見出し画像

「自己実現から、社会実現へ。」エンジニア 高瀬 賢二 l\\ てんちびとインタビューVol.32

皆さんこんにちは! 天地人の学生インターンの田嶋です。

天地人は、2050年にも持続可能な地球環境を目指して活動するJAXA認定ベンチャーです。宇宙ビッグデータをWebGISサービス「天地人コンパス」で解析・可視化することで、まだ誰も気付いていない土地の価値や地球の資源を明らかにするサービスを提供しています。

「てんちびとインタビュー」のシリーズでは、毎月1回、天地人で働く社員を紹介しています。今回はその第32弾として、天地人のエンジニア、高瀬 賢二さんにインタビューします。

○ 名前:高瀬 賢二(Kenji Takase)
○ 出身:東京都
○ 経歴 / 職種:元Jazzギタリスト / ソフトウェアエンジニア
○ プライベート:中学生の娘の父。料理担当。
○ 好きな野菜:ネギ関連(全ての料理に使用)
○ 欲しい秘密道具:欲しい秘密道具:どこでもドア(ちょっと今から会いに行きます、ができるから)

ファーストキャリアは、Jazzギタリスト!?

これまでのキャリアを教えてください。

Jazzギタリスト、 ボウリング場社員といった20代を経て、30代で医学系翻訳会社に入社しました。法人営業を経験後、社内SEとなり、エンジニアとしてのキャリアに転向しました。その後、自然言語処理を専門とする会社に転職し、サービスの開発に従事しました。天地人には、2024年3月にジョインしました。

最初は、Jazzギタリストですか!?

そうです。中一の時に兄がギターを始めて、すぐに飽きて弾かなくなったものを譲ってもらいました。最初は色々なロックバンドの曲をコピーしていたのですが、どんどん指が動くようになり、コピーが簡単になってくると、もっと音楽を理解して「自分の演奏」ができるようになりたい、という気持ちが強くなってジャズに関心を持ちました。それが高一なので、高校生の頃には既に、Jazzギタリストを目指していました。中学から大学にかけては、文字通りギターに傾倒しており、ギターのことしか頭になかったです。

ということは、大学は音楽系でしょうか?

文学部英米文学科で学んでいましたが、ギターの仕事をやりたい勢いが余って4年生になってから辞めました。当時、都内のジャズサークルや研究会のメンバーが集う場所に頻繁に顔を出していたのですが、そこで色々な仲間と出会い、セミプロのような形で活動を始めて、だんだんと仕事みたいになりました。その流れで、20代前半はプロのJazzギタリストとしてレコーディングに参加したり、ジャズクラブで演奏したりしていました。

中学生からの夢を実現されたのですね!

そうですね! ただその後、20代中盤でギターは辞めました。やっぱり、楽器を弾きたいだけの人と、音楽を生業として続けられる人は根本が違う気がしてきて。僕は、「少しでもかっこいい・良い演奏をしたい」とは常に思っていたのですが、ギターを弾くことが、自分に対してどんな意味があるのだろう、とか世の中に対して何を主張したいんだろう、みたいなところに繋がっていなかった。その状態で仕事として続けていくことに疑問を感じ始めてしまいました。ギターを演奏することは好きなので、いわゆる「スタジオミュージシャン」に音楽キャリアを振り切っていたら別の可能性もあったかもしれませんが、そこにはなぜか興味が沸かなかったところもあります。

そうなんですね......。

そうやってモヤモヤしている頃、昼間はボウリング場で働いていたのですが、そこで、プロボウラーもかっこいいなあと思ったんです。常にフリーであるギタリストと違って、ライセンスがあるのも魅力的で、次は、プロボウラー目指してみようかな、と。そのため、そのボウリング場に就職して社員になり、空いている時間はひたすらボウリングを練習する生活を送っていました。20代後半は、ボウリング一色でした。

