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天地人だけができる!地球と月のクレーターを「計測ツール」で簡単に比較してみよう

天地人は、2050年にも持続可能な地球環境を目指して活動するJAXA認定ベンチャーです。宇宙ビッグデータをWebGISサービス「天地人コンパス」で解析・可視化することで、まだ誰も気付いていない土地の価値や地球の資源を明らかにするサービスを提供しています。

『今日から使える宇宙豆知識 by JAXAベンチャー天地人』では、宇宙に関連するさまざまな最新情報を、天地人のエンジニア、研究者、ビジネスリーダーが一歩踏み込んで解説します。

今回のテーマは『天地人コンパス/MOONの「計測ツール」を用いて、地球と月のクレーターを比較しよう!』です。
天地人コンパスには、適地選択を目的とした「条件分析」、2つの地点の土地環境がどれぐらい似ているかを示す「類似度分析」、そして2地点間の距離や面積を素早く計測する「計測ツール」などがあります。今回はそれらの機能のうち「計測ツール」を活用し、地球と月面にあるクレーターの比較を行います。

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また天地人では、地球に着目した「天地人コンパス」に加えて、月の分析を対象とした「天地人コンパス MOON」を提供しています。天地人コンパス MOONは無料かつアカウント登録なしで、ご利用いただけます。

天地人コンパスの使い方はこちらのnote記事をご覧ください。

天地人コンパス MOONの使い方はこちらのnote記事をご覧ください。


地球と月

まず地球と月について、それぞれの特徴を見ていきたいと思います。

地球

気象衛星「ひまわり9号」で撮影された画像 https://www.jiji.com/news/handmade/topic/d4_pp/iss979-jpp023159596.jpg

地球は、太陽系の第3惑星で唯一液体の水が表面で安定的に存在でき、生命が存在する天体です。地球の質量は約5.97×1024 kg、赤道直径は約12,756kmと、太陽系の中では5番目に大きい惑星です。これは、太陽の大きさの約100分の1、太陽系の惑星の中で一番大きい木星の約10分の1とされています。

左から順番に太陽、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星 https://astropics.bookbright.co.jp/wp-content/uploads/2022/03/solarsys_scale.webp

地球は、主に鉄とニッケルからなる中心核、その上にマントル、そして最も外側にある地殻という三層構造を持っています。地殻は大陸と海底に分かれ、地表の70%は水で覆われています。地球の大気は、主に窒素(約78%)と酸素(約21%)で構成されており、大気層は気候の調整や紫外線の遮断、気象現象の発生などに関係しています。

また地球は約365.25日かけて太陽の周りを公転し、約24時間で自転しています。この公転によって季節が、自転によって昼夜が生じています。

参考資料:https://astro-dic.jp/earth/
https://www.isee.nagoya-u.ac.jp/50naze/wakusei/4.html

https://plus.chunichi.co.jp/pic/282/p1/5664_0_01.jpg

月は地球の唯一の衛星で、地球から約38万4,400 km離れています。月の質量は約7.34×1022 kg、赤道直径は約3,475kmで、地球の約1/4の大きさです。月の大気は非常に薄く、そのために昼夜の温度差が非常に大きくなります。(月の赤道付近の観測では、昼は110℃、夜は-170℃にもなるとされています。)また月は太陽系の天体の中でも最も地球に近く、地球の引力に影響されているとともに、地球の潮汐などに大きな影響を与えています。

月の内部構造は、小さな核、マントル、そして比較的薄い地殻から成り立っています。 月の表面には、月の海(広い平坦地)や山地、そして多くのクレーターが見られますが、これらは月の形成初期における激しい隕石衝突や火山活動によって形成されました。

月は地球の周りを約27.3日で公転・自転しています。月は地球との潮汐力(形のある天体に働いて、天体の形を変形させることのできる力)のために、常に同じ面(表)を地球に向けて公転しています。そのため、月の「裏側」を地球から見ることはできません。

月には光の反射率が低くクレーターの少ない「海」と呼ばれる領域と、光の反射率が高くクレーターの多い「高地」と呼ばれる領域があります。「海」は地球に面した表側に多く、裏側にはほとんどないことが分かっています。また裏側は表側より標高が高く地殻が厚くなっています。

左:表側、右:裏側 https://d34gglw95p9zsk.cloudfront.net/item_cocreco_images/images/000/013/083/large/2d682515-add9-48c4-9eca-accbcbdaf262.jpg?1643189035

参考資料:https://moonstation.jp/faq-items/q019
https://www.jaxa.jp/countdown/f13/special/moon_j.html
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2012/pr20121029/pr20121029.html

地球のクレーター

ここからは地球上にあるクレーターのうち、最も大きいとされる3つに加えて、今回天地人コンパスを用いて計測を行うクレーター2つを紹介します。まず、地球上で最大とされるクレーターはフレデフォート・クレーター、チクシュルーブ・クレーター、そしてサドベリー隕石孔の3つです。それぞれのクレーターの特徴は以下のようになっています。

フレデフォート・クレーター

フレデフォート・クレーターは南アフリカ共和国、ヨハネスブルクから約120km離れたフリーステイ州にあります。直径は約300km、推定年数は約20億年前ととても古く、世界最大のクレーターと言われています。このクレーターは直径10~12kmの小惑星が約20km/sの速さで衝突したことで生成され、その威力は広島原爆の約58億倍であったと考えられています。2005年には世界自然遺産に登録されています。

フレデフォート・クレーター
https://worldheritagesite.xyz/wp-content/uploads/2015/01/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%87%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%A0.jpg

