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【ブンデスリーガ第4節】ダルムシュタット 3-3 グラードバッハ

■ 2023年9月18日(日) 17:30キックオフ
■ Merck-Stadion am Böllenfalltor (Darmstadt)

月曜日が敬老の日なので、朝早めに起きてスカパーを録画視聴した。インターナショナルで2週間ぶりとなるリーグ戦。ここまで開幕から2敗1分と勝利がなく厳しい状況。アウェイとはいえ昇格クラブであるダルムシュタットからは勝ち点3を持ち帰りたい。

オムリンが肩の故障ということで引き続きニコラスがGK。ネッツは復帰したもののベンチ・スタートとなり、ヴェバーが引き続き左SBに。ボランチにはライツがヴァイグルとコンビを組み、最前線にはヨーダンが先発、チュヴァンチャラはベンチに。


布陣

ニコラス
スカリー フリードリヒ 板倉 ヴェバー
ヴァイグル ライツ
オノラ プレア エングム
ヨーダン

前半

立ち上がりからダルムシュタットがモラル高くボールにアプローチ、少ないタッチで押し上げながらグラードバッハのゴールに迫ってくる。3分にはいきなり板倉がエリアのわずか手前で敵FWを倒し危うくPKを与えそうになるなどバタバタした立ち上がりに。

すると8分、敵陣からのロング・ボールで一気に裏に抜け出され、ニコラスが一対一で対応したが流しこまれて失点、0-1と先制を許す。フリードリヒの裏のケアがルーズすぎたように見え、守備の約束ごとはどうなっているのかと暗澹たる気分。

さらに直後の10分、敵CKをいったんクリアしたものの、こぼれ球からあらためてクロスを放りこまれ、これに頭で合わされて失点、あっというまに0-2と2点のビハインドを背負う。ヴァイグルが対応したが競り負けた。ダルムシュタットの勢いに押されるかたちで試合の入りに失敗した。

その後も切りかえの速いダルムシュタットに主導権を奪われ、グラードバッハは敵の捕まえどころをしぼりきれずズルズルと後退する苦しい流れになる。前半の半分を過ぎたあたりからようやくボールを持てるようになるが攻撃は相変らず散発。

19分、オノラの右寄りからのFKにヴェバーがファーで飛びこむがボールはサイドネットに。27分にはプレアがカウンターで中央をもちあがり、そのまま自らシュートを放ったが枠を外れた。左右にヨーダン、オノラが並走したが自分で打ちたい気持ちはわかる。

すると33分、敵FKから後ろに落とされたボールをダイレクト・ボレーでけりこまれまたしても失点、0-3とリードを広げられる。頭のなかで「チーン」と音がしたサポも多かったと思う。僕には確かに聞こえた。

前半残り時間もダルムシュタットに押しこまれる流れは変わらず。ニコラスの好セーブもあってなんとかゴールは守るものの、自陣からボールを持ちだす前にロストすることが多く波状攻撃を受ける。結局0-3で前半を終えたがもっと点差が開いていてもおかしくなかった。

立ち上がりにたて続けに失点、防戦一方となり、攻撃は前線と後ろが分断されて形にならず、追加点も奪われてやりたいようにやられた。希望がほぼ見出せない前半で、このままでは監督更迭も頭をよぎる。

後半

セオアネ監督は後半から大きく布陣を変更。プレア、スカリー、フリードリヒ、エングムに代えてチュヴァンチャラ、ノイハウス、エルヴェディ、ネッツを投入、3バックに移行し、チュヴァンチャラとヨーダンの2トップになった。

ニコラス
エルヴェディ 板倉 ヴェバー
オノラ ヴァイグル ネッツ
ノイハウス ライツ
ヨーダン チュヴァンチャラ

この布陣の組み直しでグラードバッハはボールを保持できるようになり、コンパクトに押し上げられるようになる。立ち上がりの47分、ライツからのパスを受けたチュヴァンチャラがエリアに侵入するが敵DFに寄せられシュートを打ちきれず。

そのままプレー・オンとなったがVARが介入、敵DFの手にボールが当たっていたとの判定になり敵DFが決定的な得点機会の阻止で退場となるとともにグラードバッハにPKが与えられた。50分、このPKをチュヴァンチャラが自らけったが敵GKががっちりコースに飛んでキャッチされる。

