011年に一気に3人が加入してわりとすぐ二人脱退、しばらくはファンファン(Tp)との3人体制が続くも前作でついに脱退、そしてここにきてまさかのもっくん復活ですよ。そりゃもう、アガりますよ。
くるり - California coconuts
普通に3人が演奏してる光景だけでたまらんのになぜかサビは延々と食べ残し(たぶん伊豆でレコーディング合宿したときの夜ごはん??)映してるし、いいところで3人の頭がみょーんて伸びるし笑 よくわからんけどやっぱりいい(にっこり)
くるり - In Your Life
最初の先行配信シングルはスタッフさんが推してこの"In Your Life"になったと聞いて「ですよねぇ」ってなりました。この歌詞を聴けばどうしたってやっぱり遠い"あの頃"に思いをはせるわけで、リスナーとしてはそこにエモさを感じますよ。
しかしながら、もっくんは(少なくとも現時点において)恒久的な復帰ではなく、一時復帰というか、今作はこの体制でやってみた、というものらしく、あまりこう、エモさにふりすぎないようにしている感じでしたね。それでもやはり、3人の姿に時を超えた特別な関係を感じずにはいられません。
実際、今回のアルバム発表後のツアーを終えて、3人体制は一旦ここでまた一区切り、ということのようです。残念といえば残念ですけど、3人の関係はとても良好で、こういことがたぶんいつかまたあるんだよね、って感じだから全然いいかな。なんだか風通しがよくて。
蛇足ながら個人的にはクリストファーが参加した2004年の「アンテナ」が一番好きなので、一枚だけでいいからまたあのメンツで作ってくれないかな・・こんなふうに・・と思うけど、まあ、無理なんでしょうね・・。
【おまけ】#くるり #世界はこのまま変わらない PV② “Qテレ体操編” #Qテレ
・・50近くなって20年ぶりに復帰したバンドでこれやらされたら俺ならもいちど脱退しちゃいますけどね笑 ・・しかもこれ、シリーズ化しとんのかい笑 "われわれくるりもいつまでもなかよしでいたいものです"ってもう、最高ですよ。どうかいついつまでもなかよしでいてくださいね。
5位 THE BOOK 3 / YOASOBI
Ayase(Conpose/Key)くんとIkuraさん(Vo)のユニットYOASOBI、4枚目のEP。曲数(10曲)的にはフルアルバム、と言ってもいいかは思いますが、位置付けとしてはEPなのね。小説を元にしたEPとしてリリースしてきた"THE BOOK"シリーズの一環だから、そこはEPで統一しましょうってことですかね。
YOASOBI「アイドル」 Official Music Video
今年も星の数ほどの音楽がリリースされ、シーンを賑わしてきましたが、個人的な好き嫌いは一旦置いておいて、邦楽シーン全体の"今年を象徴する一曲"といえばやはり"アイドル"をおいて他にないかと思います。4億再生超、399万いいねってなんや(呆然) ・・なおチャンネル全体だと総再生回数4,085,039,062回(2/16時点)えーと、いちじゅうひゃくせんまん・・よ・・よんじゅう・・おく・・(呆然)
これはもう、どこからどうみても日本からしか生まれえない、ほんもののオリジナルですよねぇ・・。これが世界中(特にアメリカ)で受け入れられているという事実に2020年代という時代を感じます。
実際歌うにはかなりの難曲だし、アメリカのコーチェラフェスティバル出演(これだけでかなりすごいこと)の際には、ちょっとライブで歌うにはキツいかなと思っていましたが、直近の様々なフェスの映像を観ると会場の盛り上がりもすごく、年末の紅白歌合戦でも大勢の現役アイドルを従えてのパフォーマンスは圧巻でした。
YOASOBI「アイドル」(Idol) from 『YOASOBI ARENA TOUR 2023 "電光石火"』2023.6.4@さいたまスーパーアリーナ
てゆうかAYASEくんがぜんぜんキーボードひかないで煽り散らかしてんの最高笑
YOASOBI「アイドル(Idol)」from『Clockenflap』2023.12.01@Central Harbourfront in Hong Kong
海外フェス(香港)でもこの怒涛の盛り上がり。地響きみたいな歓声がやばい・・。
YOASOBI / Idol (「アイドル」English Ver. )
