見出し画像

2025.01.24 “アホなスロバキア人”

テレビが暗闇の中に光り輝く。
赤い電飾がところどころあるだけで、隣にいる友達の顔もはっきりとは見えない。だが、曲のイントロが流れ始めただけで、後ろから悲鳴とも取れそうな歓声が響いた。

いきものがかりのブルーバード。
きただにひろしのウィーアー。

日本人の友人が、声高らかに歌い上げていた。どちらも、海外でも人気のアニメ主題歌だったため、曲を知るスロバキア人も多いようだ。後ろに座る男女3人組は、一緒に歌うほどだった。そして歌唱し終わると同時に、店内にいた多くがWhooooo!!と叫び拍手をした。

わざわざカラオケバーに来るようなスロバキア人のため、元々親アジア人なのだろう。だが、アニソンの認知度の高さに驚きを隠せなかった。
すぐさま、声をかけられた。

「あなたたち、日本人なのね?最高だったわ!」
「子どもの頃からずっと、ナルト、ワンピース、ブリーチのアニメを見ていたから、曲が流れてきて、すぐにわかったよ!」
熱を込めながら語ってくれた。

我々もスロバキアのことに興味があるため、合流して一緒に話すことにした。
しかし、良くも悪くもカラオケバー。
声を張らないと何も聞こえない。このままでは明日の声は消えると思い、寒空のもと話すことにした。

念願のSlivovica。韓国のグラスに入っているのが残念…

「なんでスロバキアに住んでいるの」
「今のところ、この国の印象はどう」
簡単な身の上話をした上で、スロバキアについて教えてくれた。

「この国は、きっと何もかも日本には衰えるわ。行ったことはないけど、テクノロジー大国の日本は、近未来的なんでしょう。それに時間にもぴったりだから、こっちの電車に乗ったらびっくりすると思うわ。平気で3時間とか遅延したまま、運休とかもあるからね。本当最悪よ。」
海外に住んでいると、必然的に日本に対する印象を聞くことが多い。その中の一つに、“きちんとしている“というのが入ってくる。時間厳守・清潔さ・丁寧さなどは、他の国から見ても随一だと私も思う。むしろ、1分の遅延ですら構内アナウンスをしているのを聞くと、Too muchな気すらする。

「あと、この国の人間はアホばっかりよ。親露で保守的な人もたくさんいる。
今の首相や大統領を支持しているのは地方の高齢者が多い。共産主義の時代、苦労をした人たちだけど、このまま欧米側につくより、実情を知っている方がましみたい。
それにスロバキア人は、どんなに自分が恵まれた生活を送っていたとしても、隣の芝が青いのが許せない性質みたい。だから、ウクライナの方に対しても否定的なのね。」

確かに、私自身当国で生活している中で、スロバキア人に対してウクライナ支援をしていると言いにくいことは多々ある。そのため、初対面の人に滞在の理由を聞かれると、「スロバキア人の中で、賛否両論あるのは知っているけど」と前置きをつけるようになってしまった。

一方で興味深いのが、ブラチスラバに住む比較的若い世代は皆、「スロバキア人はアホだ」と言っている。自国の政治に満足しない若者というのは、世界共通だ。

いいなと思ったら応援しよう!