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退職の真実 -「優秀な社員から辞めていく」は本当か?退職の波を理解する

退職エントリーを書こうと思いましたが、すべてを詳細に記載すると長くなりすぎるため、今回はよく言われる俗説を取り上げることにしました。
会社がかなり深刻な状態になるまで、積極的に関わって働いていたので、その経験をまとめておこうと思います。

俗説は本当か?

人材流出に関して、「優秀な社員から辞めていく」という俗説がよく聞かれます。
この表現は、複雑な問題を極端に単純化し、深い考察なしに判断を下せるため、一見便利に思えます。
しかし、このような二元論的思考は現実の複雑さを正確に反映できず、重要なニュアンスや中間的な立場を見落とす危険性があります。

人間の能力や価値は多面的で複雑です。
「できる」「できない」という単純な二分法で個人を評価することは、本質を見誤る可能性が高くなります。

実際の企業における退職のパターンを観察すると、経営状況の悪化から始まる「退職の波」が存在し、その波ごとに退職理由の傾向が異なりました。
この現象は「余波と5つの波」に分類でき、退職のプロセスがより複雑で段階的であることを示唆しています。

企業の人材流出の問題に取り組む際は、より多角的かつ詳細な分析が求められます。

退職の波

退職に複数の波があるということは経営がうまく行っておらず、業績が低迷している事を示唆しています。

この状況の根本的な原因の一つとして、組織文化との適合性(カルチャーフィット)に過度に重点を置いた人材評価が挙げられます。

皮肉なことに、このような環境下で長期間残留する社員は、しばしば会社から高く評価されながらも、実際には業績悪化に寄与している矛盾した存在となりがちです。
彼らとの対話は、仕事やプライベートに関する非論理的な見解が目立つことがあり、長期的な関係維持には慎重になる必要があります。

また、職場でのハラスメント防止の観点から私生活の話題を避ける傾向がある一方で、親密な人間関係を求める社員にとっては、そのような態度が拒絶と受け取られかねず、円滑なコミュニケーションの障害となることがあります。

このような状況下で、企業が適切な人材評価や登用に失敗すると、コスト増加と収益減少の悪循環に陥り、組織の機能不全や非効率的な業務プロセスを招く恐れがあります。
結果として、健全な職業倫理や能力を持つ社員が離職を選択せざるを得なくなる可能性が高まります。

この問題に対処するためには、単なる組織文化への適合性だけでなく、実績や能力、倫理観を総合的に評価する人事システムの構築が不可欠です。
また、オープンなコミュニケーション文化を醸成し、多様な視点や意見を尊重する環境作りが重要となるでしょう。

余波

企業の経営状況が悪化する初期段階で見られる「余波としての退職」は、興味深い現象です。
この段階で離職する人々は、自身の能力を十分に発揮する機会を得る前に組織を去ることになります。
彼らの多くは、会社や業界との適合性の欠如、あるいは個人の価値観や信念と組織の方針との不一致を感じ取った人々です。

このような早期の撤退は、一見すると性急に思えるかもしれません。
しかし、状況の悪化を事前に察知し、迅速に行動することは、個人のキャリアにおいて時間の節約につながる可能性があります。
実際、組織の全ての側面が明文化され、状況が完全に把握されるまで待つ必要はありません。

私自身、こうした早期離職者から学んだ重要な教訓があります。
それは、直感的に「この環境は危険だ。(こいつらヤバイな)」と感じた際には、躊躇せずに退職を検討することの重要性です。
この「第六感」とも呼べる判断力は、個人のキャリア管理において非常に有用なツールとなり得ます。

ただし、このアプローチにも注意点があります。
単なる一時的な不満や誤解に基づいて早急な判断を下すことは避けるべきです。
代わりに、以下のような要素を総合的に考慮することが重要です。

