米国で話題になった皆既日食、基本から解説します
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本記事では、先月アメリカで観測された皆既日食を取り上げます。日食、聞いたことはあるけれど、どのようなメカニズムで起こるのか知らないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、皆既日食の基本から解説し、地上や宇宙からの観測結果を紹介します。
1.皆既日食って何?
日食とは、「月によって太陽の一部または全部が隠される現象」のことです。月は地球の周りを回っており、1か月に一度、月と太陽は地球から見て同じ方向に見えます。月と太陽の見かけの大きさはとても小さく普段は重なることはないのですが、たまにピッタリと重なり、太陽が月によって隠されることがあります。これが日食です。このピッタリがなかなか起きません。そのため、日食はレアな現象で、観測されるときには話題となります。
(1)アメリカで7年ぶりに観測
先月4月8日、皆既日食がアメリカで7年ぶりに観測されました。アメリカでは、日食にちなんだイベントの企画や商品販売が行われました。
実は、アメリカから離れている私たちでも簡単に体験できる企画があります。Googleで「日食」や「Solar Eclipse」と検索すると、画面上に皆既日食のアニメーションが流れるのです。記事を書いている私も、日食についてGoogleで調べようと思ったら、このアニメーションに出会いました。Googleの遊び心に触れる瞬間でした。
さて、次にアメリカで皆既日食が観測できるのは20年後の2044年、日本では11年後の2035年9月2日ということです。
このように、皆既日食がいつ観測できるのか予測できるのが不思議だと思いませんか?日にちや場所までピタリと予測できるのに何か理由があるのでしょうか?
(2)皆既日食はなぜ起こる?
先ほど説明したように日食は簡単に言えば、太陽と地球の間に月が入ることで起きます。地球は太陽の周りを回っていて、月は地球の周りを回っています。この運動は高校物理でも習う運動方程式によって決まっていて、計算することができるため、次の皆既日食がいつ起きるのか予測することができるのです。
(3)日食の種類
太陽・地球・月の位置関係の違いで観測できる日食には三つの種類があります。皆既日食、金環日食、部分日食です。
皆既日食
太陽・月・地球が完全に一直線に並ぶ際に、月が地球に近いと、皆既日食が起こります。相対的に月が大きく見えるので、太陽が月の影にすっぽりと隠れ、昼間にもかかわらず夜のような暗さになります。
金環日食
太陽・月・地球が一直線に並ぶ際に、月が地球から遠いと、金環日食が起こります。相対的に月が小さく見えるので、太陽が月の影に隠れきらず、月の影の外側に金色に光る環のように見える太陽が観測されます。
部分日食
皆既日食や金環日食が見られるのは、地球上で太陽と月が完全に重なって見える地点だけですが、その周囲の地点では太陽・月がややずれて見えることになります。このような地点では太陽が月の影に一部隠される部分日食を見ることができます。
皆既日食と金環日食の違いはどのようなところにあるのでしょうか。答えは、地球と月の距離が変わり、一定ではないことにあります。
月は地球の周りを回っていますが、その軌道は円ではなく楕円となっています。そのため、地球と月の距離が変わります。具体的には、月と地球が最も近づく近点では約36万キロメートル、月と地球が最も遠い遠点では約40万キロメートルとなっており、その差は約4万キロメートルで約地球1周分の違いがあります。
つまり、太陽と地球の間に月が入るとき、地球と月が近いと相対的に月が大きく見え、太陽が完全に月に隠される皆既日食が起きます。一方で、地球と月が遠いと相対的に月が小さく見えるために、太陽が月に隠れきらず金環日食が起きます。
このように日食には主に3種類ありますが、まれに金環皆既日食が観測されることもあります。これは同じ日に、ある地点で皆既日食が観測され、別の地点で金環日食が観測される現象のことです。月と地球の距離が皆既日食と金環日食が起きるギリギリの距離の時、地球が丸いために場所によって見え方が変わるため、このような現象を見ることができます。
前回の金環皆既日食は、2023年04月20日にインド洋、アジア、オセアニアで観測されました。次の金環皆既日食は、2031年11月15日に太平洋、パナマで見られる予定です。
2.皆既日食の観測
(1)地上からの観測
先月のアメリカでの皆既日食は、アメリカ大陸を南西から北東へ斜めに横断するルート上で観測することができました。
地上からの観測では、太陽が徐々に月の影に入っていき、周囲が暗くなる様子が見られました。
(2)宇宙からの観測
一方で、皆既日食は地上以外の場所でも観測されていたことをご存じでしょうか。その一部をここで紹介します。
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