会社見学レポート「ICOMA | TATAMEL BIKE(タタメルバイク)」~天地人オリジナルデザインで駆ける~
天地人は、2050年にも持続可能な地球環境を目指して活動するJAXA認定ベンチャーです。宇宙ビッグデータをWebGISサービス「天地人コンパス」で解析・可視化することで、まだ誰も気付いていない土地の価値や地球の資源を明らかにするサービスを提供しています。
『今日から使える宇宙豆知識 by JAXAベンチャー天地人』では、宇宙に関連するさまざまな最新情報を、天地人のエンジニア、研究者、ビジネスリーダーが一歩踏み込んで解説します。
本記事では7月17日(水)に行った、株式会社ICOMAさんのオフィス見学の様子についてお伝えします。ユーザーの声を取り入れ、圧倒的なスピードでタタメルバイクを開発する様子を見学し、ものづくりに対する刺激を受けました。ICOMAさんの姿勢や想い、そして天地人用のオリジナルバイクを中心に紹介したいと思います。
1. 株式会社ICOMA | タタメルバイクとは?
ICOMAさんは、折り畳み式の電動バイク「タタメルバイク」を開発・販売している日本のスタートアップ会社です。創業は2021年で、代表は、株式会社タカラトミーで変形ロボ「トランスフォーマー」の海外事業に携わった、生駒崇光さんです。
2023年1月には、ラスベガスで開催された、最新テクノロジーが集結する世界最大規模の展示会「CES 2023」において、特に優れた製品に贈られる、「CES 2023 イノベーションアワード」を受賞しています。
詳しくはこちらからご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000112197.html
今回は千葉県松戸市にあるガレージにお邪魔しました。タタメルバイクは、このガレージのみで生産が完結するようになっています。オープンガレージも時々やっているとのことなので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
2. ガレージツアー開始&バイク説明
早速ガレージを案内していただきましたが、入口から目を引くものがありました。
自作のゴーカート、、!?
ICOMAさんに所属する社員さんが趣味で50ccのマイクロカーを作り、日本一周達成したとのことです。
初めからもう驚きが止まりません!部品集めから組み立てに加え、日本一周は相当な熱量が感じられますね!圧倒的なスピード制作の裏側には最強な社員さんが集まっているのだと感じました、、、
ガレージに入ると、そこにはタタメルバイク制作場所が広がっていました。
同じ空間でも様々な作業をしている様子が印象的でした。
PCで設計している人がいれば、打ち合わせをしている人、組み立てている人などなど。松戸ガレージのみで生産が成り立つからこその雰囲気なんだなと感じました。
そんなICOMAさんのガレージでは、実は働き方に工夫がありました。基本社員は定時退社で、残りの時間は自分の趣味に充てるというルールがあるそうです。これが、ICOMAさんの豊かなアイデアの秘訣でしょう。ものを作ることが大好きな社員さんが集まっているため、午前2時くらいまで自分の作ったメカをぶんぶん飛ばしていることもあるとか、、。
タタメルバイクの魅力といえば、付け替え可能なカスタムサイドパネルです。その日の気分や服装によってバイクを着せ替えたり、車体への影響を考えずに自分でカスタムをしたり、自分の仕様のバイクへと変身させることができます。
自分のお気に入りのマークや特徴をモビリティに盛り込めるのはワクワクしますね。天地人もこの部分は、宇宙っぽさを意識してオーダーしました。次の章で詳しく紹介します。
ガレージをざっと見学して、いよいよ天地人オーダーメイドバイクの折り畳み方についてご教示いただきました。シートの部分に、ハンドルやミラーなど上半分のパーツを一気にしまい込まれてしまい、瞬く間に箱型へ変身していきました。初心者でも組み立てやすいように、単純な操作でスムーズにパーツを動かすことができるような工夫がされていました。天地人メンバーもチャレンジし、そのスムーズさに驚きの連続でした。
タタメルバイクが「あっ」という間に折り畳まれる様子はこちらからご覧ください。
https://www.icoma.co.jp/tatamelbike
タタメルバイクの特徴として、折り畳んでハンドルを出すことでまるでスーツケースのように、転がして移動することが可能という点があります。マンションのエレベーターや、街中など、今までバイクが入り込めなかった場所への可能性が広がりますね。
3. たためるバイク試乗
今回は、天地人CEOの櫻庭が1年ほど前にオーダーメイドで注文をしたタタメルバイクに試乗させていただきました。デザインはオリジナルで、宇宙やロケットをイメージした作りになっています。ICOMAさんのお名前に加え、「Tenchijin」や「JAXA STARTUP」のロゴが魅力的です。
さて早速試乗です!
