クライマキナ/CRYMACHINA BGMについて
無事サントラが手元に届いたのでBGM記事が書けます。
そしてこのジャケ絵をご覧くださいよ。
青い薔薇=「不可能」「神の祝福」「夢は叶う」に頭蓋を覆われて涙を流すエノアの姿。
CRYMACHINAでのエノアを一枚で象徴しつつ、実にCRYシリーズらしいイラストではありませんか。
……なんて思っていたのは発売前の話で、実際に手に取ってみるとケースから歌詞カードに至るまで色んなところに「FightFirstDeusExMachina_Dearest();」の歌詞が載っているという。
エノアさんちょっとレーベン好きすぎない?いや世界と創造主ぶっ壊すくらい好きなのは知っているけどそれにしてもTPOというものをですね。
【ボーカル曲=エノアの慟哭とエゴ】
以前も書きましたが、本作のボーカル曲は全てエノア=遠野ひかる氏によるものです。
とのぴーファンは割と本気でこのためだけにサントラ買う価値がある。いやゲーム本編の方がセール期間中に買った方が安く済むと思いますけど、みんながみんなこのゲームクリアできるわけでもありませんしね(難易度的にもストーリーのアクの強さ的にも)。
また、プログラミング言語風に書かれた英歌詞は本作の登場キャラクターたちが機械のため「心と魂を持った機械がたどたどしく自分の心を謡う」という演出にもなっています。
ただ、これは歌詞を見てこそというところも。
※※※
ストーリー序盤から終盤にかけて、エノアの性格は変化――というより抑圧していたエゴを解放することに躊躇いが無くなっていくのですが、ボーカル曲の歌詞はオープニングテーマ曲「NotToNotice();」以外は初期からエゴ丸出しだと思います。
そもそも「NotToNotice();」はタイトル通り「知らんぷりする」なので……。エノアのエゴと存在意義の葛藤がテーマの曲ですからねコレ。
ちなみにサントラボーナストラックのRemix版では文字化けしていた部分の英歌詞をちゃんと歌ってくれます。そらンなこと考えていたら文字化けするわ。
【戦闘曲歌詞構成】
発売前に書いた記事ですが、改めてこの記事でも触れた本作のボーカル入りバトル曲の歌詞構成テンプレートに触れたいと思います。
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【歌い出し】
この部分はエノアがよほど激怒でない限りは、戦闘対象相手に対する客観的情報によって構成されています。
それというのも、この歌い出しの締めは毎回この部分で区切られているため。
ただし、たまに歌い出しの時点でエノアの主観丸出しで心底激怒していることがあります。
本編エノアの言動らしからぬ皮肉や嫌味といった迂遠な表現の負の感情が歌われており、エノアが実は一番危険い奴なのではと再認識させてくれます。あとプログラミング言語の方が本当は喋りやすいんだと思う。
概ね、家族への尊厳を踏み躙る言動や行動をしたキャラに対して主観丸出しになる傾向にありますね。たった一人を除いては。
【サビ部分】
これはほぼ完全にテンプレートに則った構成になっています。
なお「XXXXX」と書いた部分はその曲ごとに違います。
【FightSixhDeusExMachina_Logos();】
発売前に発表されたボス曲の中で、はなまるエディションサントラには入っているのにFull版動画公開がされなかった曲です。
レティアやエクレシアにゾーエー、果てはノエインまで公開されたのになぜロゴスはFull版が公開されなかったのか?