  1. 組織の長期的な方向性と自身のキャリア目標との整合性

  2. 職場環境や企業文化が自身の価値観や働き方と合致しているか

  3. 現在の役割で成長の機会が十分にあるか

  4. 組織のリーダーシップの質と信頼性

第一波、第二波

組織における退職の初期段階、いわゆる第一波と第二波で離職する人々には、特徴的な傾向が見られます。
彼らは往々にして、自信に満ちた態度と積極的な行動力を持つ一方で、責任感が薄く、後に遺恨を残す重大な失策を犯す人物がほとんどでした。

これらの人々の特徴的な思考パターンは、「現状の問題に基づいた解決策の提案」ではなく、「個人的な経験や欲求に基づいた行動の主張」に偏りがちでした。
例えば、「現状の問題がこうだから、こう言ったやり方をしよう」ではなく、
俺は△△についてこう聞いるけど、○○をしたいから○○をしよう」といった具合です。

このアプローチは、しばしば組織に負債を残したり、誤った方向性を示して取り返しのつかない事態を招いたりすることがありました。
彼らは自身の行動の結果や、作り上げたシステムの運用実態を見届けることなく退職することを選んでいます。

このような「やり逃げ」的な姿勢は、仮説検証のプロセスを軽視し、持続可能なプロダクト開発を困難にします。
さらに、組織の方向性と真逆の考えを持ち込んだ人々は、しばしば二択的な状況で誤った選択をしがちであるにも関わらず、その結果を直視しないため、反省の機会を逃しています。
結果として、彼らは新たな環境でも同様の過ちを繰り返す可能性が高くなります。

常に2択を外す人の特徴 - 決断を妨げる4つのこと

人間には、自信に満ちた態度や堂々とした振る舞いを、能力や成功と結びつけて捉えてしまう認知バイアスがあります。
これにより、実際の成果とは無関係に「できる人材」という幻想が作り上げられてしまうのです。

堂々と話している人が受け入れられやすいのはなぜか?

現実には、こうした人々が様々な組織で表面的な成果を掲げつつ、実質的には負債を積み重ねているケースが多いのです。
彼らが真に「できる人材」であれば、どこかに彼らによって築かれた理想的な組織が存在するはずですが、そのような事例は聞かれません。

一方で、彼らの「自己評価を下げずに不満のある環境から素早く離れる姿勢」には、キャリア管理の観点から学ぶべき点があります。
ただし、この姿勢を取り入れる際は、責任ある行動と適切な引き継ぎを怠らないよう注意が必要です。

最終的に、組織の健全な発展と個人のキャリア成長の両立には、短期的な成果だけでなく、長期的な影響を考慮に入れた責任ある行動が不可欠です。

第三波

第三波の退職者は、組織の深刻な問題に直面した人々で構成されています。

彼らは、第一波/第二波で退職した社員が残した「核廃棄物級」とも表現できる困難な課題や負債を引き継ぐことになります。
これらの問題に真摯に向き合い、解決を試みた結果、「これはどうしようもない」という結論に至り、退職を選択した人々が多く含まれていました。

興味深いことに、この第三波で退職した人々は、技術的にも人間性の面でも高く評価できる人材が多く含まれていたのが特徴です。
彼らとの交流は、仕事上でもプライベートでも自然で違和感がなく、意思疎通がスムーズでした。
この円滑なコミュニケーションは、彼らの人間性の健全さを示唆しています。

実際、この段階で退職した人々こそ、「できる人材」という抽象的な表現に最もふさわしい存在だったと言えるでしょう。
しかし、社会的に見ると、彼らの真の価値、特に困難な状況下での運用経験や問題解決能力が、適切に評価されていないのが現実です。

このような経験を正当に評価できない人々に対しては、実際に「核廃棄物級」の課題を与え、数年間にわたってその困難に直面する経験をしてみることをお勧めします。
このプロセスは、持続可能性の本質を理解するキッカケとなり、問題の複雑さと解決の難しさを身をもって理解する機会となります。
間違いなく個人の認識や価値観に大きな影響を与えるでしょう。

