見出し画像

民間企業の参入で大躍進が期待 インドの宇宙関連スタートアップの最新情報

天地人は、衛星データを使った土地評価コンサルを行っているJAXA認定ベンチャーです。地球観測衛星の広域かつ高分解能なリモートセンシングデータ(気象情報・地形情報等)や農業分野の様々なデータを活用した、土地評価サービス「天地人コンパス」を提供しています。

天地人は、先日、シンガポールで開催された、在シンガポール日本国大使館、JAXA共催の宇宙ビジネス・マッチング・イベントに登壇しました。

アジアでの展開も積極的に進め、地球環境や宇宙環境に配慮しながら宇宙イノベーションの実現を目指します。

天地人noteでは、過去4回に渡り、アメリカ欧州日本カナダの宇宙関連スタートアップを特集してきました。

今回は第5弾 インド編。世界でもトップクラスの技術力を持つインドにおいて、宇宙市場で活躍するスタートアップを紹介します。

数字で見る3つのポイント

  • インドの宇宙市場規模は日本の1.5倍

  • 民間企業の参入促進により、世界で5番目の宇宙関連企業数

  • 宇宙関連のスタートアップ企業は100社超。投資額は前年比 196%

インドの宇宙市場

ISpA(Indian Space Association: インド宇宙協会)とコンサルタント会社EYのレポートによると、 インドの宇宙産業は、2025年には130億ドル(日本円で約1.8兆円)に達するとされています。
年平均成長率は、2020年の96億ドルから + 6%で、著しい成長を見せると予測されています。
日本の宇宙市場規模は約1.2兆円で、インドは、日本の1.5倍の規模感です。

最も大きな規模を占めるのは、36%の衛星サービスとアプリケーションです。
成長率が高いのは、衛星打ち上げサービスで、年平均成長率13%。2020年の6億ドルから2025年には10億ドルと急成長する見込みです。

出典:EY, ISPA レポート Developing the space ecosystem in India - focusing on inclusive growth 

インド政府は、2020年に宇宙事業への民間企業の参入を承認し、積極的に取り込もうとしています。宇宙関連企業数は、世界で5番目に多く、2021年5月時点で368社です。

出典:EY, ISPA レポート Developing the space ecosystem in India - focusing on inclusive growth

この背景の1つには、「デジタル・ディバイド(インターネットやコンピューターを使える人と使えない人との間に生じる情報格差)」の問題があります。宇宙を利用した通信は、インドのデジタル・デバイドを縮小する主要なメカニズムのひとつとなりえ、民間企業の革新的なアイデア・サービスが期待されています。天地人noteでは、過去にインドにおけるデジタルディバイドと衛星通信の関係を解説しました。2022年8月には、Amazon社がインドに進出した背景としてそれぞれ詳しく解説しています。

インドの宇宙スタートアップ

現在、インドには100社を超える宇宙関連のスタートアップ企業があります。
2021年は宇宙関連スタートアップにとって分岐点となる年で、投資額は6800万ドル(約9億円)に達しました。
金額だけを見ると、米国(840億ドル)や中国(320億ドル)に比べ大きくはありませんが、投資額を前年と比べると196%増であり、今後の成長が期待されます。
2021年にインドで新たに設立されたスペーステック・スタートアップは合計47社です。

EY, ISPA レポート Developing the space ecosystem in India - focusing on inclusive growth

インドの注目宇宙関連スタートアップの紹介・解説

ここでは、成長著しいインドにおいて、注目を浴びているスタートアップ4社を、天地人の技術的な視点を交えてご紹介します。

Cropin

農業サプライチェーンでの情報共有を目的としたオンラインプラットフォームを提供するスタートアップ企業です。衛星モニタリング・機械学習・気象情報を用いて、農場管理から収穫・市場との連携などを幅広くサポートします。

■Cropin社解説
農業は自然環境に最もダメージを与えている産業です。大企業のみがESGなどの環境に取り組む活動をしたところで大した変化は起こりません。Cropin社は全世界に存在する小規模農家さん達をターゲットにしたことで、企業レベルではなく地球レベルで農業を最適化するビジネスモデルだと感じました。

注目のポイントは、スケールの大きさにあります。世界中の 250 以上の組織と提携して、1,600 万エーカー以上の農地をデジタル化し、700 万人近くの農家の生活を豊かにしています。また、56 か国以上で 400 を超える作物と 10,000 を超える作物品種の情報を構築しています。

Cropin社は、2010年に設立され、インドの農業産業に技術をもたらす機会を見出してきました。政府、NGO、アグリビジネスなど、さまざまな組織とパートナーシップを結び、 2020年には、CB Insights によって世界のトップ 100 の AI スタートアップの 1 つとして認められています。

世界の人口が増加し続け、食料やその他の農産物の需要が増加するにつれて、農業をより効率的かつ持続可能なものにする緊急の必要性があります。 Cropin社はこの取り組みの最前線にあり、農業業界を変革し、すべての人にとってより持続可能な未来を創造するのに役立つ革新的なソリューションを提供する点で、注目のスタートアップと言えるでしょう。
(解説:事業開発 米陀)


以降の内容は有料となります。
(この記事のみ購入する場合は、200円です。月に3~4記事が月額500円になるサブスクリプションプランもご用意しております。)
この後の記事でも、インドの宇宙関連スタートアップ3社とその技術の解説をお届けします。
天地人へのご質問・記事に関するご感想・記事の内容のリクエスト等ございましたら、info@tenchijin.co.jp までお気軽にお問い合わせください

ここから先は

2,971字 / 4画像

¥ 200