ディスプレイにタッチするだけのNFCカードキーを採用しているため、スマートに乗車することができました。かっこいい!!
試乗した感想は、電気自動車なのでスムーズな動きが心地良く全く怖くなかったです。初めは慣らし運転でしたが、慣れてくると風をきっている感覚があり、非常に気持ちが良かったです。
このバイクの一番の魅力はコンパクトなかわいさだと感じました。正直、バイク初心者はバイクに対して「怖い」という感情が出てしまい、なかなかハードルが高いでしょう。しかし、このコンパクトさが恐怖心を取り除き、親しみやすいものに変わるのでしょう。
実は筆者も試乗しました。バイクどころか運転初心者で、バイクに対して分厚い壁を感じていました。しかし、バイクを感じさせないコンパクトさで全く怖さはなく、とても気持ちよかったです。そして何よりも運転しやすかったです。このタタメルバイクのアイデアは本当に初心者に優しいと感じました。
生駒さん自身も、一般の方々、特に女性のバイクへの壁を無くしたいという想いがあるとのことでした。今回のバイクは、普通免許を取得していれば乗ることができます。手に取りやすく親しみやすいバイクとして広がることを目指します。
4. ICOMAさんのたためるバイクへの思い
タタメルバイクのきっかけは、電動モビリティへの興味でした。
このユニークなスーツケースのような箱型設計は生駒さんの経歴から生み出されたアイデアです。元々、玩具メーカーのタカラで変形するロボットキャラクター「トランスフォーマー」に携わった経験から、ネット家電スタートアップのCerevoやパーソナルロボットを開発するGROOVE Xなどでも経験を積んでいます。
その経験を得て、タタメルバイクの発想にたどりつき、小さな模型で想像を形にし始めました。その後、思いのほかSNSでバズり、タタメルバイクを実車で作ってみたいという想いに至りました。
何回も試行錯誤しました。20-30台も試作を繰り返してやっと今のカタチにたどりつきました。そして、冒頭でも述べた、2023年のCESでの受賞の評価も受け、製品化まで実現をしました。
生駒さんの事業は、モビリティにおける「たためる」という新たな価値を創造しました。商品を作るのではなく、新規ユーザーのいる市場を作る。これは大手企業にはあまり多くない視点であり、生駒さんならではの発想でした。
「バイクユーザーや車に興味がある人が少ない中、モビリティをもっと楽しんでもらいたい。もっとバイクが身近な存在になってほしい。」
生駒さんはそのような想いを持ちながら、今のタタメルバイクの事業を営んでいます。その想いを踏まえ、事業にはいくつか工夫がありました。
例えば、「設計はシンプルに無駄なく」
ハードウェアスタートアップとして、大手メーカーが量産するような作り方だと多大な開発コストがかかり、実現化までの道は長かったようです。
そこをシンプルな板金加工、平面的なデザインにすることで実現し、そこの部分を活かしてユーザー好みのカスタマイズをできる余白も生みました。もしカスタマイズしたい場合は、側面のパネルで大きくデザインを変えることができます。
そして、「購入者のリアルの声を大切に」
今のタタメルバイクは、ユーザーからの意見を得て完成したものになるそうです。お客様の声は絶対に聞いて取り入れる姿勢が素敵ですね。
また、ガレージにはカプセルトイの販売機もありました。
1/12サイズのタタメルバイクがねじや接着剤無しで作れるというコンセプトです。こちらは全国のカプセルトイ売り場でも販売されて、第二弾まで出ているそうです。
「このカプセルトイがきっかけで、新しい形のモビリティに興味を持ってくれる子供が増えたら、、」という想いがあるそうです。
発売日初日に売り切れた店舗もあったそうで「小さなモノから大きなモノへ」という生駒さん自身の過去と繋がっていそうですね。
最後に、天地人バイクに生駒さんのサインをしていただきました。
生駒さんは今後、タタメルバイクとIoTを組み合わせ、安全・安心なタタメルバイクを開発していきたいとお話されていました。また、組み立てをもっとスムーズにする商品を試作中とのことでした。
これからもICOMAさんのタタメルバイクが多くの人の夢を繋ぎますように!
お知らせ:タタメルバイク、国内限定で量産開始!
2024/8/10に公式XでICOMAさんは、折りたたみ電動バイク「ICOMA タタメルバイク」の量産開始を発表しました。初回オーダーメイドのユーザーからのフィードバックを受け、次期ロットの具体的な仕様、価格が確定し、設計、デザインを改良したモデルが販売されます。
台数限定での国内製造!
デリバリーは10月頃、価格は、税込498,000円(送料別)です。
詳しくは以下のURLをご覧ください。
(記事作成:事業開発インターン 寺田胡桃)