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世界最大級のテックカンファレンスで、宇宙技術はどの位置付けに? 目玉は最新3Dプリントの再利用ロケットエンジン【VIVATECH2024レポート vol.3】

こんにちは、株式会社天地人広報担当の蓙谷(ござたに)です! 衛星データを使った土地評価コンサルを行っているJAXAベンチャーの天地人は、この度JETROさまに選出いただき、パリで開催された世界最大級のテックイベント「VIVA TECHNOLOGY 2024」での出展の機会をいただきました。

世界中から約17万人もの参加者が訪れたVIVATECH。フランス政府からのバックアップも大きな、国をあげた肝入りのイベントです。世界中から、どんなにワクワクするようなテクノロジーが集結するのでしょうか。現地での発見を、テーマごとにまとめました🇫🇷

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vol.3のテーマは、VIVATECHで展示されている宇宙技術。今年のVIVATECHのメインテーマはAIではありながらも、宇宙関連のブースもいくつか展示がありました。テック業界全体の中での宇宙技術の立ち位置を記録するためにも、2024年のVIVATECHでどんなスタートアップがフィーチャーされているかをまとめていきたいと思います。


レーザーパウダーベッド融合技術で目指す、世界初の再利用ロケット

はじめにご紹介するのが、会場内でも注目を集めていたフランスのスタートアップ「SIRIUS」。小型衛星向けの再利用可能な打ち上げロケットの開発に注力する企業で、会場では2026年に打ち上げ予定の「SIRIUS13」の模型を展示していました。フランス政府が主導するスタートアップ支援プログラム「フレンチテック」のブースで一番目立つ場所をもらっていたので、同じ宇宙スタートアップ仲間として嬉しくなってしまいました🚀

上の画像に写っているのが、SIRIUSの技術の真骨頂、再利用可能なロケットエンジン「STAR-1」です。最新の3Dプリント技術であるレーザーパウダーベッド融合(LPBF)技術を用いて製造されており、高効率かつ高性能な燃焼を実現します。また、再生冷却システムを採用することでエンジンの熱効率と耐久性を向上。メンテナンスの頻度を減少させ、長時間の運転が可能となります。

再利用可能エンジンの開発は、おなじみのSpaceXや、Blue Origin、Rocket Labなど、世界中のスタートアップが取り組む分野。コスト削減や、環境負荷の低減、資源の有効活用、打ち上げスケジュールの短縮など、多くのメリットが期待されています。SIRIUSの打ち上げは2026年予定とのことですが、それまでにミッション成功を遂げる企業は出てくるのでしょうか。

同じ宇宙業界でありながらも、天地人が取り組む衛星データからは少し遠く感じてしまっていたロケット開発。今回実際にエンジンに触れて、近くで見ることで、改めてその面白さを感じることができました。これからはロケット関連のニュースも更に関心を持って追いかけられそうです🚀

ISSの後継ステーション建設を担当するAirbus。宇宙技術の地球での応用も

次にチェックしたのは、ヨーロッパの航空宇宙産業を牽引するAirbusのブース。フランスで宇宙と言えば、Airbus抜きには語れません。

©︎Airbus https://www.airbus.com/en/vivatech

VIVATECHでは、スポンサーとして巨大なブースを出展していました。モビリティ分野の方では、都市型エアモビリティのソリューションである「CityAirbus NextGen」の試乗体験が人気。

©︎Airbus https://www.airbus.com/en/vivatech

お目当ての宇宙技術分野の方では、大きく分けてふたつの展示がありました。ひとつは、2028年から運用開始予定の新しい宇宙ステーション「StarLab」のモックアップ。なんと、国際宇宙ステーション(ISS)は2028年に運用停止予定なんですね。恥ずかしながら、ここで知りました😲

StarLabは、科学研究や商業活動を支援する最先端施設として設計され、宇宙探査の新たなフロンティアを開くことを目的としているそう。約30年ぶりのリニューアルですから、大きくアップデートされる部分が多そうですね。今から注目しておきたいと思います。

©︎Airbus https://www.airbus.com/en/vivatech

ふたつめの宇宙関連の展示は、宇宙で活用されているDAC(Direct Air Capture)技術の、地上での応用について。DACとは、空気中のCO2を捕らえて除去し、CO2の代わりに新鮮な酸素を宇宙飛行士に提供する技術です。ISSでは、現在のCO2除去システムに加えて、DAC技術の導入が検討されているとのこと。

宇宙飛行士のために研究開発が進められたこの技術には、地上での応用にも大きな可能性が秘められています。Airbusの展示では、捕捉したCO2の農業での活用や、燃料の原料としての再利用が提案されていました。

「宇宙技術の地上での応用」と言われると、まさに天地人の「月面アスパラガス」のプロジェクトを思い起こします。

Airbusの展示と比べても、天地人が6月まで日本橋三越さんに置かせてもらっている月面アスパラガスの展示も遜色ないと思いました✨ 世界最高峰を見ることで、自分たちの現在地を捉え直す良いきっかけになりました。

アブダビ発、AI×宇宙コンサル。宇宙ミッションを最適化し、成功率上げる


最後にご紹介するのは、アブダビ発の宇宙×AIスタートアップ「Aistrospace」。宇宙産業におけるAI技術の統合を専門としており、衛星会社や宇宙機関に向けたコンサルティングサービスを提供しています。

宇宙技術を紹介している企業はいくつかありましたが、AIをここまで押し出しているのはAistrospaceだけでした。創業は2023年8月で、超新進気鋭のスタートアップですが、既に27のクライアントを持ち、707のAIモデルを開発。運用するGPUは250台とのことで、その処理能力の高さが伺えます。

お話を伺ったところ、宇宙ミッションにAIアルゴリズムを活用することで、自然災害の早期検出や、自律的な宇宙船運用、新たな天体発見の効率化などが期待できるそう。Aistrospaceは、既存の様々な宇宙技術にAIを掛け合わせる専門家集団といったところでしょうか。

衛星データ × AIがコア技術の天地人としても、技術面も見せ方も学べる部分が多くあるような気がしました。今後も動向をチェックしていきたいと思います!

ということで、VIVATECH2024で展示された宇宙関連技術から一部をご紹介しました。宇宙専門の展示会と比べると数が多いとは言えませんが、それでもやはり未来を象徴する技術として来場者の視線を集めていたのは印象的でした。

個人的には、世界トップレベルの見せ方の工夫、宇宙のワクワクや希望を伝えるワーディングや、空間設計を体感できたことも収穫でした。天地人もありがたいことに、国内外問わず展示の機会を沢山いただくので、今回の学びを活かして見せ方も更にアップデートしていけたらと思います💪