……聞いたらわかりますが、ロゴスの曲ってボーカルオフの間奏部分がラスボス戦じみているのが原因だと思います。
歌い出しの歌詞も不穏、間奏部分は徐々に壮大に盛り上がり威厳すら感じ、最後の方は神秘的ですらある。
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ゲーム本編では序盤で壊られるボスでしかないのですが、ここまでやたらとラスボスっぽいのは「旧人類を滅ぼした黙示録の獣」というのが原因かと。
開発担当した人物名がジョン・オッペンハイマーというあたりからして核兵器=最終戦争において世界を滅ぼす役目を担う機械という設定の反映ですね。
この初プレイするプレイヤー主観からのストーリーテンポをガン無視して、ゲーム全体から見た時の盛り上がりやキャラクター造形の方を優先する開発者側からのエゴの押しつけ。嫌いじゃない。
いや本当にただ単に押しつけていたらダメなんですけどね。後々わかる演出が上手いからいいのよ。理想は初見時に「ん?」「あっ(察し)」にするべきなのですが(この点はMonarkの方が人間同士なのでわかりやすかった)。
良くも悪くもロゴス曲は林Pから削除氏にとのぴーまでノリノリで作曲していたそうなので……。
歌詞内容的にはエノアの「ごめんね」感がとっても強いです。
【FightFourthDeusExMachina_Anthropos();】
エノアさん心底激怒案件。
じゃねーよエノアさん。「私の『はなまる』を踏み躙ったお前はブッ殺す」とひたすら言っているも同然だぞこの歌。
こちらはサントラのみにしか歌詞と和訳が公開されていないので引用は避けますが
死体と踊るイカレた家族愛の哲学者
リリーとイブしか見えてない盲目な機械
このげきおこは心ではなく魂で理解した
まぁ大体こんな感じです。怖いよエノアさん。戦っているアミより怖いよエノアさん。
アミは表面上ヤンデレに見えて(実際ほぼヤンデレだけど)、エノアは病んだ部分を抑圧して隠しているからなおヤバいしおっかない。
曲調もなんだか怪しげでエノアとアントロポスが互いに持つドロドロとした負の側面が滲み出ています。
バトル曲らしくはあるのですが決して激しい曲調ではなく、エノアが無感情にプログラミング言語で嫌味と皮肉と殺意をぶつけているのがかえって狂気を感じます。
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なおマジギレしているエノアですが、アントロポスやノエインから見ればエノアのアントロポスに対する皮肉や嫌味はほとんどブーメランです。
自分の創った仮想世界で生まれたモノだけを愛する自慰的な壊れた機械
愛するモノを守るためなら自分も姉妹機も世界も何もかもぶっ壊す
旧約聖書の創世記が下敷きになっているCRYMACHINAですが「創造主が自らの創造物を無条件に愛する」ことに敵役側からとはいえ否定的意見を述べさせているのはいやはやなんともはや。
対アントロポスのシナリオの主役はアミなんですが、彼女の過去も振り返るとCRYMACHINAの「殺生」以外の重要なテーマである「愛」が描かれており
愛情を注いでくれない親なんか縁を切ってもいい
「愛に殉じる」としても「愛する相手の何に惹かれ愛しているのか」と「相手を愛する自分が愛おしい」だけなのはまるで違う
愛に見返りは不要!(byアミ)
これらを考えると、創世記の創造主にケンカ売ってんのかってシナリオ構成ですね。おっかねぇよ。
【FightTrueHumanity_LIly();】
エノアさん心底激怒案件そのニ。
ミコト首ちょんぱのお礼参りに向かう、ストーリー中盤の山場であるためか非常にバトル曲らしい曲調で、なおかつリリーの狂気を表現しています。
なおそんな名曲ですがうっかりポゼッションイントレーダーを装備したアミがto swing down the guilloyine blade of loveするとエノアが歌う前にリリーの首が飛びます。
エノア以上にアミが心底憤怒しているから仕方ないね。
なお引用した歌詞部分は実際に聴くと非常にノリが良くて好きです。
イントロの狂気と歌い出しからLoadEnemyinfomationする時にあまりにもラグが無さすぎる所が「早い所この娘ぶっ壊そう」感出てて怖い。