さらに驚愕したのが、「English Version」です。とにかく言葉のハマりがよくて、またIkuraさんのボーカルが発音も含め本当に素晴らしい。なかでもサビ頭の「That emotion melts All hearts〜」のくだり、完全に「だれも〜♪」って日本語のサビ頭とおんなじに聴こえるんですよね。天才か!! あと「〜ダメダメ」のとこが「〜Dammit,Dammit(くそ、くそ)」とか。天才か!! (なお、英訳詞はBFNKさんとKonnie Aokiさん)。
以前からYOASOBIの英詞Verはつくられていたようで、どれも完成度がすごいなと思ったんですけど、よく考えたらコーチェラもさっきのせた香港のフェスもまんま日本語バージョンで歌ってるんですよね。つまり、これだけ完成度の高い英語バージョンを用意して世界に打って出たら全然日本語のままで受け入れられてるという・・。戦略を現実がさらに上回ってしまったというね。すごいですよ、本当に。
YOASOBI「セブンティーン」Official Music Video
ここまで実質的に"アイドル"一曲のレビューになっちゃいましたけど、もちろん他の曲も十二分に素晴らしく、"アイドル"以外にも大型タイアップかつ名曲がみっちみちに詰まってます。いわゆる捨て曲がまったくない、本当にキャッチーなアルバムですよね。この"セブンティーン"もハードなA/Bメロからとびきりさわやかなサビへの展開が実に鮮やか。
YOASOBI「アドベンチャー」Official Music Video
今年は、洋楽/邦楽ともに自分が長年好きで聴いてきたアーティストの新作が多数リリースされたため、どうしても上位はそれらで埋めることになりそうだなと思っていたのですが、やっぱり今という時代を席巻しているアーティストの作品には有無を言わさない力がありますね。正直言ってデビュー作ではなせあそこまで売れたのかあまりピンときていなかったのですが、今作にはもう、ただただ脱帽です。
4位 脈打つ感情 (Complete Edition) / 日向坂46
いわゆる坂道グループとして乃木坂46・欅坂46(現・櫻坂46)に続き3番目にデビューした日向坂46ももうすぐデビュー丸4年・・前身であるけやき坂46(ひらがなけやき)時代も含めると既に8年も活動しているんですね。それでいて今作は2ndフルアルバムということですが、ほかのアーティストとは違って、とにかくシングルをコンスタントにだして、かつ毎回複数曲のカップリングをつけているので(なんならさらに収録曲違いの盤がいくつもある)、まあアルバムというものの位置付け自体が違うんですね。・・今作なんか33曲入りですからね笑(ライブのセットリストをイメージしているそうです)。
日向坂46『飛行機雲ができる理由』
えっ・・そうなの? ないんだひなたざか笑 知りませんでした。なんにせよほんとにいい名前ですよね。実はわたし、恥ずかしながら誰がどの曲のセンターなのかすら知らないので、いわゆるおひさまとはとても言えないないし、言うなればDD・・いや、DDっっていうよりもゆるーーいゆるーーいハコ推し、なのかもしれないですけど、それでもMV見るとみんなキラキラしてて本当にいいなぁと思います。
日向坂46 『声の足跡』
アイドルの多様化が極まる昨今、面白いグループはいっぱいありますけど、個人的にはそういうのアイドルに求めてないんだよなぁ・・ていうのも多くて。正直なところ、内省だったらシンガーソングライターの曲聴くし、反抗だったらギターロック聴くし、ビシッと統制されたバキバキのダンスがみたいかというとそうでもないし、お色気とか微エロみたいなのが欲しけりゃ黙ってFA○ZAでも観てりゃいいんですよ。そういう意味では坂道、なかでも日向坂はとても安心感があります。
日向坂46『ブルーベリー&ラズベリー』
これこれ。どんな優れたバンドやシンガーからも摂取できない、アイドルからしか摂取できない滋養を大量に処方されてる感じ。まぁ、なんせ33曲もある(Live含む)ので、明るくない曲もいっぱいあるのですが、これだけオプティミスティックなアイドル曲を一度に大量接種できるのはやっぱり貴重ですよ。
日向坂46『シーラカンス』
おっさんにとっては「シーラカンス」といえばなんといってもミスチル屈指の鬱盤・「深海(1995年)」の冒頭を飾るあの暗ぁくて重ぉい一曲なわけですが、同じワードでもこぉんなにもキラキラできちゃうんですね・・。はぁ・・。
日向坂46『見たことない魔物』
