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スペースデブリについて解説:地球はゴミに覆われている

天地人は、衛星データを使った土地評価コンサルを行っているJAXA認定ベンチャーです。地球観測衛星の広域かつ高分解能なリモートセンシングデータ(気象情報・地形情報等)や農業分野の様々なデータを活用した、WebGISサービス「天地人コンパス」を提供しています。

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今月はスペースデブリについて紹介します。


スペースデブリとは

スペースデブリ(=宇宙ゴミ)をご存知でしょうか。スペースデブリとは、軌道上にある不要な人工物体のことです。運用を終えた人工衛星や、故障した人工衛星、打ち上げロケットの上段、ミッション遂行中に放出した部品、爆発や衝突により発生した破片等があります。

出典:「スペースデブリに関する最近の状況/JAXA

JAXAの資料によると、地上から確認できているスペースデブリは、10cm以上で約2万個、1cm以上で50~70万個、1mm以上で1億個を超えており、宇宙空間にある飛翔物体の94%がスペースデブリとされています。スペースデブリは航空機よりも速く地球を周回する軌道を移動しているため、小さなサイズのデブリでも衛星に衝突すると大きなダメージを与え、故障やミッションの終了を招くことがあります。

※スペースデブリが運用中の衛星に衝突した時の被害予測
100mm以上:壊滅的破壊+大量破片発生
10mm以上  :ミッション終了につながる破壊
1mm以上    :故障

「LeoLabs」が開発した「Low Earth Orbit Visualization」を利用すると、宇宙空間に存在するスペースデブリを含む人工物の量を具体的にイメージできるかもしれません。(以下に添付した画像データは参考ですが、出典元のURLからアニメーションを視聴できます。)

出典:「LeoLabs/Low Earth Orbit Visualization
出典:「緑は運用中の衛星、黄色はロケットの部品、赤はスペースデブリ、青はその他 LeoLabs/Low Earth Orbit Visualization

特に、人工衛星は人類の生活を大きく支えています。テキサス大学の航空宇宙工学の准教授が監修したTED-Edの動画によると、「全ての衛星が何かしらの原因で使えなくなった場合、数時間以内に、地球上のほとんどの交通がストップし、世界経済は停止し、ほとんどの国が非常事態宣言を出すだろう。最良のシナリオであっても、私たちの文明は数十年単位で後退することになる」と語っており、スペースデブリから衛星を守ることは人類の生活を守ることにも繋がることがわかるかと思います。

スペースデブリへの対策について

スペースデブリ対策は主に2つあります。

・スペースデブリを増やさない
・スペースデブリを減らす

スペースデブリを増やさない

一つ目の「スペーススペースデブリを増やさない」について解説します。スペースデブリは①正常運用時の物体放出、②軌道上での自己破砕、③運用終了後の保護軌道域(※1)からの離脱失敗、④軌道上物体との衝突による破砕によって増加します。

※1保護軌道域
利用頻度が高く、保全すべきと識別される軌道域

「スペースデブリを増やさない」ための国際的な議論・ルール

これらの対策は一国が実施しても効果は薄く、国際的な協力が不可欠です。各国宇宙機関では、国際標準・ガイドラインに対応した運用をしており、国際ルールに準拠して活動しています。宇宙活動の研究援助・情報交換、法および原則の確立等の検討を目的とした国連宇宙空間平和利用委員会 (United NationsCommittee on the Peaceful Uses of Outer Space UN COPUOS) では、2007年にスペースデブリ低減ガイドラインを承認・発表しましたが、このガイドラインは法的拘束力を持っておらず、国連宇宙空間平和利用委員会加盟国に対して最大限可能な範囲で自主的に対策を求めるに留まっています。

ガイドラインの具体的な内容は以下の通りです。

  • 正常な運用中に放出されるデブリの制限

  • 運用フェーズでの破砕の可能性の最小化

  • 偶発的軌道上衝突確率の制限

  • 意図的破壊活動とその他の危険な活動の回避

  • 残留エネルギによるミッション終了後の破砕の可能性を最小にすること

  • 宇宙機やロケット軌道投入段がミッション終了後に低軌道(LEO)域に長期的に留まることの制限

  • 宇宙機やロケット軌道投入段がミッション終了後に地球同期軌道(GEO)域に長期的に留まることの制限

出典:https://stage.tksc.jaxa.jp/spacelaw/world/1_02/02.J-8.pdfより

「スペースデブリを増やさない」ための技術

宇宙開発の進展と共に、宇宙空間には人工物が増加し、それに伴い衝突リスクも高まっています。近年、衛星コンステレーションの増加により、一度のプロジェクトで大量の衛星が打ち上げられるようになりました。その代表例がSpaceXのStarlinkプロジェクトです。Starlink衛星は、地球低軌道に4000基以上を展開し、スペースデブリとの衝突回避が重要視されています。

2022年12月から2023年5月にかけての6ヶ月間で、Starlink衛星が衝突を避けるために行った回避アクションは約2万5000回に及びました。これは、地球上のどこからでも観測でき、どの地上局とも通信が可能な衛星コンステレーションの普及とともに、宇宙空間におけるスペースデブリとの衝突回避に尽力していることを示しています。

過去のコンステレーションに関するnoteはこちらをご覧ください。

衝突を回避するためには、スペースデブリの観測と監視を行い、事前に衝突警告を出すことが大切です。記事の後段では、スペースデブリの観測と監視技術を紹介します。


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