PLATEAU徹底解説 街を3Dモデル化!可能性に溢れた掛け合わせが作るスマートシティ
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『今日から使える宇宙豆知識 by JAXAベンチャー天地人』では、宇宙に関連するさまざまな最新情報を、天地人のエンジニア、研究者、ビジネスリーダーが一歩踏み込んで解説します。
本記事では、2020年から国土交通省が開始した、PLATEAU(プラトー)について取り上げます。そもそもPLATEAUとは何か、どのような使われ方や可能性があるかなど、詳しく解説していきます。
PLATEAU(プラトー)とは?
2020年、国土交通省が主導する都市デジタルツイン実現プロジェクト 「PLATEAU」が始まりました。スマートシティの実現に向け、都市のデジタルツインを構築することで、より住みやすく、持続可能なまちづくりを目指しています。そのために、国のみではなく、産学官のプレイヤーもそれぞれのイニシアティブを持ったコミットが必要となります。PLATEAUでは、国、地方公共団体、イノベーション企業、地域コミュニティを中心に役割を明確化しています。
PLATEAUでは、自律的な発展を目指す「エコシステム」の実現に向けて、3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化が重要になります。なぜ、3D都市モデルなのか。
PLATEAUの3D都市モデルは、単なる形状だけでなく、建物の用途やインフラの情報など、多様な情報を紐付けて保存でき、都市空間そのものを再現する点が特徴です。今までの3Dデータと比較し、PLATEAUの3D都市モデルならではの提供価値は、大きく4つあります。
これらの価値が複合的に発揮され、視覚的に分かりやすく、そして、より精緻なシミュレーションを可能にします。PLATEAUの普及により、都市計画や防災対策など、様々な分野で今までにない革新的な技術が期待されています。
天地人のエンジニアブログでは、PLATEAUの解説とともに、実際にPLATEAUのデータをメンバーが開発したWebアプリケーションに連携させ、その過程や結果を紹介しています。
ぜひ合わせてご覧ください。
3D都市モデルは、2021年度で全国56都市、2022年度には新たに全国71都市でオープンデータ化されています。最新情報では、合計211箇所になります。(2024.3.29 時点)
航空測量などに基づき取得したデータから建物等の地物を3次元で生成しています。データをダウンロードする場合は、一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会が運用する「G空間情報センター」において誰でも無償で可能です。
各都市のデータは、国土交通省都市局国際・デジタル政策課が作成しており、利用する際はユーザーがニーズに応じて自由に利用することができます。
PLATEAUはどのように使われているか?
ここからは、PLATEAUの基本情報を理解した上で、全国各地で実際に行われている3D都市モデルを活用した事例を2つほど紹介していきます。
大規模不動産開発に伴う交通影響対策の円滑化
実施事業者:一般社団法人計量計画研究所 / 株式会社アイ・トランスポート・ラボ / 株式会社シナスタジア
実施場所:東京都港区台場
実施予定:2024年11月
近年、大規模な都市開発に伴う交通渋滞が社会問題化しています。交通影響評価方法として、ミクロ交通シミュレーション等の高度な解析手法が提案されていますが、データ収集や解析に手間がかかり、実務への活用が進んでいませんでした。
本プロジェクトでは、この問題を解決するため、3D都市モデルなどのオープンデータを活用し、ミクロ交通シミュレーションに必要なデータを自動生成するツール、そしてシミュレーション結果を可視化するツールを開発します。
シミュレーションデータ生成ツールは、3D都市モデルを使って、道路ネットワークや交通発生点を設定し、オープンデータからOD交通量(出発地から到着地までの交通量)や開発交通量(新たな開発により想定される交通量)を推計します。これにより、ミクロ交通シミュレータに必要なデータを自動生成します。
本プロジェクトにて交通影響評価をより手軽かつ正確に行い、道路交通対策の検討や関係者間の合意形成を支援します。
3D都市モデルによる公園設備管理業務のDX
実施事業者:国際航業株式会社 / Pacific Spatial Solutions株式会社
実施場所:国営越後丘陵公園
実施予定:2024年10月〜12月
全国の都市公園では管理・点検業務の多くがアナログ主体で、データ収集・管理方法が標準化されていませんでした。しかし、施設の老朽化による維持管理費の増大から、デジタル化が急務となっています。
そこで2023年、国際航業株式会社とPacific Spatial Solutions株式会社を中心に、実証実験として、3D都市モデルを活用した公園管理用のリレーショナルデータベースマネジメントシステム(RDBMS)を構築しました。しかし、検証では、巡視員・管理者双方の視点から課題や機能向上への期待が明らかになり、本プロジェクトが始動しました。
実証実験「公園管理のDX」において構築・開発したRDBMS、加えて当システムに紐づく管理・点検用アプリケーションを基礎とし、既存施設の移設・廃止を反映したデータベース更新機能 、施設配置のシミュレーション機能、ARでの情報可視化機能とオフライン稼働機能を開発します。
本プロジェクトにて、UI/UXの改善をし、巡視点検の合理化・省力化や公園管理業務におけるEBPMの実践を支援します。
宇宙ビッグデータとPLATEAUの組み合わせは無限大!?
ここからは、PLATEAUにおける「3D都市モデル×衛星データ」の可能性について解説します。
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