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2024.06.28 私の同僚

人道支援で働く者の多くは優秀である。
その1人に私の同僚があげられる。

彼女はスイス在住で、スロバキアに出張で来てくれた。これまでオンラインでしか会話したことがなく、業務内容しか話をしてこなかった。そのためか、彼女が到着した日は、オフィスの呼び鈴が鳴るまで私はソワソワしていた。

「こんにちはー、遅くなってごめんね」
事務所に足を踏み入れながら彼女は言った。インド南部の島や南スーダンに駐在し、弊団体1、2を争う厳しい環境での生活を乗り越えてきた猛者は、意外と小柄で驚いた。

「頭は柔らかく、枠を越えて物事を考える」
この1週間彼女が度々言っていた言葉である。
事務所横に併設しているウクライナ避難民のヘルプセンターは、人が集まらないという課題を抱えている。その数は時に0のこともある。その解決として、私は今活動の対象としている幼児、中高生、母親などをどのように集められるかしか考えていなかった。

しかし、彼女は今リーチできていない障害者などを対象にできないかと提案してきた。活動実施者のスロバキア側スタッフが不快にならないよう、清らかな水が流れるような流暢な英語で伝えられた。相手への配慮の仕方、新たな視点での物事の見方、どれも見事だった。

別の日には、彼女が独自で作成したパワポを共有してくれた。日本で集めた寄付金で運営している三ヶ所のヘルプセンターを、CHSという人道支援基準に当てはめて、分析がされていた。誰に言われたでもなく、彼女が自ら考え行動していた。私もCHSを知るにも関わらず、それと我々の活動を繋げるという発想に至らなかった。

「なんで思いつかなかったんだろう…」
自分がいかに狭い枠でしか、物事を見れていないか痛感した。
経験値の差だと彼女は言ったが、それだけではないと思う。ハーバードの大学院を出て、UNICEFでも働き、今は副業(本業?)として自営業を経営する彼女は、そもそも地頭がいいのだ。

彼女のようにはなれない。
なる必要もない。
だが、吸収できるものは多く得たいと思う。

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