第四波

第四波は、組織が縮小した結果、移動せざるをえなくなり、移動したものの移動先がヤバいという現実を突き付けられた人たちです。

辞めたほうがいいと言うより、完全に一区切りついたので、辞めるタイミングとしてバッチリなので辞めた人が多い印象でした。

ここで辞めた人は、自分の担当サービスが終了したため、やり切っているので、燃え尽き症候群気味だったり「完全に飽きた」とか「気分が乗らない」とか「自分のやりたい事を見つける」とか割とフランクな退職理由の人も多く見られました。


第四波の退職者は、組織の縮小や再編に伴う人員移動の結果生まれました。彼らは、既存の部署や職務から移動を余儀なくされ、新たな環境に適応しようとする中で、厳しい現実に直面しました。

この段階での退職は、「辞めるべき」という外的圧力というよりも、キャリアの一つの節目に到達したという認識に基づいているケースが多く見られます。
多くの人々にとって、これは自然な区切りであり、新たなチャレンジを求めるための適切なタイミングだったと言えます。

第四波で退職した人々の特徴として、以下のような傾向が見られました。

  1. 完遂感:自身が担当していたプロジェクトやサービスが終了し、一定の達成感を得ていた。

  2. 燃え尽き症候群:長期にわたる過激な業務の結果、精神的・肉体的な疲労が蓄積していた。

  3. マンネリズム:同じ環境や業務に長く携わった結果、「完全に飽きた」という感覚を抱いていた。

  4. モチベーションの低下:新しい環境や役割に対して「気分が乗らない」と感じていた。

  5. 自己探求:「自分のやりたいことを見つけたい」という、キャリアの再定義を求める欲求が強まっていた。

これらの退職理由は、比較的フランクで個人的な動機に基づいているのが特徴です。
この傾向は、組織の大きな変化を経た後の自然な反応とも言えるでしょう。

第四波の退職者たちの経験から、以下のような洞察が得られました。

  1. 組織の変革期における人材管理の重要性:再編後の新しい役割や環境が、社員の期待やスキルセットと適合しているか慎重に検討する必要があります。

  2. キャリア発達の個人差への理解:同じ組織変化に対しても、個人によって受け止め方や対応が大きく異なることを認識し、柔軟な人事戦略が求められます。

  3. モチベーション管理の重要性:長期プロジェクトの終了後や大きな組織変更後は、社員の意欲を維持・向上させるための新たな挑戦や成長の機会を提供することが重要です。

  4. ワーク・ライフ・バランスの再考:燃え尽き症候群を防ぐため、持続可能な労働環境と適切な休養の確保が不可欠です。

  5. キャリア開発支援の必要性:社員の自己実現欲求に応えるため、組織内でのキャリアパスの多様化や、新しいスキル獲得の機会提供が重要になります。

この第四波の退職現象は、組織変革後の「揺り戻し」とも捉えられ、変化管理の重要な側面を示しています。
組織運営において、より柔軟で社員の個性や志向に寄り添った人材マネジメントが求められます。

第五波

退職の最終段階である第五波は、会社に完全に愛想を尽かした人々によって特徴づけられます。
この段階では、多くの社員が経営の破綻を明確に認識し、それを退職の直接的な理由としています。
しかし、この現象はより広範な問題の表れでもあります。

これまでの大規模な退職の波は、残った社員にも強い影響を与えており、同僚の相次ぐ退職を目の当たりにすることで、自身も潜在的に退職を考えるようになっています。
表面上は日常業務を続けているように見える社員でも、内心では適切なタイミングや条件が整うのを待っている状態にある人が少なくありません。

この段階に至ると、「ダメだ、こいつらもうどうにもならない…」という感想に代表されるように、組織の改善可能性に対する完全な諦めが蔓延しています。
個人の努力で状況を好転させられるという希望が失われ、社員間の連帯感や共通の目標意識が希薄化しています。

