見出し画像

火星探査機を開発する学生団体があるって知ってた?

天地人は、2050年にも持続可能な地球環境を目指して活動するJAXA認定ベンチャーです。宇宙ビッグデータをWebGISサービス「天地人コンパス」で解析・可視化することで、まだ誰も気付いていない土地の価値や地球の資源を明らかにするサービスを提供しています。

天地人では今年から、社内全体での学びの機会として、宇宙産業勉強会を開催しています。今回の記事では、第二回目勉強会の内容を紹介すると共に、学生インターンの目線から、当日の様子を振り返ってみたいと思います。 
宇宙産業勉強会Vol.1の記事はこちら


イベントの意義 〜宇宙視点で繋がろう〜

今回の勉強会では、火星探査機の開発に取り組む国際学生チーム「KARURA」の皆さんをゲストにお招きしました。天地人の専門は、地球を舞台とした人工衛星サービスであることから、火星の話題は一見、直接の関連が薄いように感じるかもしれません。それでは、この会の意義はどこにあるのでしょうか?
天地人が掲げるバリューの一つに「宇宙視点で考える」というものがあります。これは、文化や国境を超えた宇宙からの視点で、地球規模の環境問題や社会課題に取り組む姿勢を指しています。現在、宇宙産業は急速に成長しており、新たなプレイヤーが次々と参入しています。天地人では、この波をさらに大きくしていくために、宇宙業界全体での共創と、プレイヤーひとりひとりの情熱が大切であると考えています。業界内のプレイヤー同士が共に学び合うことで、業界内部の活気が高まり、各々の宇宙産業の一員としての自覚にも繋がるためです。地球を対象としている天地人と、火星を対象としているKURURAさんが交流し、宇宙視点で繋がることで、新たに生まれる価値があるのではないか?そのような思いから、今回の勉強会開催に至りました。

KARURAさんの挑戦

当日は、3名のメンバーが天地人のオフィスに来てくださり、対面でイベントが開催されました。イベントの前半では、KARURAの皆さんから、団体についての紹介がありました。ここでは簡単に、その内容を紹介させていただきます。

KARURA

KARURAさんは、火星探査ローバーの開発という国際プロジェクトに挑戦する学生宇宙開発団体です。アメリカ・ユタ州で毎年開催される世界最高峰の学生火星ローバー大会「University Rover Challenge(以下:URC)」での優勝を目指し、日米合同でローバーを開発しています。2024年には、設立からわずか1年半にしてURC決勝への進出を決め(102チーム中38チームが決勝進出)、すでに3機のローバーを制作している実績を持ちます。火星探査ローバーは、将来的な惑星移住を含め、資源探査、環境調査などの分野でも必要となりますが、開発を手がける企業や団体はまだ少ないため、この分野の先駆者的存在と言えます。

KARURAさんのミッションは、「学生の宇宙開発技術力を底上げし、国際共同開発が当たり前となる社会を目指す」ことです。そのため、”技術力”と”国際性”の二つの柱を基に活動されており、学生のうちから高度な技術を身につけ、国際的なプロジェクトでの経験を積むことを目的としています。現在は、日本約40名、アメリカ約20名のメンバーが所属し、オンラインを中心に活動されているようです。リモートワークに似たスタイル、また海外メンバーとの協業は、天地人にとっても親近感を覚えるところです。

イベントにて、メンバーの皆さんは、コミュニティの意義についても触れられていました。異なる専門分野の人々と共同開発することで得られる上流工程の知見や、国際協力の経験を、学生時代に得られること自体を、大きな意義に感じているとのことでした。彼らの発表を受けて、天地人のメンバーからは、「必ずしも正解がない中で、困難なこともあると思うが、堂々と胸を張って進んでほしい」という励ましの言葉も送られました。

天地人広報チームより

イベントの後半では、天地人の広報マネージャーである砂流から、宇宙広報に関する講演がありました。KARURAの皆さんは、「宇宙に関心のない人々を、どのように宇宙に巻き込んでいくか」という課題に直面していました。ロマンや夢が詰まっている宇宙や火星探査ですが、一般の人々にとってはどうしても遠い存在であることから、その意義を理解してもらうのは簡単ではないようです。以下、砂流さんの講演内容の一部を、抜粋して紹介します。

出典

砂流さんによると、広報活動においては、「宇宙の文脈に人を巻き込む」のではなく、「自分たちが宇宙村の外に出て、外の世界で巻き込まれていく」ことが重要となります。(注意:「宇宙村」とは宇宙業界のことを指しています。)宇宙業界以外の方々にとって、専門用語が多く難解な宇宙業界を学ぶことは、外国語が全くできない人が単身で海外に渡るような困難さに例えられます。そのため、宇宙業界の関係者が積極的に外の世界に飛び出し、異なる分野に「巻き込まれていく」方向で広報活動を考えることが大切です。

天地人のPRチームが掲げる方針の一つには、「宇宙と社会課題を結びつけて、半径5mくらいの身近な話にする」というものがあります。宇宙というテーマが、物理的にも感情的にも遠い存在に感じられることが多い中で、これを農業やインフラ問題、食糧危機などの日常的な課題と関連づけ、生活のレベルまで落とし込んで伝えることで、相手にとっても身近な話となります。一般の人々が興味を持つのは「その難しい技術の先で、社会がどのように変わるのか」という点であるため、社会との繋がりを意識した伝え方が必要となります。また、話の敷居を高くしすぎないことも重要です。KARURAのケースだと、「火星探査ローバーの開発」と言うと難解で遠い話に感じられても、「学生がオンラインで活動している」と説明すると、敷居は低くなります。
このように、宇宙業界の人々が積極的に外に出て、相手や状況に応じて柔軟に文脈を変えつつ宇宙を広報することで、次第に一般の人々の宇宙に対する関心が広がり、最終的に「宇宙に巻き込まれたい人」が増えていくのではないか。以上が、砂流さんの講演の内容でした。

まとめ

今回の記事では、第二回宇宙産業勉強会の振り返りとして、KARURAさんの団体紹介、そして宇宙広報に関する講演の一部を紹介しました。交流を通して、双方に新しい気づきがあったと思います。私たちが今取り組んでいる一つ一つの作業や挑戦が、将来の大きな成果に繋がることを信じ、共に素敵な未来を創っていきたいですね。

KARURAさんの詳細:https://camp-fire.jp/projects/753892/view

当日の様子

天地人では、衛星や地上の様々なデータとAIを活用して、課題解決に向けて情報分析、ソリューション提供を行っています。ご質問等ございましたら、info@tenchijin.co.jp までお気軽にお問い合わせください。

(記事作成:PRインターン 田嶋悠楽々)