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個展「EGG」の在廊日を終えて

⚫︎プロローグ

福岡の大名店で行われている、
KIMUKIMUソロ・エキシビジョン「EGG」の作家在廊日がはねました。
足を運んでくれた皆さん本当にありがとうございました。

まずは安堵とともに、
コロナで止まっていたアートイベントが再起動後に動き出したことに、
しあわせを感じています。

もう子供じゃないので、
手放しでこの事実を喜ぶというアクションをサボらず、
それでも心のどこかで、また時計の針が止まることもあるかもしれないという懸念のようなものを同時に持ち合わせることで、
いまこの瞬間は少なくとも歩みを進めているんだという実感濃度を上げていきたいと思います。

関わってくれている一人一人にありがとうでいっぱいです。

ということで、
今夜はKIMUKIMUというイラストレーター周辺のことをタイプします。
先に進める前に、、

⚫︎作家紹介にかえて

『イベント情報』

令和3年11月6日(sat.)-21日(sun.)までの16日間、東京・武蔵野を拠点に活動するイラストレーターKIMUKIMU(キムキム)による個展「EGG」が開催中。

日本だけにとどまらない、アジア全域で活躍が期待されている大型・現役大学院生アーティストをフュチャー。2020年の2月に大分店で行われた「HAGUUU」に続く第二弾ソロ・エキシビジョン。才が甘い蜜を撒き散らしながら、いままさに蛹から蝶へとトランスフォーム中の要注目人物の来福です。どうぞお見逃しなく//


▪️個展名 : EGG
▪️会期   : 11月6日 - 11月21日(sun.)
▪️作家在廊日 : 11月6,7&8 -3days
▪️会場  : 10 COFFEE BREWERS 大名店

*在廊時には○○○イベントを実施予定(仮)
*入場チケット不要・ワンドリンク制
*会期中のドリンクはKIMUKIMU描き下ろしの限定ステッカーで提供(予定)
*イラスト原画や個展オリジナルグッズ販売も予定

「EGG」

何が入っているのか、秘密の生命体。
産まれてくる前はみんな一緒。
いつか僕も産みたいな。

卵をモチーフに、イラストとグッズを展開します。

ABOUT KIMUKIMU(キムキム)

イラストレーター。静岡県浜松市出身。
武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻
版画コース 在籍
「角(カド)のない作品を、銅版画やイラストレーション,壁画などで制作している。」

Instagram
kimukimu324
https://www.instagram.com/kimukimu324/?hl=ja

twitter
@kimukimu_324
https://twitter.com/kimukimu_324


【展示】
2018-「Hay!Say!Graphics!」表参道ROCKET
2019-「etteda12thJapanExhibition」The8thGallery,目黒
2019-「PAGEROOM8PRINTPROJECT」GalleryMarron,韓国
2019-初個展「BOKU」岡崎ビル,渋谷
2020-「令和元年度武蔵野美術大学卒業・修了制作展」鷹の台キャンパス ※優秀賞受賞
2020-個展「HAGUUU」10COFFEEBREWER,大分
2020-「東京五美術大学連合卒業・修了制作展」国立新美術館
2020-グループ展「House2020」UltraSuperNewGallery,原宿
2021-二人展「form?」巷房,銀座
2021-「garden talk」ギャラリー・ルモンド,原宿
2021-「PIEN」ニュースタアギャラリー,中野新橋
2021-「HAPPY MAGNET TO YOU!!」渋谷PARCO

【POPUP】
2019-「Cheeky」PLUSTOKYO,銀座
2020-「SUPER☆MARKETmonet」ラフォーレ原宿
2020-「TENSHI」ニュースタア,渋谷PARCO,福岡PARCO,LUCUA1110大阪
2020-「POPUPSTORE in Hamamatsu」遠鉄百貨店,浜松
2021-「moo」ニュースタア,渋谷PARCO
2021-「konomad pop-up」戸越銀座
2021-「KIMUKIMU POPUP SHOP」福岡PARCO,大阪LUCUA1110,静岡PARCO

【壁画,ライブペイント】
2018-「RAW TOKYO ライブペイント」
国際連合大学前,青山
2019-「CODE+LIM 朝活ライブペイント」
CODE+LIM,原宿
2019-「REBIRTH PROJECT×AHbase 壁画制作」Rcafe192,両国
2019-「日本茶専門店 一千花 壁画制作」
竹下通り