とても濃い20代ですね。聞いていて面白いです。

ありがとうございます(笑)。でも、プロテストに落ちたんです、3年間連続で。そのタイミングで、僕、自分に対する興味が一切なくなってしまって。というのも、最後のプロテストに落ちた時には、プライベートの大きな転機が訪れて、結婚をして子供ができたことが大きかったと思います。
それで、一度会社に勤めてみようと思って入社したのが、医学翻訳の会社でした。その会社で営業からエンジニアに転向し、独学で、情報処理技術者の資格などを取りながらスキルを獲得してきました。社内業務の効率化ツールの開発をメインで担当していく中で、、自動翻訳や機械学習、人工知能に自分の興味が移り、自然言語処理の専門会社である株式会社レトリバ(前職)に移りました。そして、この春から天地人にきた、という流れです。

地球環境への危機感

天地人に入社を決めたのはなぜですか?

40台になり、あと20年ちょっとをどう過ごそうかなと考えた時に、地球環境や、サステナブルな社会に向けた取り組みに視点が変わってきました。最終的には、自分の持っているスキルが、天地人にフィットしそうだと思えたことが決め手となりました。

そうなのですね! ......ちなみに、地球環境や社会には、いつ頃から関心を持たれたのでしょうか?

確かに20代は、どうしたらもっと良い演奏ができるのか、どうしたらもっと良いフォームで投げられるのか、ということだけを考えて生きていました。だから、プロボウラーを諦めた後、目指すものが無くなってしまって。脳がいきなり「empty(エンプティ、空白)」になったんです。もちろん、仕事や子育てで心も身体も忙しいのですが、脳内は自由なので。逆に聞いてみたいのですが、脳内が「empty」になったら、人間はどうなると思いますか?

生きるとは何か、みたいなことを考え出すのでしょうか?

なるほど。確かにそうなるかもしれませんね。僕の場合、読書への欲求が超絶に芽生えました。それまで、映画は好きでしたが、読書はとにかく嫌いで。しっかり時間をとって本を読むことはめったになかったんです。でも、emptyになって、自分は社会のことを全然知らないなと自覚して、無性に知りたくなりました。家の近くに図書館があったのですが、「無料でこれ全部借りれるってすごくない?」って事実に僕は初めて向き合ったんです。それでもう、「ここの棚、こっからここまで」みたいにジャンル問わずに読みまくりました。

いや、極端ですよね。やっぱり。

そうですよね。そしてその時に、バックミンスター・フラーを知ったんです。「宇宙船地球号 操縦マニュアル」と言う本を書いている発明家なのですが、その本を読んで、「今後どうやったら人類が生き残れるのか」という点に強い危機感を抱きました。そこから、エネルギーの効果的な利用や、サステナビリティに関心が移り、それが最終的に天地人に繋がってきたと思います。天地人の、地球に良い取り組みによって、「人類の文明活動を最適化する」というビジョンはとても好きです。

なるほど、そこで繋がるのですね!
現在、天地人ではどのようなお仕事をされているのでしょうか?

アプリケーション開発部門のマネージャーを担当しています。マネージャーとしては、組織としてのガバナンスの向上やインフラセキュリティの全体的な底上げから手をつけ、多様性とバランスを意識したマネジメントができるよう日々模索しています。プレイヤーとしては、バックエンドエンジニアとして、クラウドインフラ周りやAPIサーバーの分野を担当することが多く、「天地人コンパス 宇宙水道局」にも深く関わっています。

詳細はこちら:

Wantedlyの記事においては、マネージャー目線のお話を沢山して頂いております。でも、今日のお話を踏まえると、高瀬さんの関心はどちらかというとプレイヤー側、エンジニアとして高みを目指す方にあるのかと感じたのですが、どうでしょうか?

そうかもしれません。メンバーが働きやすいように、最適なマネジメントができるようになりたいとは当然思っていますが、マネージャーという立場自体に、こだわりは全くないです。一方で、ソフトウェアエンジニアとしてのスキルアップは、エンジニアになってから常に頭の中で回っているテーマの一つです。

プロのエンジニアとして、今後突き詰めていきたい領域はありますか?

