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2025.01.12 隣国の味

「これはウクライナのケーキ屋さんの味よ」
そう言いながら、トレンチンのコーディネーターからチョコレートケーキが差し出された。直径30cmはあるホールケーキ。トレンチンからブラチスラバまでの1時間の移動すら、型崩れを起こさないか心配になる代物だ。
私は思わず、「ウクライナから調達したの!?」と質問をした。
すると、「いや、ウクライナの人気が、スロバキアにも進出しているのよ」と笑いながら返答された。



当国に店舗拡大しているウクライナのチェーン店はいくつかある。
一つ目は、Vatsakという前述したケーキ屋だ。
カフェのケーキだと平均1ピース5€はする。しかし、この店はホールで7€〜という低価格で販売している。コスパの高さゆえか、スロバキア国内だけで28店舗もある。

二つ目は、Lviv Croissant。
名前の通り、ウクライナ西部のリヴィウ発祥のクロワッサン店である。以前、ブラチスラバ在住の日本人から教えてもらい、ずっと気になっていた。
今日久しぶりに街中に行く用事ができたため、お昼に寄ることにした。

レジの頭上には大きな電光掲示板のメニューがあり、ファーストフードを彷彿とさせた。しかし、飲食エリアはふかふかのソファなども並べられ、なんとも小洒落た雰囲気が漂っていた。

メニューは、チキンやサーモンをクロワッサンの間に挟んだ、おかず系サンドイッチと、クリームやフルーツを盛り込んだスイーツ系の2種類に分けられる。およそ5€から9€の間で食べられ、スロバキアの物価を考えると悪くない。
私もチキンカイザーを頼み、近くのソファ席へと腰をかけた。今日は外が寒いからか、私以外にも5〜6組ほど店内に非難している人がいた。料理を食べているものもいるが、ただ暖かい飲み物を手にしている女性グループもいた。

5分経ったぐらいで、すぐに注文の品が届いた。
ほんのりあったかいパンの間に、溢れんばかりの具が入っている。一口食べると、サクッと音が聞こえた。
日本でクロワッサンというと、甘いイメージを想像する人が多いだろう。しかし、スロバキアでは、甘さは控えめ。扱いとしては他のプレーンパンと同じだ。サクサクしたパンに、自分でバターやジャムなどを塗るのである。
このクロワッサンサンドは、その特徴を活かし、具の味を引き出しているように感じられた。無類のパン好きである私も、ご満悦だ。

私はウクライナに足を踏み入れることができない。
しかし、隣国の味を楽しみ、現地の味を想像できるのは、スロバキアにいる一つのメリットであるなと感じる。

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