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こちらのエノアも大概ぷんすかモードですが、LoadEnemyinfomationするまでの歌い出しはアントロポスほどへの皮肉と嫌味は無い……と思います。
ほとんどは事実ではあるので。相手『本物の人間』だもん。劇中での振舞いと言動通りのことを指摘しているだけ。
唯一「master of the toy box」くらいですね、皮肉らしい皮肉は。
でも事実でもそこを挙げへつらうのかってところがエノアさん心底激怒案件。
サビのテンプレート部分はどちらかというとアミの心境を代弁してあげている所があり、エノアのエゴはぷんすかしつつもちょっと控えめな印象も。
「代弁する必要もありませんことよ」と言わんばかりに瞬殺するアミさんは空気を読もう。
【FightThirdDeusExMachina_Noein();】
この動画で歌詞が公開されているのでわかりやすいのですが
の部分は実際には
と順番が入れ違って歌われています。
※※※
これは
の部分から「魂は変わることでより輝く」という意志によってテンプレート構成の変革=エノアのエゴの発露がより大きく起こっている、という演出だと解釈しています。
また
歌詞カードの和訳を無視して、この入れ替わっている方のまま素直に和訳してしまうと「神話を燃やし、魂は輝く。法を融かすことで希望を得る」となり、よりエノア一家のノエインに対する反逆意志の強さが出ています。
……かなり過激な意志ですが、このゲーム全て壊してでも生きてやるなので。
それに最初のノエインの情報を取得している歌い出し部分は客観的情報のみで主観が無く、私怨でノエイン個人(機械だけど)に対して敵対するのではなく、単に自分たちが生き残るための障害だからブッ壊すだけ、という意志が見えます。
曲調全体も荘厳で神秘的ですが、戦闘曲らしい激しさはほぼ皆無ですし。
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一方でノエインさんご本人はレーベンとエノアにガチギレのマジギレしてましたけどね!
機械らしく与えられた役割を全うしようとしているけど、内心は迸る情動を隠しきれない感情で動いているノエイン。
生物らしくただ愛する者たちと生きたい、という生存欲求に突き動かされて感情を排して障害物排除するエノア一家。
このストーリー後半まで来て「果たしてどちらの方が人間らしいのか?」という皮肉が楽曲とキャラクターの内面を掘り下げたら見えるあたり、中々良い感じです。
CRYMACHINAって「殺生」がテーマなだけあって「別に主人公たちは正義でもなんでもない」「なんなら敵の方が正しいまである」「それでも殺し合わなければ生きていけない業」がストーリー根幹なので、ノエインさんと敵対するタイミングや彼女のキャラクター性は見事です。
【FightFirstDeusExMachina_Dearest();】
エノアさん心底激怒案件その三。
以前別記事でも触れたのですが、この曲はOP曲「NotToNotice();」のアレンジです。
ミコトVS第一神機レーベンが始まった瞬間に「NotToNotice();」そのまんまのイントロが入るのは非常に盛り上がる演出ですね。
またこれまた別記事で触れたことですが「NotToNotice=知らんぷりする」がこの曲では「大切な家族と愛するエデンを守るために、あえて彼女たちへの愛情を『知らんぷり』するレーベン」と対象が入れ替わっているのがものすごく上手い。
「私だって同じ苦しさを抱えていたんだよレーベン。あなたがいたから苦しさに向き合えた。だから貴女の苦しさを私に一緒に背負わせてよ」
というエノアの意志が行間から伝わってきます。本当に上手い。
※※※
ところでそれはそれとして歌い出しからLoadEnemyinfomationするまでの歌詞がね。エノアさんちょっとね。重い。
最初こそ第一神機としての情報を謡うけど、だんだん「speciel」の意味合いが私的になり、終いには「my dearest」とか言い出す。ちょっと待てエノアさん。
レーベン側の「責任を取る」は「命を賭けてもみんなを守る」
だったのに対しエノア側の「責任を取る」は