それは、今ちょうど迷っています。これまでのキャリアを考慮すると、バックエンドやクラウドインフラに寄っているのですが、広さで勝負するのもアリかと思っていて。一つの領域に特化した深いスキルを持っていることはエンジニアとしての強みだと思いますが、とにかくめちゃめちゃ幅広く色々知っている、手が動かせる、ということ自体も強みにはなるので、僕は後者を目指した方が良いのかもしれないな、と漠然と考えています。天地人で働く中で、徐々に定まっていけば良いなと思います。

好きなことは、とことんやる。

非常に個性的な高瀬さんですが、幼少期はどんなお子さんだったのでしょうか?

相当賢かったと思います(笑)僕、めちゃくちゃ覚えているんです、色々なこと。幼稚園や小学校のクラスメンバーの名前もほぼ全員フルネームで言えるし、当時の空気感や肌触りも含めて、鮮明に色々な記憶が残っているタイプだと思います。ひょっとしたら胎児の頃の記憶もあると思っていて、小さい時から「絶対的な幸福感と安心感に包まれた、薄暗いやわらかい部屋」みたいな、安心の原体験みたいな記憶がずっと残っています。小さいころから何かあると「あの頃に戻りたいな~」みたいに思い出していました。
逆に、中高大の記憶は結構薄いですね。関心が全てギターに向かっていて、ギターのことしか考えていなかったので。

高瀬さんらしいですね......! それでは、中学以前にハマっていたものを教えてください。

それでいうと、ファミコンです。僕のファミコンの原体験は、年の離れた従兄弟のお兄ちゃんがスーパーマリオで遊んでいる時に、クッパが火を吐くのが怖くて、お兄ちゃんの後ろに隠れながらそっと見ていたことです。それがおそらく2.3歳の頃で、4歳くらいから自分も遊んでました。ディスクシステム版のゼルダの伝説とか。そうすると、小学生になった頃には学校の中でもゲーム友達が増えてくるので、、よく友達と一緒に遊んでいました。何年生の時はこれやったな、とか、あのゲームの発売が楽しみだったな、とか、当時はファミコンやスーパーファミコンと一緒に生きていた感覚はありますね。

さすが、ゲームもやり込んでいますね。

はい。他の主な記憶は、塾だと思います。僕、中学受験をしたんです。祖母が実家で浪人生の下宿をやっていたので、物心がつく前から家に家族以外の下宿人がいて。何をしている人なんだろう、と思ったら、学校に入るためにずっと勉強している人、ってことが分かる。子供心に、「なんでそんなことするわけ」と思うじゃないですか。それで、大学受験は絶対にしたくないと小学生の頃に決めて、両親に頼んで塾に行かせてもらい、中学受験をしました。無事に中高大一貫の学校に合格し、もう生涯二度と受験はしません、という気持ちになりましたね。

ほんっとに、面白いですね!!! 勉強は好きだったのですか?

そうですね。好きでしたし、得意な方だったと思います。中・高生の頃は学校の授業さえ受けていればテストは余裕でしたし。中学受験をしていると、小学校のクラスでは半分先生のようなポジションになるので、よく友達に勉強を教えていて、先生を職業にするのもありかなとか思ったり。後は純粋に、楽しかったんです、塾。学校以外の場所にも友達がいて、一緒に勉強して、そこでもファミコンソフトの貸し借りがあって、みたいな。勉強もファミコンも、熱中とは違いますが、好きだったので、やり込みました。

それで、中学生からは、ギターにのめり込むんですね。

はい。中学の頃には、バンドも組みました。当時は陸上部に所属していたのですが、3年生の先輩が、文化祭でコピーバンドを組んで演奏していたんです。それで、僕ギター弾きたいし、バンドやりたいなあと。同級生のメンバーに声をかけ、ちょっとだけピアノを齧ったことがある親友が一緒にギターを始めて、、同じ陸上部に所属していた友達を誘ってドラムを始めてもらって、兄がベースを持っている友達にベースを頼み、三年生になった時にはクラスメイトをボーカルに誘って、みんなでバンドを組んで文化祭で演奏しました。

アニメの世界ですね。このエピソードから、既にマネージャーの片鱗が見えます(笑)

99%の努力は、積み上がるものに投資する。

人生の中で、指針としている言葉はありますか?

