【技術解説】作物の生育・収量予測に重要な日射量!衛星データからピンポイントに推定する方法とは?
天地人は、衛星データを使った土地評価コンサルを行っているJAXA認定ベンチャーです。地球観測衛星の広域かつ高分解能なリモートセンシングデータ(気象情報・地形情報等)や農業分野の様々なデータを活用した、土地評価サービス「天地人コンパス」を提供しています。
今回は、2020年度に株式会社誠和と明治大学と共に取り組んだ、「天地人コンパスを活用した衛星データから日射量を推定するプロジェクト」をご紹介します。
日射量は、作物の生育や収量に影響を与える一つの要因です。そのため特定の場所の日射量がわかると、その土地の作物の収量予測や生育状況の比較が行えると期待できます。当プロジェクトでは、衛星データによるピンポイントの日射量の推定と、既存サービスや栽培実証への応用を試みました。
また、衛星データから日射量を推定するこのプロジェクトは、内閣府 宇宙開発戦略推進事務局による「2020年度 課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」にも採択されました。
それでは、ピンポイントの日射量推定の仕組みとその日射量データがどのように活用できるかを解説していきます。
天地人の日射量推定、ここがすごい!
冒頭でも触れたように、日射量は光合成による作物の生育や収量に大きく影響します。一方、日射が強すぎると高温障害の恐れもあります。
高温障害とは、強い日差しや乾燥によって、作物が生育不良を起こしてしまうことで、収量の減少や品質の劣化に繋がります。
近年の気候変動で夏の高温が深刻になっている中、施設園芸(ハウス栽培)では、ハウス内の温度が上がりやすく、気温・日射の影響を受けやすいです。
そのため、ハウス単位の日射量の把握と、それに応じて遮光するなどの対策を講じることが、収量を安定させるうえで重要だと考えられます。
しかし今までは、観測所がある全国約60地点の日射量データしか得られませんでした。
天地人では、日本全域を観測している「ひまわり」の衛星データを利用することで、日本国内のあらゆる地点の日射量を推定できるようになりました。
またピンポイントの日射量は、ハウス建設前の生産性の評価や導入設備の検討などの栽培シミュレーションにも生かせると考えられます。
特に、大きな投資が必要な施設園芸においては、日射量に応じた導入コストの最適化が期待できます。
どのような技術・手法か?
ここからは、ピンポイント日射量の推定手法と天地人コンパスへの実装・活用方法について解説します。
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