2万歩歩いて空港に行った(2021/07/08)
■いつもの日記
「行くか、空港」と不意に思い立って、気づいたらズイズイと歩き始めていた。
仕事の都合で5km圏内にいたのもあるのだけれど、関東は今日も生憎の空模様で、僕の横に良識のある人がもしもいたら「何の用事もないのに、こんな天気の中、ましてや歩いて行く必要なんてないじゃないの」と言われていただろう。だけど残念ながら、今日の僕の横には止める人がいなかった。
雨除けのためリュックを前で担ぐように持ちながら傘を刺し、川崎大師から東に20分ほど進んで、そのまま北上して多摩川を越える。その後は再び東に舵を切り、羽田空港までの何というわけでもない道を、どんどんと歩いてゆく。
散歩をしている際に見つけた変わったものを写真に収めるのが割と好きなのだが、今回はそういうのも特になかった。な〜んにもない橋を渡り、な〜んにもない住宅街を抜け、な〜んにもない線路沿いを歩いて空港を目指した。
けど、それはそれで嫌いじゃない。昔関西で働いていたときにも、兵庫の山奥にあるお客様へ向かうのに、何もないゴルフ場沿いを3時間ほど歩いたことがあるんだけれど、結構楽しかった。釣果ゼロの釣りもそれはそれで良きかな、みたいな感覚なのかもしれない。いや、全然違うかも。
実は空港には、前々から行きたいと思っていた。空港に行ったことがないわけではなく、具体的に言うと「なんでもない日に空港に行きたい」という願望がしばらく前からあった。
空港って「どこかへ向かうとき」「誰かを迎えに行くとき」しか行かないから。空港を何でもない時に見に行ったことって、そういえばないなぁ、とずっと思い続けていた。そして待ちに待った空港チャンスが到来したので、悪天候をおして歩いて向かった、という運びだ。で、肝心の空港に行った感想なんだけど、
特に何もなかった。
強いていえば「空港だなぁ」という感想。このご時世なので人は少なく、いつも行く時は見えていない新発見があるのでは? という期待もあったが、思った以上に空港は「単純にだだっ広い」。着いて30分もしないうちに「やることねぇ〜」となり、Twitterに何か載せようと思ったが「撮るものねぇ〜」と頭を抱えた。
せめて空港のご飯は食べて帰ろう(何となく空港グルメ、特に空港のカレーは、なんか知らんが美味しいイメージがあった)と息巻いたが、9割型の飲食店は閉まっていた。やっていたのはモスカフェと吉野家と、やたら高い謎の寿司屋。カレーは無い。京急線に乗って、そのまま家路に着いた。
これだけ書くと「ほら言ったじゃん、つまんないって」と揶揄されそうだけど、これは心から言うと、めちゃくちゃ楽しかった。「なんでもない日に空港に行く」ことの方が「空港や道中で何か面白いことがある」ことよりも、今日の僕にとってはずっと優先順位が高かったから。
写真も何もないので、楽しさを伝える術を持っていないのが残念だけど(ライターだから文章で表現しなさいと言われれば、黙ってあなたを睨みつけることしかできない)、思い出に残る日になったかもしれない。
夕食は品川駅構内でカレーをいただいた。「そこそこ美味いけど、まあまあ高いなぁ」と感じた。カレーのことは、何年か先にも覚えていられる自信はあまりない。
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