沢山あります。でも一番は、「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」ってやつです。僕は、Jazzギタリストをやっていた時も、プロボウラーを目指していた時も、この言葉を愚直に信じていました。でも今は、これは頭ごなしに信じてはいかん! と思っています(笑)

挑戦的ですね(笑)

はい(笑)99パーセントの努力、を信じてがむしゃらに取り組んだとしても、その努力が積み上がる保証はないと思っています。特に芸術とスポーツに関しては正しく積みあがる保証がなくて、積み上がる人は積み上がるし、積み上がっていようがいまいが、良い方向に転ぶやつは転ぶ。だから、99パーセントの努力は、そもそも努力が正しく積み上がる可能性のあるものに投じないとダメだと、僕は30歳の頃にようやく気付きました。そして時間は有限なので、努力が蓄積するスピードを把握できるものにコミットすることも大切なのかと思います。色々な気づきがありましたけど、この言葉は今でも好きですね。

個人的に刺さりました。私は何を積み上げようかなと、考えてしまいました。

後は、あくまで僕の考えですが、自己実現したいものが社会にハマっていないと、どんなに好きでも仕事として続けていくのは難しいのかな、と思います。趣味として続ける分には、純粋に好きだからで良いのですが、いわゆるプロフェッショナルとして続けていく時には、それが社会と繋がっている必要があるのかなと。僕は、ギターやJazzがとても好きでしたが、自分がそれをやることが世の中に対してどんな意味を持つのかが分からず、続かなかった。一方で、正直エンジニアになりたかったわけではないけれど、「これを自動化してほしい」みたいな人の要望に応えてきたら、結果10年以上ソフトウェアエンジニアを続けている。これは、僕がエンジニアであることと、世の中に価値が生まれることが繋がる状況にあるから、努力が実るし、続くのかなと思うんです。

確かに、自己実現の先で社会実現に繋がらないと、長く続けていくのは難しいのかもしれないですね。高瀬さんは、今はどちらかというと社会実現への関心が強いのでしょうか?

そうですね。今は、自分のことより、社会を良くしていきたい気持ちが強いです。ご存じの通り、昔は自己実現一直線タイプだったので、これは社会人となり、親にもなったことで、変わってきた部分だと思います。また、社会のためになることが、巡り巡って自分のためにもなる、ってことは、年齢が上がるほど増える気はしています。もちろん、自分の楽しいことを大事にしていきたいとは思いますが、社会のこと、社会課題の解決が、今は一番関心があります。

素敵ですね。特にこの分野で社会を良くしていきたい、という分野はありますか?

やっぱり、エネルギー問題ですかね。持続可能な社会を築いていくために、不可欠な要素かなと思います。先ほど名前を挙げたバックミンスター・フラーは、宇宙船地球号という考え方を提唱していて、「人類は、太陽系の中の地球という”乗り物”を操縦して、宇宙を旅しているのだから、その乗り物の中で、いがみ合っても仕方ない」という観点から、地球上の資源の有限性や、資源の適切な使用について述べているんです。僕、この考え方がとても好きで。人類はまだ、太陽や地球から授かってるエネルギーを消費する段階でしかなくて、行動領域も地球に閉じているけれど、それを、地球から次の恒星に向かうミッションを背負ってる、生き延びるための壮大なゲームだと思ってみても面白いと思ってます。

以上、高瀬さんのインタビューでした。
これからも天地人のメンバーにインタビューしていくので、お楽しみに!

天地人では、衛星や地上の様々なデータとAIを活用して、課題解決に向けて情報分析、ソリューション提供を行っています。ご質問等ございましたら、info@tenchijin.co.jp までお気軽にお問い合わせください。

株式会社天地人では一緒に働く仲間を募集しています!

https://sg.wantedly.com/companies/company_5025838/projects