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《メスキータ展》 「何が起こっていますか?」

佐倉市立美術館の《メスキータ展 Samuel Jessurun de Mesquita Exhibition》に行ってきました。昨年、東京ステーションギャラリーで開催していた際もポスター(↑)が強烈な印象で気になっていたものです。

対話型鑑賞会「ミテ・ハナソウ・カイ」

佐倉市美術館のwebサイトで開催概要を確認すると、たまたまこの日鑑賞会が開催されるとのことで、なんて運が良いのだろうと喜んで美術館に向かいます。

ボランティアによる対話型鑑賞会「ミテ・ハナソウ・カイ」
ミテ・ハナソウ・カイでは、ミテ*ハナさんのリードで参加者の皆さんと一緒におしゃべりすることで、作品の世界にはいっていきます。自分の眼でよくみて、隣の人の言葉をよくきいていると、一人で見ているときには気がつかないことに気づいたり、新しい発見が生まれます。


鑑賞前の心構え

「メスキータ」さんについては、どこの国のいつの時代の方かすらまったく知らなかったので、これ幸いと、鑑賞会がはじまるまでできるだけ事前の情報や印象が入らないように意識してみました。
絵画を観るときはできるだけ、素直に作品と向き合って、自分の中にどのような感情や考えが生まれるてくるのかじっくり味わいたいなと思ってます。けれども、知識があるとどうしても大きく影響されてしまうのですよね。
今回は貴重な機会です。


勝手なイメージ

限られた情報しかないと、無意識に勝手な推測をしてしまうようです。この日、じっくり作品を観て、また解説などを読んで事実ベースの情報を知りましたが、かなり見当違いな推測をしていたことが自分の脳みそながら面白く感じられました。ちなみに勝手なイメージはこんな感じ。

メスキータっていう語感は中南米あたりかな。きっと日射が強いからコントラストが強烈。第2次大戦後の雰囲気かな。

全然ちがいました。正しくは以下の通りです。

サミュエル・イェスルン・デ・メスキータは、19世紀末から20世紀はじめにかけてオランダで活躍したアーティストです。


《Singing》

この日の鑑賞会は、ファシリテーターと6名の参加者が一緒にひとつずつ作品を観て回りました。最初の作品がこちら。(展示室は写真禁止なので参考までに同作品のポスター)

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「まず1~2分、作品をじーっくり観てください。思ったこと、感じたことをためておきましょう。」
「作品の中で何が起こっていますか?」
ファシリテーターさんのこんな問いかけから、みんなで感じたこと思ったことを言葉にしていきます。

鑑賞会では、約1時間かけて3つの作品をじーっくり鑑賞しました。参加者のうち一人は小学生!、参加者それぞれの感じ方の違いを味わい共有する素敵な時間でした。


《ヤープ・イェスルン・デ・メスキータの肖像》

表紙のポスターの木版画です。
勝手な推測で自画像かなーと思っていましたが、なんと息子さんの肖像画でした。ここまで表現できてしまう息子さんとの関係性が素敵です。


おわりに

メスキータはユダヤ人であったことから、第二次世界大戦末期の1944年、オランダを占領していたナチスに捕らえられ、家族とともに強制収容所に送られ、アウシュヴィッツで悲劇的な最期を迎えました。

なんとも表現しようのない気持ちになります。
出展作品には、「ファンタジー」などと名付けられた摩訶不思議な作品が数多くありましたが、これらがどのような心象で制作されたものなのかとても気になりました。〈終〉

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