2024.07.11 心が砕ける音
仕事が楽しくない。
「思っているよりペーパーワークが多いけど、大丈夫ですか?」
入社面接のときの言葉の意味が、今になって分かった。
毎日、会議とその準備、書類の作成、証憑の確認、会計処理。山積みとなるデスクワークが私を襲い掛かってくる。
同僚から資料を共有されることもあり、それは50ページ以上の英文にも目を通さないといけない。英語が苦手な私には苦痛でしかない。
会議を開いても、うまく話せずにいる。
現地チームに意図が伝わらないことは度々ある。前任者が、一緒に会議に入って私の至らないところを補ってくれる。それは間違いなく助かるし、勉強になる。自分がプロジェクト・マネージャーにも関わらず、彼女に乗っ取られている状態だ。
だが同時に、私自身も彼女の存在に甘えている。心のどこかで、「彼女が助けてくれる」と思っている節がある。
このままではだめだと分かりつつも、何もできないでいる。現地との会議は、自分の無力さを実感する時間となりつつある。
事務所を離れ、裨益者のもとにインタビューに行っても不甲斐なさを実感する日々だ。彼らが憩いの場としてヘルプセンターで和やかに過ごしている中、シャシャリ出ていけない。
何度も通い、ただ一緒にいる時間を繰り返し関係性ができてから、インタビューをしたいというのが私のスタンスである。しかし、それほど時間をかけることはできない。即座に輪に入り、日本から求められている情報収集をしないといけない。
どうにか、勇気を振り絞り通じるかもわからない英語で声をかけ、運よく相手が理解してくれたとしても、質問が続かない。出張者できた同僚や前任者だと、途切れず(むしろ時間が足りないほど)質問がでてくるのに、私にはそれが沸きあがってこない。
彼女たちに相談しても、「経験と慣れ」としか言われず、努力のしようがない。次第に、裨益者のもとに行くのが重荷となっている。
元来、人と話すのが好きで教員を目指したほど、人との関わりが好きなのに、今は裨益者の前に立つ前にはため息をしている。
私の心とは関係なく、多くの仕事が、これを書いている中でも溜まっている。
だが、やる気が出ない。
全然楽しくない。
自分の英語の不出来に辟易する。
「やる気がでないとか言っていないで、さっさとやれ」「あまったれるな」という声が脳内で響いている。分かっている。どんな心の持ちようでも、給料をもらっている以上与えられた仕事をしないといけない。頭では分かっている。だけど動けない。
何回この事務所で泣いたか分からない。この仕事が向いていないかもしれない。
10年間懇願し続けた海外駐在。実際は、心が砕ける音しかしない。
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