短編推理小説　　　　　　　　　　『ここに犯人はいるのか？』

「犯罪が起きた事を"事件"というのなら
事件が起きた事を"犯罪"と言い換えようではないか。」
1人の男性が言葉を投げ捨てた。

ー春が来た時期にみつば神社で事件は起こったー

参拝は誰しもが神にお願いや祈りを捧げる。
そこに1人の男性がいた。
年は50代あたりの白髪に筋肉質で日焼けした体で
身長は180センチ
白スーツで白いチョビ髭を生やした白髭の男性が
お賽銭箱に1万円札を投げ入れた。
少し汗もかいている。
どうやら春先で少し暖かい気候に
少し衣替えのタイミングを間違っているのだろう。
変わった葉巻を火をつけ砂利の上においた。
彼のいつもの儀式とでもいうのだろうか。
ゆっくり拝み始めた。
この男は
名探偵の上を行く存在、
超名探偵 "石崎　真実"だ。
真実とかいて"すいり"と読むのが特徴的だ。
拝んでいる際に
汗が額から顎までゆっくりとしたたり
顎から地面に落ちるその瞬間に
大きな悲鳴が聞こえた。

『キャーーーー』

石崎は眉をひそめた。
同時に許せなかった。
誰がこんな悲鳴を上げさせるような事を。
上顎と下顎がひしめき合う。
怒りは頂点に達した。
「南南東の10フィートから声がした！」
石崎はすぐに場所を特定した。
ー1フィートは約30.5センチであるー
「こっちだ！！」
筋肉でカチカチの下半身を走らせ現場にかけつけた。

そこで、神社の周りを綺麗に手入れされた
庭園のど真ん中で甚平を着た
スキンヘッドの男が倒れていた。
そこに駆けつけた石崎は口を滑らせた。
「きっと何もなければ普通に立って過ごしていたろうに。」

そして男性の横には
恐らく悲鳴をあげたであろう女性がそこにはいた。
「私は何もしてないです！私はただ、、、
あ、、あなたはもしかして石崎、、石崎すいりさん？」
石崎は答えた。
「ビンゴだ。
少し有名になりすぎたのかもしれないだろうに。」
「....私がここに来たらみつばさんが倒れてて....」
「お嬢ちゃん？みつばさんはここの神主さん？？」
すると後ろの立派な桜の木の影から男が近づいてきた。
「さっきのさっきまでね。今この瞬間から
この俺様が神主だ。覚えておくんだな。俺がここを守る」
男の身長は2メートル30センチと大柄で
長髪に長い髭を伸ばし八重歯が大きく
目もギョロッと大きくライオンのような顔で
とても低い声で2人に話しかけてきたのである。
石橋が質問をする。
「匂う。匂うなぁ。事件の匂いだ。
君がたった今僕の前に現れた。簡単な事件だ！」
石崎は質問をしなかった。
もう答えは出ていると確信したからだ。
すると大柄の男が急変した。
「ぅ、ぅぅぅぅあ！！！！く、くるしい！！！！」
大柄の男が苦しみ始めたのである。」
石崎と女性は思わず驚いてしりもちをついて
倒れてしまった。
大柄の男はそのまま横たわってしまい意識を失った。
「匂っていた。さっきまでは確かに匂っていた。
一体何が起こったというのだろうに。」
「きゃーーー」
女性がまた大きな悲鳴をあけだ。
すると
砂利が一面に敷き詰められた地面を
動く音が聞こえて来る。
「どういうことだに？？？」
驚く石崎の目の前を砂利の音と起き上がる体が
立ちはだかったのである。
「おはようございます。ここでは一体なにが？」
寝起きのような喋り口調で
スキンヘッドの神主
みつばさんが起き上がったのである。
「あれ、ワシはさっきまで庭の手入れをしておった。
気がついたら寝てしまっていたのか？？麻帆や。」
「みつばさん！心配しましたよ！ほら中で休んでください」
にやりと笑った笑顔ともとれる表情で女性と神主は
神社の中にある座敷に行った。

石崎は名探偵の上をいく超名探偵だ。
賽銭を投げてすぐの出来事だったが
彼の行くところでいつも事件は起こる。
そんなことには慣れっこだった。
むしろ楽しんでいた。
状況をこうだ。
神主が倒れていてその横に女性が立っていて
近づいたら大柄の男が現れ苦しんで倒れた。
すると神主が立ち上がって
女性と座敷へ行った。ざっとこんな所か。
と一息つこうとした瞬間、男の叫び声が聞こえた。
「わぁぁぁぁぁ！！」
石崎は特定した。
「北北西に8フィートだ」
彼には生まれつき音で距離を把握する力があった。
その方角へ行くと座敷で女性が倒れていた。

すると神主のみつばさんが
石崎に向かって声をあげた。

「あんた、あんた一体何をした！？？
ワシらに恨みでもあったのか？？？」

そして神主は声を上げ
力尽きるように倒れてしまった。

石崎は砂利の上を
ゆっくりと歩き回り
何もなかったかのように
片付けをはじめた。
そう。
それは名探偵はオモテの顔。
ウラの顔は昭和が生んだ最後の殺しのプロ。
初代石崎組 組長 石崎真実なのである。
特殊な葉巻から出る煙は抗体をもっていない者には
耐えることのできない毒薬の煙だったのである。

「もしもし。私だ。
今かたをつけた。あとはお前たちでやってくれ。
この神社は再開発にとっては邪魔だったろうに。」

そうして彼はまた事業を拡大していくのであった。