それはそうと、今回本稿を書くにあたって改めて腰をすえて33曲じっくり聴いてみたんですけど(正直忙しくてぱっと聴いて好きな曲何曲かだけ無限にリピートしてたので)、なんかピックアップする曲する曲ほとんど全部カップリング曲だし、「四期生曲」の割合がやたら高いんですけど・・これはあれか? お前は黙って四期生を推せ・・ッテコト? ワァ・・。
日向坂46『恋は逃げ足が早い』
明らかに日向坂だけ載せすぎだけどまあいいや笑 MVみてたらどうしても絞れなかったんですよ・・。というか、他のアーティスト(特にわたしが推してるようなベテランの)だと、YouTubeから紹介しようとしても推し曲がのってなかったりして大変なのに、日向坂は逆にちょっとしたカップリング曲までバチバチに作り込んだMVがありますからねぇ・・。アイドルなんだから当然といえば当然ですけども。
日向坂46 『君しか勝たん』
まぁなんのかんの言っても結局のところこの一曲がわたしにとっての日向坂の全てなわけですが(2021年の個人的年間ベスト曲第一位)、とはいえ既に2年半前の曲なんですね。ここでこんなにもキラキラにこにこ歌い踊ってるメンバーの中でも既に何人かは卒業してしまったわけで、なんとも儚い輝きですが、その儚さもまた良いものだなと思います。文字通り娘でもおかしくない年齢の娘さんに会いに握手会やら行きたいとはまったく思わないんですけど、こうゆう多幸感のあるサウンドを頭からっぽにして浴びるのもたまらなく好きですね。君しか勝たんのよ。
3位 愛の太陽 EP / くるり
引き続きまして第3位は、京都府出身・1998年デビューで今年25周年を迎えたロックバンド・くるり、「琥珀色の街、上海蟹の朝」以来、2作目のEPです。・・ってまたくるりかよおいおい、って話ですが、、洋楽編でもエド・シーランを2枚入れるというレギュレーション違反をしちゃいましたけど、これもまたしょうがない。だって2枚の意味合いがまったく違いますからね。どっちもいれたいし、どっちもベスト10に入れるほど好きなんですよ・・しょうがないじゃないですか笑
本作は先ほど紹介した「感覚は道標」に先駆け、主に2022年に配信等でリリースされた各種タイアップ楽曲に新曲を加えて2023年の春にEPとして発表されたもの。初回限定版には「くるりライブツアー2022(@ZEPP HANEDA)」と「京都音楽博覧会2022(@京都梅小路公園)」という異なる2つのライブを収録し、さらには岸田さんが劇伴音楽を手掛けたNetflix映画「ちひろさん」のサウンドトラックCDまで付属。豪華ですね。
このApple Music 掲載のアルバム解説からも、デビュー時のメンバーであるもっくんが約20年ぶりに復帰し、3人でセッションしながら出てきたものを仕上げていった「感覚は道標」とはそもそもの成り立ちからして全く異なることが伺えます。
くるり - 八月は僕の名前
イントロから全く持って普通の展開で、楽器構成も音像も目新しいものは特にないのに、それなのに、なぜこんなに鮮烈に心に響くのか。あと曲も最高だけど小松菜奈さんなんなん、ただそこにいるだけでまったく目が離せないじゃないですか・・
くるり - 愛の太陽 EP|Trailer
正直これはもう、最後の最後まで扱いに迷いました。最初は「感覚は道標」を3位にしていて、それは実際すごくよく聴いていたというのと、なんといってももっくんが戻ってきた! あの3人がまた揃った! というエモさが大きくて。対して、3月に発売されたこのEPは実は聴いてなかった(ちょうどその頃自分の音源のRecで忙しかった)し、まあレギュレーションとしては1アーティスト1枚を原則に書いているので、パスでいいか、と思ってたんですが。
「感覚は道標」の項で掲載されるMVを選ぼうとYouTubeのくるりチャンネルを観てまわっていたら、先述の「八月は僕の名前」のMVを再生してしまって。まあ衝撃を受けましたね。慌ててEPを全部聴いてみたら・・曲がどれもこれもめっちゃくちゃいいじゃないですか。正直、自分の中での「くるりの好きな部分」を丁寧に抽出したような作品で。
なので、慌ててひとまず11位あたりに入れておいたんですが、その後も折に触れ聴いているうちに、これはひょっとしてこっちのほうが好きかも・・と。EPだから収録曲は6曲だけだし・・うち5曲は2022年内に既に配信リリースされているし・・「感覚〜」はやっぱりもっくんが・・・と散々悩みましたが、自分にとっての一番はやはりメロディと抒情性なので、最終的にこちらをこの位置にもってきました。