「地獄の戦いに往くつもりなら私たちも一緒だよ」なので……。
サビのテンプレート部分も「一緒にいてくれないと心中するよ?」と言っているも同然。アミより危険だよこの娘(実際にラストバトル後本当にそれに近い行動を取っている)。
なおそんなエノアの危険なエゴを焚き付けたのが当のアミとミコトなのですが。二人とも責任取って地獄へ同行する気満々なのですが。本当に恐ろしいなエノア一家。
こんなヤバい連中敵に回したイブがつくづく哀れになります。
それでもLoadEnemyinfomationとテンプレを崩さないのでなおさらぷんすかしていますよこの神機……。
【FightLordOfEden();】
エノアさん心底激怒最終案件。
エノアのテーマ曲「MakeFlowerCrown();」とタイトル曲「Blue Fairy」がミックスアレンジされたラストバトル曲です。
「MakeFlowerCrown();」が家族と自分の居場所を大切に愛おしく想うエノアの心情を詠った曲だとすれば「Blue Fairy」は人間から与えられた役目を担う本来の第八神機エノアの……姿も心も全て壊れてしまったことに無自覚な機械としての曲だと思います。
「FightLordOfEden();」は一曲構成ですが、ゲーム中に使用される際はまず「MakeFlowerCrown();」のアレンジパートからイブ戦に入り「Blue Fairy」を挟んでラスボス第二形態「人類意思」戦のパートへと移行する構成になっています。
「私たちの居場所を守るためなら創造主にだって牙を剥く」という意志を「MakeFlowerCrown();」で表現し、「Blue Fairy」は「創造主たちに与えられた役目とは決別する」という表現と解釈しています。
※※※
イブ戦パートの歌詞については、そこまでエノアは怒ってはいないのが特徴です。
ある種敬意と同情すら取れることすら謡っています。
ただただ、互いに生き抜くために相容れないから殺し合うだけ。
相手が創造主だと認めたうえで、ロゴスやノエインと戦った時と同じような心境で殺すことを選んだだけです。
だけで済ませるには重いことをシンプルにただの生存戦争に親殺しを落とし込むあたり本当にこのゲームのシナリオ業が深いな。
……私は親に恵まれた方だとは思いますが、親を殺すくらいの覚悟をキメなければ生きられない子どもがいるのも現実なので……(実際に殺したらダメです犯罪です逃げましょう福祉で助けを受けましょう)。
なお、古今東西の信仰を見れば結構親殺しモチーフは多く、親殺しを経て現在の世界が創世されたのだとするモノが非常に多いです。
CRYMACHINAもこのように創造主を殺すことで独立する創世神話です。
そして本邦でもカグツチがイザナミを殺し、そのカグツチをイザナギが殺すのだからねもうホントね……。
※※※
かようなイブパートから一転して、対人類意思戦に移行するとエノアさんものすごく辛辣。
欲望に肥え太った醜悪な獣ども
お前たちが禁断の実を手にして滅びたのは自業自得
過去の生命に縋りつく亡霊め。亡びるべきはお前たちだ
性格変わってない?ってくらい超攻撃的です。
まぁエノアは家族には基本的に口にしないだけで、人格データ取り込むたびに涙を流しているわけですから……。
ロゴスやエクレシアの意志、この二体の神機に殺された人々、その後の地獄を味わった人々、イブを愛するリリーや徐冬の周囲にいた人々の想いetc…
これら全部を抱えて戦っているのがエノアです。自分たち機械だけでなく同族の人類の想いまで踏み躙った人類意思にプッツンするのは当然ですね。
これで「人類意思」と名乗るのだから「それなら人類は滅びろ」となりはするのですが……。
それでも、そんな創造主であったとしても、親殺しを原罪だと認めはする。
道徳性や人間倫理、他者を愛する心を失い生存欲求に従った悪魔が目の前にいて自分たちを滅ぼそうとしている創造主なわけです。
「ただ生きたくて殺すだけでは目前の悪魔と同じ存在になってしまう」からエゴは貫くけど背負うべきものは背負う。
そして一緒に罪を背負って生きていこうというのがエノア一家。
CRYSTARは「己の弱さと過ちを認めてなおエゴを貫く」という昨日を見た姿勢でラストバトルに挑むのに対し、CRYMACHINAは「これから犯す罪と過ちを認めてなおエゴを貫く」という明日を見据えてラストバトルに挑むのは対照的です。