⚫︎本文

ある日、
彼といると不自然なほどまでの心地よさを感じていることに私は気付きました。

「どうしてだろう」

シンプルにこんな問いが浮かび、
得体の知れないものに対して好奇心アラームがすぐにけたたましい警報音を発してしまう種の人間である私は居ても立っても居られなくなり。

ある日唐突に。
イラストレーターKIMUKIMUに向けての、
私によるストーキング行為を開始しました。

SNSノのログを追いかけ続け。
彼が放つコメントを全てフォローして。
濾過してぼかして優しく送信された24時間で消えてしまうストーリーをループ&ループ。

少しずつ見えてきたもの。

かすかにではあったけれど、
日を追うごとに徐々にではあるけれど、
たしかにそれは確実に空気を伝わる微小な圧の変化となり、
やがて鼓膜を揺らしてくれた彼の本当の声のようなもの。

そりゃ彼も、
手探りで、
時には姿勢を低くしながら雨嵐をやり過ごしたり、
なんなら息を潜めて存在を消すような日もあるんだろうけれど。

「自然体で生きること」

ってことに本当に真摯であり続ける人間。

これが私に見えた最初の人物像でした。


共感をおぼえた理由に、
きっと、
かれも、
私と同じで、
自身をマイノリティだと自覚しているからかもなって。

彼が抱えている闇の深さやその穴の形まではまだ想像が追いつきませんが、
世界をひっそりと繋ぎ合わせているトンネルのようなものがこの世の中にはきっとあって、
秘密の合言葉を唱えあうことさえできれば、
いつだって場所や時間や時代をこえて行き来することができるはず、
なんて考え続けている人種。

彼も僕もここで繋がっているんだって。

私は、
大学を出てすぐに社会人の真似事をしばらくは頑張ってみたのですが、
なかなか馴染めず、
ましてや心なんて開けるわけもなく、

「ここは自分の居場所じゃない」

なんて呪いのようなフレーズを脳内でいつもリフレインしていました。

自分らしくあろうと、
言葉を発すれば叩かれ、
自分色を消さぬようにと動けば手足を縛られ。

自身をソシオパスなのかもなんて考えていた頃もありました。

KIMUKIMUはまだ大学院生で、
私と比べてはいろんな意味で失礼に当たりそうだけれど、
きっと私なんかよりもずっと耐え忍んできていて、
生き方を模索し続けて、
期待をして、
その都度大きな失望に頬を叩(はた)かれ、
それでも歯を食いしばることをやめずに、

「自分らしさ」

を追求してるのだと感じています。

きっと今この瞬間も。
たった一人で。

江戸時代の長屋からはたくさんの色気のある器が見つかるそうです。
長屋の住民たちはタフな毎日を生き抜くための心のヨリどころとして、
実用品である「器」の中に美を見出しながら生きていたのでしょう。

彼の中にも同様な、
人生をハックするいくつかの手段を見出すことができます。

美しく整えられた爪先。
これに着飾られたネイルアート。

いつだって真っ白な衣服。
文字通りハットから靴先まで。

傍において決して離そうとしないチューリップ。
生まれることと死ぬことに対してのなんというか独特な死生観。
銅板に禊のように繰り返し彫られる繊細な曲線やピエタを創造させる優しい異物たち。

どれだけの涙を流し続けてくれば、
こんな表現物を産み落とすことができるのだろうと。
めまいを覚えながら繰り返し彼の脳内にイメージを飛ばしてしまいます。
でも同時に、
これらは彼なりの自己防衛なのかもなってことも思います。

彼に限らずなのかも知れませんが、
私が大好きなイラストレーターさんたちは、
たくさんの犠牲を払って世界に声を上げ続けています。

友人たちと過ごす時間を削り。
食べる時間を削り。
眠る時間だってなんの躊躇もなく削り。

作品を産むことに命を捧げています。
だからこそ私たちの心を素手で掴み、
捉えて離さないのでしょう。

歌うこともできない。
描くこともできない。
綴ることもできない。
踊ることもできやしない。

こんな私が彼とこれからも「ともだち」でいつづける為に、
いったいどんな生き方をしていけばいいのだろうと、
もつ鍋を福岡の路地裏でつつきながら考えました。

答えはまだはっきりしていないので、
ちょっとこの部分がKIMUKIMUに届いてしまうと照れくさいのですが、

「(彼に負けないように)自分らしく自然体で生きることを恐れずに拘る」

ことなのかも知れないなぁなんてことを今日は一日中考えて、
こんな時間になりました。

まとまりませんが、
まとめようとしなくても、
きっと彼には伝わると思うから。

出会ってくれてありがとう。
君がこれから見ていくであろう広い世界のたくさんの美しいものの一端でも、
間接的に見聞きすることができたらとても幸福です。


心の友人へ。
一人で歩くことを潔く選べる君のような人間は信頼できるから。
違う場所で、流れ方が異なる時間をそれぞれ生きているけれど、
寂しさに疲れたらハイボール両手に傷でも舐め合おう。
あのトンネルを歩きながら。


ありったけの愛を込めて。

10 COFFEE BREWERS 川平大介


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