宝探し[Audio Only]
この"宝探し"なんて初期ミスチルかと思いましたよ・・コバタケがアレンジしてそうですもん笑 ・・書いてて今気がつきましたが、ある意味、次の項で出てくるミスチルの新作に不足していたピースを見事に埋めてくれたのがこのEPだったのかもしれません。ああ、そうだ、そう。きっとそうです。今気づいた笑
1位 miss you / Mr.Children
ご存知国民的モンスターバンド・Mr.Children。前作「SOUNDTRACKS(2020年)」以来、実に3年ぶりとなる待望の21th Album。間にデビュー30周年記念のベスト盤(含む新曲2曲)とそのリリースに伴う大規模ツアーを挟んでいるので、それほどご無沙汰感はないのですが、コロナ禍ということもあってかなんだか時間のたつのが早いですね・・。長々と書いてきた邦楽ベスト2023ですが、実は2位をすっ飛ばしてこちらが同率第一位(の、一枚目)です。
今作は既発曲なし、タイアップなしのオール新曲で、プロモーションらしいプロモーションもせず、リリースに先駆けて全国ホールツアーを開始(当然新譜中心のセトリ)・・というかなり異例の体制。さらにまた内容も異例で、サウンドは近年稀にみるほどシンプルですし、加えてかなりの曲でメンバーの演奏すら聴かれず(打ち込みが多めだが、かといってエレクトロなアレンジでもない)、歌詞もいつになく内省的な曲がならぶ様に「これまるで桜井さんのソロアルバムでは?」という感想もでるほど。
前作「SOUNDTRACKS」がリリースされたのは世間がまさにコロナ禍に翻弄されている2020年の暮れでしたが、アルバムの録音(英国レコーディング)自体は2020年3月までに終了しており、内外で本格的なロックダウンが始まる前には終わっていたそうなので、少なくともソングライティングそのものにはコロナ禍の影響はなかったわけで、本作がリリース的には2023年秋という"コロナ禍あけ"ではあるものの、やはり一種の「ロックダウンアルバム(※)」ではあるのだろうと思います。
※コロナで大規模なツアーはおろか大人数でのスタジオワークすらままならなくなった世界中のミュージシャンが、立ち止まり混乱と不安の中で内省的なアルバムを出しました。代表的なところだと、テイラースイフトは2020年中に「folklore」「evermor」という今までの路線とは異なる傑作を2枚連続で発表しています。
今作も2022年内あたりに出ていたらもっと(世間の空気的にも)しっくりきたように思うのですが、'22年はみすちるさん、30周年でしたからね・・。30周年記念のベスト版に収録された新曲2曲("永遠"そして"生きろ")は明らかに今作とは違うモードで、どちらかというと従来のミスチルの延長にあるものでした。
'90年代の一時期において、内省・鬱・果てのない自分探しといえばミスチルだったわけで、それが2000年代の到来とともにポジティヴに転化していき、アルバム"HOME"あたりのあったか路線では鬱とかもはやかけらもなくなってしまったわけですよね。
しかしながら、私生活の安定とともに近年すっかり影を潜めていたヤバいサクライさんが本作では思いっきりむき出しになっていて、鬱々おぢさんのわたくしとしては久々に何度も何度も通して聴きまくりました。
暖かいバラードや優しい歌詞ももちろん好きだし、あれはあれで桜井さんの深いところから出てきた本当の気持ちを反映したものだと思うのですが、その反面、深海〜Qあたりまでのような、誰にも真似できない彼ならではのぞっとするほど冷たく鋭利な言葉や気だるい諦念にまみれた呟きのようなメロディはもう見られない、聴けないのかなと思っていたので・・。
中でも「アート=神の見えざる手」は最高でした。ラップというよりはスポークンワード、あるいはポエトリーリーディングといったほうがいいかもしれませんが、いつになくひんやりしたサウンドにのせてぶっきらぼうに吐き出される言葉の数々は冴え渡っていて、いったい何があったのか心配になるほど。完全にリミッター解除されています(引用したのはわりと穏便なところ。・・でもまぁ、改めてよく考えてみたら攻撃的なのはこの曲だけかも笑)。
ただ、そうやってある意味突き放した構成でアルバムが終わっていくのかと思いきや、最後の3曲はバンドが(控えめに)戻ってきて、歌詞の面でも曲の面でも感謝や優しさ、日常のふとした風景を切り取ったこじんまりとした優しい楽曲が3曲続いて終わる・・という謎の構成。なんなんだ・・。