しかしここから数的優位を得て流れが変わり、グラードバッハが前半とは異なってボールを支配、敵陣で攻撃をしかけるハーフコート・マッチになる。ダルムシュタットは奪ったボールを前線に飛ばしてカウンターを狙う。

56分、ライツがドリブルでもちあがり、敵DFをかわしながらエリアに侵入、最後に中央のヨーダンに預けると、ヨーダンがこれを難なくゴールに流しこんでようやく1-3と1点を返した。ライツの力強いドリブルに驚いた。

62分、ライツに代えてハックを投入、ハックはそのままインサイド・ハーフの位置に入った。グラードバッハはその後もボールを支配し、自陣でブロックを形成するダルムシュタットを崩そうと攻撃をしかける。

その後もグラードバッハはヨーダン、ハック、ノイハウスらがたて続けにチャンスを迎えるが決めきれない。ようやく73分、右サイドからエルヴェディがクロスを入れると、ファーのネッツが頭で折り返し、中央のチュヴァンチャラがさらに頭でニアに伸ばすとノイハウスがダイレクト・ボレーでゴールにけりこみ2-3に。

さらに77分、板倉からの縦パスを受けたチュヴァンチャラがヒールで落とそうとする。これは敵DFに引っかかったがボールが戻ってきたところをチュヴァンチャラがエリア外から強烈なシュートをけりこみついに3-3に。数的優位を得て押しこんだグラードバッハがようやく同点に追いつく。

残り時間も逆転を狙って攻撃をしかけ、90分にはオノラのクロスにハックが頭で合わせるがGK正面。90+2分にもハックが角度のないところから狙うがGKにセーブされる。終了間際にもオノラのクロスに合わせたノイハウスがヘディング・シュートを放つがGKにキャッチされる。結局逆転まではもちこめず、3-3の引き分けに終わった。

戦評

早い時間の失点から完全に主導権を握られ、0-3で前半を折り返したが、後半選手交代で布陣を立て直し、数的優位も得て形勢を逆転、3点差を追いついた。勢いからは逆転も可能だったがダルムシュタットも必死の守備で対抗、勝ち点1を分け合う結果となった。

とにかく前半がひどすぎ、攻守においてやりたいことが何ひとつできなかった。あのまま負けていたら監督更迭の議論が出てもおかしくなかったが、後半修正してなんとか面目を保った格好。

数字的にはシュート数22-15、CK6-6、ポゼッション64-36と後半の押しこみが数字に出ているが、前半と後半でまるで様相の異なった試合になった。ノイハウス、チュヴァンチャラは最初から出そう。

おそらくセオアネ監督はこの試合の後半のような戦いがしたいのだと思うが、この試合も想定外の展開が多すぎてまだ今季のテンプレートとなる戦い方が見えない気がしている。面白い連係も個人技もあるが、守備の約束ごとやプランがはずれた時の対応などまだまだ詰めるべき点が残っているように見える。

昨季までのシュティンドルのような、ピッチ上でチームを締めることのできる存在がいなくなっているのかもしれず、チームとしての一体感が出るまでにはもう少し時間がかかるのか。ちょっとまだどこに向って走っているのかよくわからず面白くもあるが怖い。

なにより開幕4試合で2敗2分の勝ち点2、首位とは勝ち点差8の14位はスタート・ダッシュとしては完全に失敗というほかない。レバークーゼン、バイエルンと厳しい相手との試合が続いたとはいえ、1勝もできていないのは言い訳できない。

次節もライプツィヒとのホーム・ゲームとなり楽な相手ではないが、しっかり勝ち点を積み上げないと監督更迭などの雑音が出て試合に集中できなくなる。セオアネ監督の手腕と、クラブとしての現状認識が問われる試合になる。

ゲラルド・セオアネ監督談話:

「われわれはひどい前半を見せてしまった。連係がほとんどうまく行かなかった。一対一の競り合いもできず、セカンドボールも拾えず、後ろ向きに走るだけだった。攻撃においてもアクセントをつけることができず、その結果ハーフタイムには0-3となっていたがそれもしかたのない出来だった。しかし、4人を交替したことと、なによりダルムシュタットにレッドカードが出たことで試合は違う方向に動きだした。11人対10人で様相はガラっと変わった。数的優位を得たが我々は規律を失うことなくたくさんのチャンスを作った。これについてはチームを称賛しなければならない。しかし正直に言うなら、退場がなければ我々はおそらく追いつくことはできなかっただろう」

この日は緑を基調にした通称スイカユニだった。

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