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水星の魔女小説版発売が嬉しい

例によってヘッド画像が水星の魔女と全く関係の無い生徒会の一存でございますが、今回の記事は水星の魔女本編とはあまり関係が無いのでこれでいいのだ。

【アニメの限界】

水星の魔女は面白いです。
すんげー面白いです。
でもやはり提示する情報量がアニメだと限界があると見ていて感じました。
展開が早くて脚本が非常に上手いので理解もしやすいのですが、しかしそれでも「ちょっと性急すぎる」「いきなりそんなこと言われても」と思わない部分がないでもなかった。
とくに12話のグエルパパの「グエル……そこにいたのか。探していたんだぞ」は「アレ?仕事先あそこにしたのグエルパパ本人じゃなったっけ?」となったのでもう少し詳しい説明が劇中で欲しかったところ。

【映像媒体は設定が語りにくいし脳内に残りにくい】

これはアニメに限らず映画やドラマなどのメディアが抱える欠点だという持論です。
「この作品の舞台はこんなところで、こんな登場人物たちがこんな状態になっています」と提示すること自体は映像媒体は非常に得意とする分野です。

水星の魔女の第一期OPですが、舞台となるアスティカシア高等学校の内部風景と俯瞰風景を提示し、各キャラクターたちがどんな関係なのかを90秒内に描きつつモビルスーツのアクションも詰め込まれていてわかりやすい。

しかし映像媒体はリアルタイム進行するため、視聴者の興味を削がないようにテンポ良くシナリオ進行し続けるためにはどうしても詳しい設定や心理描写などは省略ないし圧縮する必要が他メディア以上にあります。

この点、小説や漫画などでは読者がテキストを都度読み返すということによって、多量の情報を一気に提示しても理解されやすい媒体であり、このあたりが「水星の魔女の小説版発売が嬉しい」というお話。
なお太字でされやすいと書いたように、いくら小説や漫画でも情報の提示が下手だったり無駄が多かったり、本筋を忘れるくらい多すぎると問題大アリです。
あまり言いたくはないですが、鬼滅の刃原作版などはこの典型でテキストで説明しなくてもコマ割りと絵の工夫でテンポ良く手短に説明した方がいい場面が多く、そういった欠点がアニメで見事に消失しテンポの良さと人間ドラマに注目しやすくなり魅力が増したタイプです。
もっとも細かい心理描写の台詞回しが鬼滅の刃は上手いため、アニメと原作で互いの長所と短所を相互補完しているわけですね。

【見返すこと前提の表現方法もアリではある】

あんまりアニメ見ないオタクなので例が古くて申し訳ないのですが、まどマギはこのあたり細かいところは見返して理解しろというスタンスを取っていました。
とにかく劇中での絵は暗喩がめちゃくちゃ多く、そのうえ魔女文字と魔女の結界内部の劇団イヌカレー空間はさらに暗喩が倍増するため一回の視聴で全部理解しきるのはまず不可能という作品です。

押井守監督作品とかエヴァとかもそんな感じですね。
……つくづく例が古くて申し訳ないのですが、私は本当に映像媒体作品を見るのが苦手なので。
なんかこう、自分が関与できない映像が20分も120分も流れるのをダレずに見続けるのが難しいし、最初っからそんな気持ちなので自分から見ようというアクション自体が起こらない。
本は自分で読むテンポを決められるから大好きなんですけどね……。

【漫画・小説の限界】

設定や心理描写が丁寧に描きやすいのが漫画や小説というのが持論なわけですが、こっちはこっちで限界があります。

小説では情景描写をあまりテキストで詳細に書いても頭の中に構築されにくいですし、作家の語彙がどれだけ豊富でも読者がその単語の意味を知らなければ脳内再現されないという致命的欠点があります。
「タイトなスラックスを穿いた妙齢の美女がS&WのM29片手に暴漢へとソバットを叩き込み脚線美に惚れ惚れした」とか書いてもよくわかんねーよとかそういうお話。
ラノベの文章は稚拙とか揶揄されることがありますが、読者年齢層を考慮してわかりやすい単語や表現を選択せざるを得ないという一面もありますね。

小説なんかではその魅力やカッコ良さを表現しにくく、アニメで表現しやすい典型例なんかは合体ロボットの合体シーンとかですね。

この小説そのものは好きなんですが(絶対崩壊ゼロバスターとかいう頭の悪いネーミングが最高)、合体ロボの非現実性を提示するという小説ならではの強みを上手く生かしているものの、やはり合体シーンは脳内再生するのが難しいです。

逆に言えばラノベで合体ロボとか出てくるとアニメ化された時の楽しみになったりもするのですが。

アクセルワールドでアニメ化されて一番楽しみにしていたのはクリキンでしたね……。

【水星の魔女小説版に求めること】

キャラクターの詳細な心理描写や設定の細かいところを補完してほしいというのが大体ですがジェターク家の諸々をちゃんと詰めてほしいというのが個人的に一番期待しているところ。

前の感想でも書きましたがグエルとラウダは設定の割に仲が良い兄弟なんで、ちゃんとその理由が知りたい。

ぶっちゃけ年子の兄弟とか腹違いでなくても普通に仲が悪くて当然ですからね……。
水星の魔女は家族がテーマですが、実際の家族って仲が少し悪いというかややギクシャクするくらいの方が自然で、仲睦まじい方がかえって理由が必要だと考えてしまうのは私がヒネくれているせいでしょうか……。

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