見出し画像

【特集】 宇宙は官民共創の時代へ! 2022年最新 日本の宇宙関連スタートアップの最新情報


天地人は、衛星データを使った土地評価コンサルを行っているJAXA認定ベンチャーです。

地球観測衛星の広域かつ高分解能なリモートセンシングデータ(気象情報・地形情報等)や農業分野の様々なデータを活用した、土地評価サービス「天地人コンパス」を提供しています。

天地人は、先日、内閣府 宇宙開発戦略推進事務局が主催する「課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」の公募に採択されました。

この公募は、企業や官公庁、自治体が抱える課題の解決に向けて、衛星リモートセンシングデータの利用モデルの実証を行い、その効果を評価すると共に、実証の成果を実際のビジネスへつなげていくことを目的とした内閣府宇宙開発戦略推進事務局による事業です。

本公募に採択された企業の他にも、現在、国内のさまざまな企業が衛星リモートセンシングデータの利用に取り組んでいます。

本日は、天地人が注目する日本国内の宇宙スタートアップをご紹介します。

日本の宇宙市場

2018年の世界の宇宙市場は約360億ドル。
2030年には1兆ドルにのぼると予想されています。最大の宇宙市場はアメリカで、約20兆円。それに対し、日本は20分の1の約1.2兆円です。

*米国の米国の宇宙関連スタートアップ市場に関する情報は、先日配信の特集(特集:宇宙で破壊的イノベーションを起こすのは誰か?米国の宇宙関連スタートアップの最新情報)をご覧ください。

日本の宇宙市場規模
出典:内閣府宇宙開発戦略推進事務局「宇宙ビジネス拡大に向けた 内閣府の取組」


宇宙市場には、宇宙機器産業と宇宙利用産業が含まれます。宇宙機器産業には、ロケット、衛星、地上局等の製造が含まれ、宇宙利用産業には、通信衛星・放送の提供やリモートセンシングデータの提供・利用等が含まれます。

日本政府は、宇宙市場規模を、2030年早期に2.4兆円へ倍増することを目標としています。宇宙産業は、官需・軍需が多くを占める産業でしたが、近年、この目標を達成するために、宇宙データ利用モデル実証や宇宙ビジネスアイデアコンテストなど民間を巻き込んださまざまな取り組みがなされています。

日本・欧州の宇宙市場における官民比率
出典:経済産業省「宇宙産業の発展に向けて ―我が国宇宙産業の国際競争力強化を目指して―」

日本の宇宙関連スタートアップ市場

日本の宇宙スタートアップは、2010年代半ばまで10数社でした。2016年以降から急増し、2022年3月には、国内の宇宙スタートアップ企業は74社となりました。日本の宇宙スタートアップの2021年の資金調達額は378億円で、宇宙ビジネスへの注目度の高さが伺えます。

出典:一般社団法人SPACETIDE SPACETIDE COMPASS Vol.6

日本の宇宙スタートアップをセグメント別にみると、衛星データ・宇宙技術利用が40%と最も多く、宇宙旅行・滞在・移住、輸送が続きます。

衛星データ・技術利用とは、人工衛星からのデータ等を利用した主に地球上で実施されるビジネス活動のことです。
衛星データの販売やソリューションの提供が含まれます。

米国のスタートアップが衛星の製造・衛星の打ち上げ分野で世界最大のプレイヤーとなっているのに対し、日本の宇宙スタートアップは、宇宙を利用したサービスに力を入れる企業が多い傾向にあります。

米国の投資額は2020年時点で8000億円以上です。日本の投資額378億円と比較すると、規模感の違いが伺えます。

出典:SPACETIDE COMPASS Vol6をもとに独自に作成

注目の日本の宇宙スタートアップの紹介・解説

米国に比べまだ規模は小さいものの、宇宙ビジネスは大きな注目を浴びています。ここでは、次のイノベーションを起こし、民間の産業を発展させる可能性を有する日本のスタートアップ4社を、天地人の技術的な視点を交えてご紹介します。

https://www.nttdata-xam.com/ 

1. 株式会社NTTデータ ザムテクノロジーズ

株式会社NTTデータ ザムテクノロジーズは、2020年に設立されたNTTデータの100%子会社企業です。

AM関連ハードウェア・ソフトウェアの販売・保守やAM技術を活用した量産品の開発支援と受託製造を行なっています。AM技術は、Additive Manufacturing の略称で、3Dモデルデータを基に、材料を結合して造形物を実体化する加工法のことです。

NTTデータザムは、JAXA・三菱重工業と研究開発を重ね、高信頼性と高機能性の保持が重要なロケットエンジンの部品のうち、3Dプリンターで製造でき、コストダウンが見込める部品を特定しました。

NTTデータ ザムテクノロジーズのバックアップで導入したESOの金属3Dプリンター技術は、日本の次世代ロケットH3エンジンにも使用されています。

このEOSというドイツのメーカーの造形装置は海外の主要な宇宙関連企業でも活用が広まっています。これから宇宙分野は、今まで以上に早く安く開発することが求められます。ロケットや衛星のコストが下がってくることで、観測データの価格競争がさらに激しくなるでしょう。

データ活用・分析を行う天地人としても、こうした上流側の技術革新を常にウォッチしています。

(解説:百束泰俊 天地人取締役・COO)

以降の内容は有料となります。
(この記事のみ購入する場合は、200円です。月に3~4記事が月額500円になるサブスクリプションプランもご用意しております。)

記事に関するご感想・記事の内容のリクエスト等がございましたら、info-note@tenchijin.co.jpまでお気軽にご連絡ください。

ここから先は

2,426字 / 3画像

¥ 200