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2024.12.17 クリスマス会

約15人が、ぐるりとテーブルを囲む。その中央には、クッキーやケーキ、ジュースなどが並んだ。赤と緑のナプキンが、何とも季節感を表す。

「明日事務所来る?午後はみんな集まるから、よかったら是非。」
私は、スロバキア事務所に席を借りているが、支部のメンバーではない。そのため、普段スタッフ会議などにも参加はしない。最初は、“仲間はずれ感“もあったが、今となっては当たり前になった。だから、全体が集まる会議になぜ誘われたのか、疑問に感じていた。

しかし当日の昼。一気に慌ただしくなった。
人が部屋を行き来し、テーブルやクッションなどを運んでいる。何事かと思い、部屋を覗くと、クリスマスパーティのセッティングになっていた。

脇の机にはプレゼントと思われる物が並び、中央の机にはクリスマスカラーで彩られていた。どうやら会議ではないらしい。スロバキアの事務局長はいつも、誘いが急で言葉足らずだと、改めて感じた。

一年を労う開会の言葉から始まり、事務局長の奥さん特性のカプサニッツァが振る舞われた。私の中で一番美味しいスロバキア料理。これは、クリスマスに食べる特別なスープで、キャベツの酢漬けをサラミのようなソーセージなどと煮込んだ伝統料理だ。

横に座る同僚に、一般的なスロバキアのクリスマスの祝い方を聞いた。
家族が一堂に集まり、まず最初にトゥルビチュキという、シガールのような丸まった薄焼きクッキーから食す。次にスープ、そして魚を食べる。内陸国で、普段から魚の種類も販売数も少ないスロバキアは、この時期になると争奪戦が繰り広げられるらしい。

夜になると“幼子イエスキリスト”が、ベルを鳴らしながら現れ、プレゼントを一人ずつ配る。日本では、夜の間にサンタがきて、翌朝プレゼントを開けるのが一般的だ。しかし別の記事で書いたように、スロバキアでは12月6日に聖ニコラス(サンタ)が贈り物をしている。だから、24日に“サンタ”は現れないのだ。

さらに、当国には正教会信者も一定数いる。彼らは1月7日を降臨祭としているため、クリスマスマーケットなどもその日まで開かれる。
つまり、アドベントが始まる11月末から、1ヶ月半ほどクリスマスを祝い続けるのがスロバキアスタイルなのである。

すると横からウクライナ人のスタッフが、日本の祝い方を聞いてきた。そのため、クリスマスの代わりに、お正月の話をした。31日には年越しそばを食べ、神社で年越しすること、除夜の鐘を鳴らすこと、初日の出を拝むことなど一連の流れを説明した。
「人間の煩悩はなぜ108なの?」と聞かれた時には、私も戸惑った。海外で生活すると、よく自分の文化を伝える場面には出くわし、その度自分の無知を知る。だが、自国の文化に興味を持ってもらえるのは非常に嬉しい。

温かいスープと、お互いに寄り添う温もりに、身も心も満たされた。
近づくクリスマスに、皆浮き足立っていた。

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