CDの購入者レビューも見事に絶賛と否定(あるいは困惑)に二分されていて、30周年を越えて今これを出してくるその攻めの姿勢にクラクラします。
Mr.Children「ケモノミチ」from New Album「miss you」Lyric Video
とはいえ正直なところ個人的には、これをしっかりした分厚いバンドサウンドで録ったらもっと最高だったのでは? とか、この曲はもっとバンド感があってもよかったのに、というのもまあ・・なくはないんですが。たとえばこの"ケモノミチ"だって、壮大なストリングスとともに溜めて溜めて、後半に満を持して轟くようなJENのドラムのフィルとともにバンドサウンドが炸裂して・・炸裂・・しねぇな??あれぇ??ってなりましたし・・。このオーケストラっぽい打ち込みのパーカッションもありだけど、別にバンド成分排除する必要なくない?・・っていうのは未だに思いますね。当然ながら思惑あってのことでしょうけども。ライブ行けなかったからそのへんが腹落ちするのはもっと先かなぁ。
Mr.Children 「Fifty's map ~おとなの地図」MV
ファンの方ならご存知であろう、今から20年前にリリースされた中期ミスチルの代表曲のひとつ「くるみ」のMVをまるごとリメイクした今作。いやこれは反則だろう笑 当時もわたし自身青年期を終えまさに中年にさしかかるタイミングだったのでブッささりましたけど、今のほうが余計に刺さりますね・・。ラストの若き日の桜井さんとミスターアダルトがすれ違うパートのみ、同じロケーションで現在の桜井さんを差し込んでくるところがまたズルい。おっさん泣くでしょこんなの・・。
まあ総じて不思議というか、不可解なところはいっぱいあるけど、これだけファンの間でも議論が巻きおこるような賛否両論かつ生々しいアルバムが今のミスチルから出てくるなんてもう、想像もできなかったので。最高傑作、ではない。それはない。それでもこれは文句なしに本年の一位です。はいー。
1位 DEVOTION / TM NETWORK
さて、それではここで一位をもう一枚。1984年デビューの邦楽史上最重要3人組ユニット・TM NETWORK、2014年以来実に9年ぶりとなる新作フルアルバムです!! なんともうすぐデビュー40周年!! めでたい!! (2024年4月21日が記念日なので、厳密には今年はまだ39周年だけど)。本作は40周年記念イヤーのキックオフアルバムとして位置付けられた一枚です。
まああのー、わたしはTMガチ勢、いわゆるFANKSでして・・。正直これはもう、"9年ぶりに推しのアルバムが出た"という事実だけで1位以外はありえないんですよね。今年の邦楽ランキングは最初からこの結果ありきというか。しかしながら今作に関してはですね、本当に内容が伴った1位なんですよ、本当に・・。
TM NETWORK|We love the EARTH(from How Do You Crash It?)[Live]
本作は少々変則的な構成で、上記の"WE LOVE THE EARTH(YouTubeにはアルバムの音源が上がっていないので、今回のアレンジのベースとなった2020年の配信ライブ音源)"を含めた過去のヒット曲のリアレンジバージョンが4曲、2020年の活動再開後に配信やライブで発表されてきた新曲(インスト含む)が4曲、本作のために新たに書き下ろされた完全な新曲が2曲、そしてデビュー以来ずっとライブでのみで披露されてきて、スタジオ音源としては未発表だったTMを象徴する名バラードのひとつ"TIMEMACHINE"を収録。こうしてみるといわゆる"新曲"の定義にあたるものが半分程度ではあるんですが、そこは天才・小室哲哉さん。リアレンジといってもオリジナルとは全く異なるアレンジに変貌させつつ、しっかりと2020年代の音にアップデートされていて、'80年代の楽曲と新曲とを並べても全く違和感なく聴けてしまいます。たとえばほら、
TM NETWORK「KISS YOU 〜世界は宇宙と恋におちる〜」Music Video
これが、
[Trailer Long ver.]TM NETWORK TOUR 2022 FANKS intelligence Days(※KISS YOU -TK Remix ver -)
こう!!