チクシュルーブ・クレーター

チクシュルーブ・クレーターはメキシコのユカタン半島付近にあるクレーターです。このクレーターは、恐竜絶滅の一因となった直径約14kmの小惑星の衝突によって形成され、衝突の際には大規模な山火事や津波が発生したとされています。衝突による短期的・長期的な影響から、当時の地球上の生物の約75%が消滅しました。本クレーターはほかの二つに比べると比較的新しいですが、中心地が海洋にあるために目視で確認することができません。

チクシュルーブ・クレーターのイメージ https://i.gzn.jp/img/2008/07/24/major_impact_craters/2692643020102365357S600x600Q85_t.jpg

サドベリー隕石孔

サドベリー隕石孔はカナダのオンタリオ州、五大湖から北に約50kmほど進んだところにあります。南北27km、東西60kmと東京都と同じぐらいの大きさのクレーターで、約19億年前に形成されました。鉱物資源が豊富で、特にニッケルと銅を含む岩石が壁面に豊富なことで知られています。

サドベリー隕石孔のイメージ https://eoimages.gsfc.nasa.gov/images/imagerecords/148000/148844/sudbury_oli_2020255.jpg

ps://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7557/
https://worldheritagesite.xyz/vredefort-dome/
https://www.cnn.co.jp/fringe/35194183.html
https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/94_01_04.pdf

ところが上記のクレーターは大昔に形成されたこと、また中心地が海洋にあることから、地球の地質活動や浸食により、現在では衛星画像で形をはっきりと確認することができません。そのため、今回は比較的最近できたクレーターについて、天地人コンパスの「計測ツール」を使用します。

今回計測を行うクレーターは、地球上にあるクレーターの中でも特に衛星画像で確認しやすいマニクアガン・クレーターとメテオ・クレーターです。それぞれのクレータの特徴は以下のようになっています。

マニクアガン・クレーター

マニクアガン・クレーターはカナダのケベック州にあり、約2億1400万年前に直径5kmほどの小天体が衝突して形成されました。衝突直後の直径は約100kmだったと推定されていますが、侵食などの影響で、現在では直径約72kmになっています。このクレーターは比較的サイズが大きいことから、ISS(国際宇宙ステーション)からも確認が可能であり、「ケベックの目」とも呼ばれます。クレーター自体は古いものですが、リング状の水が見られるようになったのは20世紀になってからです。1960年代にダムが完成する以前は、クレーターの両側に三日月形の湖が二つありました。ところがダムによって水が堰き止められたことで、リング状の湖ができたとされています。

マニクアガン・クレーター
https://astropics.bookbright.co.jp/wp-content/uploads/2022/02/ISS066-E-140450-1280.jpg

メテオ・クレーター

メテオ・クレーターはアメリカのアリゾナ州にあり、グランドキャニオンから約3時間のところに位置しています。地球上で最も保存状態の良いクレーターの一つとされており、現在でもはっきりとした形状を確認できます。クレーターの縁が高く盛り上がっており、中心にはクレーターができたときに吹き飛ばされた岩が積もっています。このクレーターの保存状態が良い理由としては、アリゾナ州の降水量が少なく浸食の影響をあまり受けないこと、また比較的最近に形成されたことが挙げられます。

メテオ・クレーター
https://cdn.mos.cms.futurecdn.net/erBTASTdMGAsZhgFqJ9xmN.jpg

参考資料:
https://astropics.bookbright.co.jp/a-modern-lake-in-an-ancient-crater
https://allabout.co.jp/gm/gc/442097/

月のクレーター

続いて月面に存在するクレーターの中でも、特に大きいクラビウス、プトレマイオス、コペルニクスを紹介します。

参考資料:https://www.mooncratertycho.com/the-ten-largest-craters-on-the-moon/
https://moonworld.jp/clavius/
https://moonworld.jp/ptolemaeus/
https://moonworld.jp/copernicus/

クラビウス

クラビウスは月の表側では最大級のクレーターで、直径が225kmあります。周壁がかなり侵食されていることから、古いクレーターであると考えられています。

プトレマイオス

月面のほぼ中央部にある直径153kmの大きなクレーターがプトレマイオスで、プトレマイオスの南にはアルフォンスス(110km)、その南にはアルザッケル(97km)が並びます。

コペルニクス

コペルニクスは月面の中央近くにあり、六角形をしたクレーターです。直径は93kmと上記の2つのクレーターと比べると小さいですが、周囲を平坦な海に囲まれているため、はっきりと画像でも確認することができます。

天地人コンパスを用いたクレーターの計測

ここからは天地人コンパスを使って、実際にクレーターの直径、面積、円周、断面でみた深さを計測していきたいと思います。まず地球のクレーターからです。

マニクアガン・クレーター

天地人コンパスの「計測ツール」を用いた結果、マニクアガン・クレーターの面積は241030.38ha(=2,410km2)、外周の距離は261.73kmでした。また「断面図可視化ツール」を用いた結果、クレーターの直径は約52km、断面で見た深さの最大値は約580mとなりました。

円周・面積
断面

メテオ・クレーター

「計測ツール」を用いた結果、メテオ・クレーターの面積は108.39ha(=1.083km2)、外周の距離は3.84kmでした。また「断面図可視化ツール」を用いた結果、クレーターの直径は1.25km、断面で見た深さの最大値は約1705mとなりました。

円周・面積
断面

以降の内容は有料となります。
月のクレーターの計測結果は、乞うご期待!

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