【Jリーグ第38節】FC東京 3-0 C大阪
■ 2024年12月8日(日) 14:00キックオフ
■ 味の素スタジアム
気持ちよく晴れた初冬の日曜日。ヴェスパで味スタに向かうのも今年はこれが最後だ。天文台通りのゲートから続くワインディングロードをスタジアムに向かう気分のよさはバイクでしか経験できない。
足許三連敗とシーズン終盤にきてブレーキがかかっているが、今季2勝しかできていないホーム味スタで最後はしっかり勝ち点3を積み上げたい。現役引退を発表したオリヴェイラのラストマッチになる。
右SBに白井が先発、CBは土肥とトレヴィザンのコンビになったがそれ以外は前節と同じ布陣。木本は前節退場処分で出場停止、森重、中村、小柏はメンバー外に。契約満了の発表があった児玉もベンチ入りはしなかった。
布陣
野澤大
白井 土肥 トレヴィザン 安斎
東慶 高
仲川 荒木 遠藤
オリヴェイラ
前半
互いに得るものも失うものもない最終節ということで自分たちの戦いでぶつかり合う展開に。東京がボールをもち、大阪のプレスをはがしながらパスをつないで前進するシーンが多い。
6分、左サイドで得たFKを荒木がけり、ファーのトレヴィザンが頭で落としたボールを土肥が右足で押しこもうとするがゴール右にはずれた。10分には荒木からのスルーパスがオリヴェイラに通るがシュートには至らず。
12分、白井からのフィードがルーズになったところをオリヴェイラが拾って荒木につなぎ、荒木からのパスをエリアで受けた仲川が反転してシュート、これが決まって早い時間帯に1-0と東京が先制する。FWとして仕事をしたという感があった。仲川のゴールはうれしい。
その後は大阪も前に出てきて拮抗した一進一退の攻防に。東京はリードを背景に臆することなくボールを動かす。26分、敵CKのこぼれ球を仲川が拾ってカウンター。並走したオリヴェイラにパスを出し、枠にシュートをはなったが敵GKがセーブ。ジンヒョン空気読め。
この時間帯は大阪がやや優位に攻撃をしかけるが東京が自陣をしっかり固め、シュートには複数が身体を投げ出してしっかり守ることができているうえ、最後のところでは野澤大の好セーブも光っている。流れは悪くない。
37分、中央の東慶が右に展開したボールを白井が受けクロスを入れるとオリヴェイラが頭で合わせるがシュートはまたしても敵GKがセーブ。ジンヒョン空気読めって。
すると42分、遠藤のクロスがブロックされたこぼれ球を高が左寄りからシュート。これが敵DFに当たってループ軌道になり、そのままGKの頭を越えてゴールに。2-0と東京がリードを広げる。オウンゴールかと思ったが高の得点になった。
前半はこのまま2-0で終了。先制、追加点といい時間帯に決めることができ、アドバンテージを得た。後半、オリヴェイラにゴールがほしい。しっかり勝ちきらなければならない試合だ。
後半
後半も互いに積極的に攻撃をしかける立ち上がり。野澤大のセーブに救われたシーンもあったが主導権は手ばなさない。54分には荒木のCKに中央でトレヴィザンが頭で合わせるが敵GKがキャッチ。
63分、ついにそのときが来た。オリヴェイラに代えて俵積田を投入。オリヴェイラは両チームの選手が花道をつくるなか、ひとりひとりとタッチをかわしながらハグしながら退場、満場の拍手を受けた。大阪の選手の配慮には感謝しかない。俵積田は右ウィングに入り、仲川がトップに。
71分、仲川と東慶に代えて山下と小泉を投入。73分、自陣のクリアボールを山下がワンタッチで裏にフリック、これを受けた遠藤がドリブルで持ちあがり、逆サイドの俵積田にラストパス、俵積田がこれをエリア手前からダイレクトでゴールに流しこんだ。
胸のすくようなカウンターだったが、ゴールチェックの結果遠藤がオフサイドだったとの判断になりゴールは認められず。遠藤は自陣にいたようにも見えたが検証画像を見ると確かに右足が敵陣に残っていた。
84分、CKからゴール前の攻防となり、土肥が落としたボールに山下が飛びこんで押しこもうとしたが敵GKがセーブ。85分にはCKからのこぼれ球を俵積田がエリア手前からねらったがミートできず。
88分、荒木がけった左CKをトレヴィザンが中央でヘディングしたがシュートは惜しくもポストに嫌われる。しかしこのこぼれ球をトレヴィザンが自ら左足で押しこみゴール、3-0と試合を決める。
