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2024.07.15 人の成長

毎週月曜日、17時半。
大きなショッピングセンターのフードコートで待ち合わせをする。

大概私が遅刻するが、今日は彼が珍しく遅れている。
15分ほど経ってから、ピンクの髪をいつものヘアバンドで留めた姿の彼が来た。
6月20日に、ウクライナ避難民のコミュニティセンターで会った男の子だ。

初めて会った時、ポケモンカードのご指導を受けただけでなく、アニメへの愛、日本への留学検討について話を聞いていた。加えて、日本語を教えてほしいと口説かれた。
私も、簡単なスロバキア語を学びたいと思っていたので、二つ返事で了承した。

7月から開始し、3回目。
スロバキア語45分、日本語45分で進めていく。

スロバキア語は読みの練習が中心である。
č š t’ ž ň l’ d’ ô ä...
日本語と似ている発音もあるが、上記のものは特殊である。
特に、d’は同じように発しているのに、「違う」とやり直しを何度も受ける。
大人になって語学を勉強すると、発音の聞きわけ能力が低下すると聞いたことがある。

Rád vás spoznávam (はじめまして)
ďakujem vel’mi pekne (本当にありがとう)
Tak zajtra (また明日)
ベーシックな挨拶ですら、長くてなかなか覚えられない。
覚えが悪くなっている。
精神年齢は高校生の時と変わっていないと思っているが、歳を感じる。

彼は、ひらがなの書きと音の一致作業に苦戦している。
スロバキア語のように、基本形態がアルファベットだと書きの苦労はない。
その点で日本語を習得する方が、圧倒的に難しい。

加えて「僕、ディスレクシアだけど、忍耐力ある?」と出会ったときに聞かれた。
初対面の私に、識字障害があるとさらっと発言したことに驚いた。スロバキアは西側諸国と比べて、障害やLGBTQなどマイノリティへの理解が不十分だからだ。
実際は、ディスレクシアを感じさせないほど丁寧に書く。
今は「あ」から「こ」までしかワークシートを渡していないが、今後どうなるのか期待と不安が入り混ざっている。

人に教えることは、やはり楽しい。
私が教授を受けている時より、与える時の方がワクワクする。
人と関わり、相手が成長していく姿を見るのが好きなのだと改めて実感する。

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