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凄腕ソロマーケターから天地人が学べること

天地人は、2050年にも持続可能な地球環境を目指して活動するJAXA認定ベンチャーです。宇宙ビッグデータをWebGISサービス「天地人コンパス」で解析・可視化することで、まだ誰も気付いていない土地の価値や地球の資源を明らかにするサービスを提供しています。

天地人広報チームでは「学び合い」と「リレーション形成」を目的とし、他業種で活躍されているプレイヤーと相互に知見を共有し合う広報・マーケ勉強会を実施していきます。
初回となる今回は、デジタルマーケを駆使しto BのLEDビジョン事業で一人で売上3億円を達成し現在は中国深圳を拠点にグローバル展開する柏木大さんをゲストスピーカーとしてお招きしました。

テーマはズバリ、「一人社長からグローバル企業にいたるまでに実施した広告手法」。
会の後半では天地人の広報部長・砂流が「スタートアップ広報における”言語化”の重要性」について話します。

〈ゲストスピーカー・プロフィール〉

柏木 大(かしわぎ だい)
XIV 深圳天照创新科技有限公司 董事長
株式会社アマテラスイノベーション 代表取締役
広告代理店にて営業・アフィリエイターとして活躍した後に独立。ひとり社長として半年間で3億円の売上を達成する。現在はXIV深圳天照(LEDビジョンの会社)のオーナー兼マーケター。
得意領域は「広告」と「営業」ひいては「マーケター」としての仕事全般

創業期〜独自コンテンツ強化期の話

柏木:2017年から独立してひとり社長としてのアフィリエイト業務を開始するんですが、はじめのうちはFacebook絶頂期ということもあり、周辺のSNSに広告素材を投入し、獲得したリードを営業が引き上げるという、極めてオーソドックスな方法で収益を上げていました。ただ新規顧客に対するスピード感や効率性の問題から改善の余地は感じていて。当時は「とにかくご飯を食べるためにやるしかない」という感じでしたが、ある程度軌道に乗ったタイミングで思い切った方針転換を図りました。

創業当時のビジネス・スキーム

柏木:元々は既存のメディア(プラットフォーム)の場を借りて勝負していたわけですがコロナ禍で同業他社が売上を下げるなか「自分をメディア化しよう」という作戦を思いついたわけです。
要はオウンドメディアの考え方で、コントロールできない第三者としてのメディアに命運を預けるのでなく、自分をメディアにしてしまおう、と。自分を出役としての動画制作を始めたんです。

柏木:自分が顔出しで動画に出演してサービスを紹介する、この実績を重ねることによりお客様からの信頼感と何より「顔を覚えてもらう」ということも達成できました。このことにより案件単価の飛躍的な向上とGoogleからYouTube特典を受けることができたので、独自性という意味でも良いことばかりでしたね。ただ一つ悪いこととして、親戚の子供に「YouTuberだ!」と指を刺されることが増えました(笑)。

柏木:GoogleからもらえるYouTube特典について少し補足すると、YouTubeバックアップのもと動画のプロモーション(ディストリビューション)を支援してもらえたんですよね。当時日本で5チャンネルほどしかその特典を受けられていなかったと記憶しているのですが、そのおかげもあって一気にチャンネル登録者数150万人を達成することができました。YouTubeを使ったプロモーションを実行する際にはこの「プロモーション」の項目を是非活用して欲しいですね。

「クライアントをメディア化する」期の話

柏木:その後、「自分をメディア化する」動画制作で勝ちパターンを得た自分としては当然の流れとして「他者(クライアント)をメディア化する」フェーズに移行しました。クライアント企業の中の人を出役にして動画を作るんですね。これもうまくいきました。副次的なメリットとして、クライアントの出役の方にインタビュアーとして取引先への取材をしてもらったりするんですね。そうすると、クライアントの界隈でのリレーション強化に繋がることもあって。直接数字に見える成果ではありませんが、お客様に喜んでいただくことができるので、長期的な関係性に繋がりやすくなります。

天地人広報:「クライアントをメディア化する」うえでのコツってあるんですか?

柏木:「業界の地図」を持っている人をアサインすることですね。部外者からは分からない、業界の不文律的なところまでカバーできていて、かつ業界内で顔のきく人が望ましいです。「ああ、あの人が出演していたやつね」となってもらいやすいので。あとは出役として顔出しで出演してもらう上で、本人のモチベーションのケアも大事にしています。

柏木さんのざっくり年表

「言語化」にこだわる天地人広報の話

砂流:刺激的な話をありがとうございました! 次に天地人のPR戦略の話をできればと思います。実は天地人は2024年上半期だけでメディア露出21件(うち8件が地上波含むTV番組)にプレスリリース33件、受賞が3本にnote33本、イベント展示が14本と、数字だけ見てもかなり良い結果を生むことができたんです。それができた理由としては突き詰めれば、「事前準備」と「積み重ね」と「慣れ」があるのですが、その前提として徹底的な「言語化」があります。

2024年上半期に天地人を取材いただいたメディア一覧

砂流:天地人に本格的に携わるようになって2年経つのですが、まずはじめに取り組んだのが「PR指針の策定」と「プレスキットの作成」でした。プレスキットに関しては取材を申し込んでいただいたメディアさん全てにお渡ししているのですが、全部で55Pあり、半年間ほどかけて作成しました。これをメディアさんに渡しておくと、取材前に事業に対する解像度がだいぶ上がるので、取材本番でより踏み込んだ質問がなされるようになります。加えて、実は社内向けにもめちゃくちゃ有用で。整理されることで自社の強みが把握しやすくなったり、新入社員の方への説明資料に使えたり、こっちの方がメリットとしては大きい気もしています。

▲プレスキットの内容をチラ見せ

砂流:スタートアップは特に「ひとり広報」が多いので、なんでもやらないといけません。そうなると場当たり的な仕事が増えて、中長期的な目線を持ち続けることも難しくなるので、はじめに言語化することにはこだわっています。そうすると戦略に関する議論をするときにも目線が揃いやすくなるし、極論「インターン生でもひとりで取材対応ができる」ようになります。人数の少ないスタートアップだからこそ「全員で広報する」マインドを広めることが大事だと思っていて、言語化することはその礎になっていますね。

まとめ

柏木:業種こそ違えど「誰が本当のお客さんなのか」ということを見定めることが重要、というところでは一致している気がしましたね。

砂流:そうですね。広報チームとしては戦略の届く先を「宇宙業界以外の全員」に設定していますが、各ターゲットに対する解像度はもっと高める必要があると思っています。

柏木:以前クラブの仕事をした時があったんですが、はじめのうちクラブのオーナーをお客様として設定していたんですが、広告を運用してABテストを重ねる中で本当は「内装業者」さんをターゲットにするべきだったって分かったことがあったんですね。そういった意味でも「広告を運用する」ことは非常に有用なので、いずれ連携できたら面白そうですね!

砂流:そうですね、是非今後とも、よろしくお願いいたします!


広報・マーケティング勉強会の初回となる今回、柏木様と天地人で勝負する領域が違うからこそ生まれる視点の違いが互いの死角を補い合うような、良き対話の時間となりました。
今後も天地人では他業種で活躍される方をお招きした勉強会を企画していきますので、引き続きよろしくお願いいたします!