90+2分、遠藤と荒木に代えて長友と野澤零を投入。安斎を一列前に上げ、野澤零は山下と2トップになったように見えた。結局試合はそのまま3-0で終了、味スタで今季3勝目となる完封勝ちでシーズンを締めくくった。
戦評
早い時間帯に先制、前半終了間際に追加点を挙げて終始優位に試合を進め、敵にもチャンスはつくられたものの野澤大のファインセーブなどでゴールを守り、終盤にダメ押し、主導権を手ばなさないままクリーンシートで勝ちきった。
シュート数13-14、CK5-6、ポゼッション46-54と内容的には必ずしも敵を圧倒したわけではなかった。オリヴェイラの最終戦ということもあって最後までモラルもプレー強度も落ちなかったことが勝因といっていい。
ともに中位でシーズンを終えることが確定しており、惜しむもの、守るものもなく、互いに自分のスタイルを留保なく出し合うのびのびした試合になった。東京は自陣から当てる、落とす、飛ばすをくりかえしながら前進するスタイルでチャンスをつくった。
ホームで3-0は完勝というべきだが、リスクをとって前を向いたのが結果として功を奏したかたちで、実際大阪にも決定機はいくつもあり、点の取り合いになっていてもおかしくなかった。結果やゴールの印象ほどの一方的な試合ではなかった。
オリヴェイラにゴールが生れなかったのは残念だったが、笑顔で楽しそうにプレーしており、交代時には両チームの選手が花道をつくる栄誉を受けた。スタンドからも惜しみない拍手と歓声があり、東京でひとつの時代をつくったストライカーとの別れを惜しんだ。
オリヴェイラのほか、仲川、遠藤、俵積田、荒木らが働くべき人がしっかり仕事をしたのが印象的。今季ここまで来られたという意味ではひとつの到達点ともいえるが、逆にこの力を安定して出すことができなかったシーズンが悔やまれる。
シーズンはあらためて振り返りたいが、ポテンシャルはあるもののそれを表現しきれず、もっとやれていたはずという感が強かった。力の一端は垣間見せいい時期もあったものの、結局は無冠でACLも取れず、可能性が可能性のままで終わったシーズンだった。
シーズン38試合を終えて戦績は15勝14敗9分、勝ち点54(1試合あたり1.42)での7位でシーズンをフィニッシュした。決してひどい成績ではないが、満足できる数字でもなく、あとひとつ、二つを勝負どころで勝てなかったことが最後まで重荷になった。
すでにクラモフスキー監督の退任が発表されており、公認には新潟の松橋監督らの名前が挙がっている。その上に次を構築するためのベースはある程度できており、だれが監督になるにせよスクラッチからではなくこの蓄積を継承してほしいと思う。
僕自身としては鳥栖の川井前監督をヘッドコーチに招聘したうえでクラモフスキー監督にもう一年委ねたいと思っていたが、クラモフスキー監督退任でただの空想になってしまった。松橋監督がベストチョイスかはわからないが、チーム構築のための時間はあまり長くはない。
試合後には恒例のシーズン感謝セレモニーとして、小泉、クラモフスキー監督のスピーチがあり、引き続いてオリヴェイラの引退セレモニーとしてオリヴェイラからもスピーチがあった。またひとつシーズンが終わった。
評点
[評点はドイツ式(最高1~最低5)]:
野澤大(2.5) 気持ちよく勝てたのは彼のおかげ。
白井(4) オリヴェイラめがけてクロスを上げた。
土肥(4) 来季はレギュラーを取りたい。
トレヴィザン(3.5) 攻守に存在感、残留してくれ。
安斎(4) 加入初年で飛躍した。前で見たい。
東慶(4) プレーでチームを引っ張った。
高(3) ゴールだけでなく試合の要だった。
仲川(3) 頭の下がる活躍。ゴールうれしい。
荒木(3.5) 力を遺憾なく見せた。完全移籍希望。
遠藤(3.5) オフサイドになったヤツ惜しかった。
オリヴェイラ(3.5) 東京の9番の系譜を継いだ。
===
俵積田(3.5) あれはゴールでよかったのにな。
小泉(3.5) ベンチスタートもったいない。
山下(4) オフサイドポジションにいること多い。
長友(-) 時間短し。
野澤零(-) 時間短し。
俵積田の幻のゴールで隣りの席の小学生とハイタッチできたのがよかった。