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【FC東京】2023年シーズン・レビュー(3) 選手レビュー

2023年シーズンをポジションごとに振り返っておきたい。

GK

スウォビィクがリーグ戦24試合に先発、シーズン前半は不動のレギュラーであったが、8月に野澤に先発を譲ると、併用の時期を経てシーズン終盤はベンチからも外れた。野澤はリーグ戦10試合、ルヴァンカップ6試合、天皇杯1試合に先発出場し、代表にも選ばれた(試合出場なし)。

スウォビィクはシュート・ストップにおいて間違いなくリーグでも屈指の能力を誇るが、足元にはかねてから不安が指摘されており、アルベル監督の下で戦った昨季から戦術とのミスマッチが気にはなっていた。貢献は大きかったが、野澤の成長もありクラモフスキー監督もクラブとしても秋ごろには今季限りの決断をしたものと思う。

2021年8月、アウェイでの仙台戦で、当時コロナ対策で声出しができないなか、最後尾からチームを鼓舞するスウォビィク(当時仙台所属)の声がスタジアムに響きわたり、ついには彼の声出しに対してスタンドから拍手がわいたのは忘れられない。涙が出た。そのときから素晴らしい選手だと思っていて、東京に来てくれたときには本当にうれしかった。彼には感謝しかない。

スウォビィクからポジションを奪った格好の野澤も素晴らしかった。代表はまだお試し招集だろうが、アジアカップにも呼ばれており期待は大きい。ミスも少なくはなかったがそれはリスクを取ってチャレンジした結果だ。天皇杯1試合の出場にとどまったがリーグ戦6試合を含む15試合でベンチに座った児玉にも感謝したい。

DF

SBは中村が3月に負傷離脱、4月初めにいったん復帰したが同月末には再びケガで長期離脱となり、結局そのままシーズン中は復帰できなかった。中村はプレーには成長が窺えたが気持ちが前面に出るプレーで荒っぽさが目立ち、自らシーズンを棒に振った形となった。またバングーナガンデも4月に一度離脱、いったん復帰したものの5月に再度負傷し9月まで離脱を余儀なくされた。

これを埋めたのが長友であった。左右両翼でほぼシーズン出ずっぱりの活躍。監督が変わっても使われ続けるのはさすがとしかいいようがない。シーズン初めに岡山から獲得した徳元も出場機会を得てリーグ戦18試合に出場(先発11試合)、1ゴールを挙げるなど存在感を見せたが、クラモフスキー監督になってからは先発1試合のみと使ってもらえなかった。

シーズン途中に京都から獲得した白井はリーグ戦11試合に出場(先発5試合)したが、バングーナガンデの復帰とともに出場機会を減らした。徳元、白井をさしおいて小泉が右SBで起用されるケースも多かった。

CBは森重(リーグ戦26試合先発)、木本(20試合)、トレヴィザン(20試合)の3枚で回したが、森重はさすがにフルシーズン・フルフィットがしんどくなりつつある感を受けた。スピードで競り負けるシーンも散見され、コンディションの好悪がはっきりと現れるようになった印象。

木本も移籍初年だった2022年シーズンに比べるとパフォーマンスが落ちている感が否めなかった。コンディションに問題があったのか。シーズン終盤の試合では素晴らしいフィードを見せるなど力はあるだけに不本意なシーズンだったと思う。

これを埋め合わせたのがトレヴィザンで突貫守備にはリスクもあったが思いきりのいいチャレンジで何度も窮地を救った。それでも足りないときに木村に出番がまわってきたわけだが、無難にこなしはしたものの強い印象を残すにはいたらなかった。

MF

中盤では鳥栖から獲得した小泉が八面六臂の活躍だった。右SBでの起用もあったがリーグ戦33試合に出場(先発31試合)したのはオリヴェイラと並ぶチーム最多。豊富な運動量、危機察知とカバーリング、ボール奪取能力と高いパフォーマンスを見せ不可欠な選手となった。

安部はケガで出遅れ、4月中旬から活躍したが7月に海外移籍。松木はチームの矢印を前に向けるうえで重要な役割を果たし続けたが、U23代表招集で9試合を欠場するなど離脱が多かったのがキツかった。JFAから給料か勝ち点を補填してほしい。

東はボランチを中心にリーグ戦30試合に出場したが、先発はうち18試合にとどまった。アンカーで新境地を開いたが、ときに荒っぽいプレーでひやりとすることが多かった。退場になるのはまだしも、敵の選手に致命的なケガをさせてしまうリスクがある。中村ともども熱く戦うことと危険なプレーの峻別はしっかりしてほしい。

シーズン途中にC大阪から獲得した原川も存在感を見せた。リーグ戦10試合に出場(先発7試合)、1ゴールを挙げている。セット・プレーのプレース・キッカーとしても貴重な戦力となった。

青木は出場した試合では存在感を見せたが6月のG大阪戦で負傷離脱、11月の33節で交代出場の機会を得るまで半年のブランクを余儀なくされた。青木の離脱はなにげに痛かった。あとは寺山がリーグ戦で3試合の先発を含む9試合の出場機会を得たのが目を引いた。

FW

前線ではオリヴェイラがリーグ戦32試合に先発、キャリア・ハイとなる15ゴールを挙げた。2022年は痛みを抱えてのプレーで精彩を欠いたが、今季はゴール前での決定力が戻った。しかし逆にいえばオリヴェイラに次ぐゴール・ゲッターがいなかったのが今季のウィーク・ポイントでもあった。

アダイウトンはリーグ戦29試合に出場(先発13試合)したが3ゴール止まり。スペースを消されると得意の単騎突破も難しかった。終盤間延びしてきたところでサブとして投入するのが正しい使い方だと思うが、先発で守備に追われ不憫だった試合も多かった。

渡邊も29試合に出場(先発27試合)、ウィング、トップ下などで自由に動きまわり存在感を見せた。得点は4ゴールだが8節ホームでのC大阪戦でのゴールが年間最優秀ゴールに選出されるなど印象的なプレーが多かった。ポストやバーをヒットするシュートが多かった印象だが、ギリのコースをねらっているからこそだと思っておきたい。

横浜FMから獲得した仲川は27試合(先発25試合)に出場し4ゴール。シーズン序盤こそなかなか周囲と息が合わずほしいタイミングでボールが来ないことが多かったが、徐々にチームになじみシーズン後半は牽引役となった。 献身的かつあきらめないプレーぶりで、ゴール以上にプロとしての姿勢を示した。東京を次のステージに引き上げるオーガナイザーとなる選手だ。

前線では新人の俵積田がシーズンを通じてコンスタントに出場を機会を得た。リーグ戦27試合に出場(先発12試合)、2ゴールを挙げた。左サイドからドリブルでしかけるプレーには花があり、彼がボールを持つとスタンドも沸く。来季が正念場になる。

塚川はリーグ戦21試合に出場したが先発は6試合にとどまり途中出場中心。1ゴールを挙げたがトップ下、インサイドハーフ、ウィングなど使われ方は一定せず、シーズン終盤はベンチからも外れた。戦術理解の確かな選手で技術もあるが、器用貧乏ぽくてなんかもったいない。

2023年シーズン各賞

MVP:小泉(次点:仲川)
得点王:オリヴェイラ
殊勲賞:野澤
敢闘賞:トレヴィザン
技能賞:渡邊
新人賞:俵積田

チーム成績が今イチで監督交代もあり印象のよくないシーズンだったがムダではなかったと信じたい。

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