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室井光広日録(23)

2006.1月25日(水)くもり、晴。甲寅
西行の<しぎたつ沢…>で暮せることが奇跡のように思える。海まで徒歩5~6分!

海・山のあいだで、けんめいに仕事にうちこむ。希望はそれしかない。東北に帰れず、南島にも…。大磯に新しい畑を作る。わがバルベックとなるか。
南島では、畑のことをハタスというところもあるという。ねがいとゆめをハタス場所。畑作人=バウアー。
母に仕送り。タマオクリ。

小林秀雄のドストエフスキー(中絶)から宣長讃へのコース(と、同じになってしまうのか…)。M・P山をじょじょにおりて、柳田讃へ。jomon教は神道と異なる…といいたててみるものの。

陰陽師として、吉野裕子氏のホシを、易神に問うてみたところ、やはり、ナツカシイ星辰構造の人であった。わが祖母と酷似!(わが母とも!) 本日は甲。イワシにとっての甲星がこの人の主星であった!やはり!の衝撃。大正五年生れ。
もう間に合わないかもしれないが、ダメモトでファン・レターを出したい気持がせりあがる。愚行を承知の上で。(出版社――人文書院気付で出すか?)
この人は50をすぎて独学で易・陰陽五行・蛇信仰の研究をはじめたという。
50にして民俗学につんのめったイワシが師をあおいでおくにふさわしいではないか。
祖母や母と似た星辰の人であればなおのことだ。
今春より、学生に教えるハメになった民俗学の骨格は、柳田&折口であるとしても、じっさいには吉野民俗学の方が伝授しやすいという予感がする。
(柳田&折口の全仕事を畑作するにはあと三年はかかる。)

この人の説の中で決定的にすばらしいのは、ハレとケ(ケガレ)の神道的解釈の定式をうちやぶったこと。
女・妊婦がケガレテいる(相撲の土俵にも女は上れない!)といったバカげた観念を、文字通り、ハハ・カカなる地平に洗いながしてくれたのだ。合掌!

・・・・・・
学問に惹きつけられることは誰にでもあるだろうが、新たな師としてその人をあおぎ、その人の星を見て祖母・母の星辰との同一性に歓喜し、なんとしても手紙を出したいと願う。しかも50をすぎてから……。こんな人間は稀な、有難い存在だ。
井口時男さんが、〝室井光広は自分から何かするわけじゃないけど、その場にただいるだけで、周囲によいものを与える〟と言っていた。それはたぶん室井さんが、他人からよいものだけを最大限受け取り、よくないものは絶対に受け取らない、そういう関わりを徹底していた結果なんだろうと思う。(2024.3.1)


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