ですよ。・・すごくない? ちなみに原曲はなんと1987年10月1日リリースで、30年前(!!)の楽曲。当時小学校6年生だったわたしは、工藤静香さん目当て(たぶん)で観てた「ザ・ベストテン」で黒柳徹子さんが「大荷物のみなさーん!」って呼び込んだこの得体の知れない3人組(ほんとにみたこともないような山のような機材に囲まれて演奏してた)が、一度も聴いたことのない、自分にはまだよく理解できない、けどなんかやたらと頭に残る、かっこいい楽曲をプレイするのを呆然と見とれていまたものです。・・まさかそれから30年後の国際フォーラムで、大幅に改変された同曲を呆然と立ち尽くし見惚れることになろうとは夢にも思いませんでしたよ・・。ちなみに大ブレイクしたあの「GET WILD」の次のシングルがこれですよ。普通、初のヒット曲のあとって、似た路線の曲だして足場固めに入るじゃない? それがいきなりコレですよ・・。話が・・それましたね・・思い切りね・・。
TM NETWORK [DEVOTION] 全曲試聴!
だいたいですね・・。こういっちゃなンだけど、明らかに20周年のときよりか還暦すぎた40周年の今のほうがかっこいいんだぜ・・。こんなユニットが地球上にほかにいるのか(いや、いない)。
今年の夏〜秋にかけて行われた"DEVOTION"ツアーでは、後半クライマックスの定番曲にかわりこの"DEVOTION"が演奏されたわけですが、会場の盛り上がりようといったらもう・・。10年前、30周年の一連の活動も本当に楽しかったし素晴らしいライブをたくさん体験しましたが、40周年にまさか最新曲でこんなにも盛り上がる日がくるとは・・。ちぎれるくらい振り上げた両腕が激しい筋肉痛に変わる頃、しみじみと込み上げるものがありました。
どんなに大切なバンド/ユニット/アーティストであっても、活動は永遠ではないということが痛いほど身に染みた2023年。今回の40周年を記念した活動は、本稿執筆現在(2024年2月)開催されている全国ツアー"STAND3 FINAL"を経て、4月・5月のアリーナツアー"YONMARU"にて一区切りとなるようですが、どうか3人ともお元気で、いつかまた集結してくださることを強く強くお祈り申し上げます。。
【総評】
いやいやようやく終わりました! 結局1月いっぱいどころか2月中旬までかかりまして、これで2023年ベストNote内最遅の座は間違いないでしょう笑 年末から勝手につけていた両足首の鉄球をようやく外した気分です。今更 オブ 今更なのに最後まで読んで下さった皆様には深く深く感謝申し上げます。
しかし本当に最後の最後まで順位付けには頭を悩ませました。特に10位以上なんかみんな大好きなわけで、なんなら毎日気分で入れ替わるくらいなので、完全に確定のしようもないといえばそうなのですが・・。また、2023年の新作アルバムランキング・・ではあるものの、既発楽曲(場合によっては過去数年間に渡りリリースしてきたもの)をとりまとめて少しだけ新曲を付け足したようなスタイルの作品が増えてきたのも判断に迷うところでした。
結局最後はシンプルに、好きな曲がいっぱい入ってるものを、という観点になっていた気がします。かつてのような"アルバム"という概念で評価しているのはもしかしたらミスチルだけだったかもしれませんね。ともかく、こんな長いもの(10位-1位だけで17,000字強!)を最後までお読み下さり、本当にありがとうございます。
・・あとまあ、色々あって結果こんなに遅くなってしまったわけですが、2024年ベストは洋邦ともに年内にアップできるよう頑張ります!(当たり前)(できるとは言っていない)
それではみなさん! 良いお年を!! (遅すぎる)