このような危機的状況は、組織にとって深刻な警告信号ですが、同時に根本的な変革の機会でもあります。
適切に対応すれば、この危機を組織の抜本的な改革と再生の契機として活用することも可能です。
しかし、それには問題の根本原因に真摯に向き合い、組織全体の健全性を回復させるための継続的かつ体系的な取り組みが必要となります。

残った人たち

辞めていった人達を見ると、残っている人のヤバさは次元が違います。

組織に長期間残っている人々の特性は、退職していった人々とは著しく異なる様相を呈しています。
彼らの働き方や行動パターンは、健全な組織文化とは程遠いものとなっています。
典型的な例として、権威主義的な「御局様」、狡猾な「古狸」、部下に迎合するだけの無能な上司、パワーハラスメントを行う人物、そして現状に疑問を抱かない若手社員などが挙げられます。
最終的に、これらの人々が組織の中核を占めるようになります。

長年組織に留まっている人々の多くは、現在の悪化した状況が自分たち自身の行動に起因していることを認識できていません。
自己の立場や行動を否定的に捉えることは心理的に困難であるため、彼らは組織の問題点や度重なる退職の波を正確に認識できず、同僚の離職に対しても無関心な態度を取っています。

特に注目すべきは、組織内で一定の影響力を持つ「お局様」とその取り巻きの存在です。
彼らは人間関係の操作やハラスメント、社内政治には長けていますが、健全な感性を持つ人々にとっては、共に働きたいと思えるような存在ではありません。

皮肉なことに、こうした人々は会社から一定以上の評価を受けていることが多いのです。
しかし、彼らの行動は実際には組織にとって極めて有害です。
例えば、部門間の縦割りを助長したり、他の社員から仕事を奪い意欲を失わせたりする一方で、管理コストや固定費の増加を招いています。
結果として、会社の業績向上を妨げる要因となっています。

こうした人々は自分たちの行動が会社の業績悪化に直結していることに気づいていません。
仮に彼らに本当の能力があるのであれば、即座に状況を改善できるはずですが、実際にはコスト増加につながる施策しか思いつかないのが現実です(笑)。

この状況は、組織の持続可能性に深刻な疑問を投げかけています。
健全な組織文化の再構築と、真に有能で建設的な人材の育成・登用が、今後の組織の存続にとって不可欠であると言えるでしょう。

残っている人のヤバさは次元が違う

色々書いてきましたが、残っている人のヤバさというのは次元が違います。

おかしな人の存在や、誤った行動の末に現在があるにも関わらず、それすら見えていのは、彼らには何が見えているのだろう?と認知の低さと、行動方針の他力本願さに呆れます。

退職の波から考える退職のタイミング

全体的に見ると、理想的な退職のタイミングは「余波」か「第三波」「第四波」が適していると思います。
余波で辞めるには状況を見抜く鋭い嗅覚が必要ですが、第三波や第四波では、ナレッジマイノリティのような声が大きい人たちが、実際にどんな行動をしていたかを確認できるため、退職の動機としては十分です。

たとえ自分の意志に反していたとしても、退職に波があるのなら、早めに辞めた方が間違いなく賢明です。

私自身は状況をはっきりと理解したいという気持ちが強く、またメンタルが強かったのでギリギリまで残りましたが、実際には会社の文化に全くフィットしていませんでした。
さらに、ハラスメントを常習的に行う人たちとの距離が取れなくなり、毎日非常に不快な思いをしていました。

「御局様」たちや、彼らを崇拝する人々とは距離を置かないと心が持たないので、仕方なく距離を取って働いていました。
しかし、ゴマすり文化や社会主義的な思想が根付いた環境では、評価されることもなく、意見も逆になることが多いため、次第に居心地が悪くなっていきます。

無理にその環境に合わせて残っても、経営や職場環境が改善されることは期待できません。
退職のタイミングを見つけたら、できるだけ早めにその波に乗って辞めることをお勧めします。


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