【Alive();】
CRYSTARのED曲が「re-live」なのに対し、CRYMACHINAは「Alive();」なのも対照的です。
というか、CRYSTARとCRYMACHINAは
「エゴを貫く」
「辛い現実を前にして少女たちが涙を流す」
「それでも自分たちを踏み躙る悪意に対して咆哮を上げて反逆する」
これらは共通しているのですが、生命に対するテーマは完全に正反対だと私は受け止めています。
CRYSTARはもう失われてしまった生命を悼み、送る物語。
CRYMACHINAはこれから奪う生命の重みを知り、生きる物語。
このため「re-live」は後悔とすれ違いの末に、もう取り返しがつかないことになってしまったけれど、また会う時には愛を伝えることを決意する歌なのに対し、
「Alive();」はプログラミング言語ではないエノアが超ストレートに何度も何度も「生きる」「生きて」と連呼し、その理由は「愛しているから」と明言しちゃう大変明快な曲。
※※※
このあたり、CRYSTARが最初の作品じゃないとできない冒険だったよなと思います。あまりにもテーマが重く暗すぎて救いが無い。
でも「THEN THE BAD ENDING」は生きるうえでそれはそれで必要なんです。失ったことも、過ちも、取り返しがつかないことも認めて、それでも生きるのは本当に辛いから。
「Alive();」は苦しみにもがきながらも生きることを誓う歌ですが、その先に待つのが「THEN THE BAD ENDING」では無いとは誰も保証してくれません。
いわばCRYMACHINAという業の深い物語の、業の部分をCRYSTARが補ってくれているという形になっていると私は受け止めています。
ハッピーエンドは嬉しいけどその先がずっと幸せとは限らない。
バッドエンドは哀しくて明日も不幸かもしれないけれど、流した涙に意味を見出すことはできる。
【MakeFlowerCrown();】
エノアのテーマ曲ですが直訳すると「花冠を作りましょう」というあたり、大変気に入っています。
花冠は花を結んで(Tie flower)円環にする。そのかたちは「はなまる」。
「花冠を作りましょう」という幼児じみたタイトルに「はなまる」というやはり幼い肯定表現。
でもこれは、機械が精一杯人間らしくあろうとした結果であり、エノアの精神性が2000歳児であることの表現になっており、すごく良いです。
※※※
また「人間じゃなくて花冠を作る」こともまたエノアの職務放棄を暗喩しています。
序盤のエノアはこの姿勢のため締めの「retun”Hanamaru”」も「人類再生」という役割に則ったモノに見えて実は「私の大切な”はなまる”を取り戻す」エゴの開花だったりします。
それを壊れたというのなら壊れたと言えばいい。不恰好だとけなされても私の造った花は世界で一番のはなまる。だから愛おしく、その愛おしさに応じてくれたことがかけがえなく愛おしい。
愛はきょうき。
先述しましたが、このエノアの幼くたどたどしくそして狂った愛を歌った「MakeFlowerCrown();」がラストバトルでアレンジされて凶器となるのは大変意義が深いと思います。
【ノンボーカル曲】
今回は意識してBGMに徹して作曲されたらしいのですが、私的には削除氏のエゴをもっとゴリゴリに出しても良かったんだぜって思ってます。
探索パート短めで終わるステージが多いから全部聞くのはそれこそサントラとか音楽鑑賞が初めてってケースになりそうですがそれの何が悪い(ゲームBGMとして良くないのはわかっています)。
【Idea】
エデン神髄ネットでの探索時曲です。
こういった静かなイントロから徐々にスピード感や音数が増してゆく曲調はCRYシリーズらしいなと感じるところ。
「Distant days」とか「Recallworld」とかの系譜。
タイトル名がイデアというあたり、エデン神髄ネットでのボスが第一神機だという暗喩ですね。
レーベンが自分を見つめ直す前兆です。でも実際に全部思い出した途端に、愛する家族への想いに対して知らんぷりしちゃったのも含めてIdea。
【Head】
枢機教団の司祭枢機以上との戦いで使われる戦闘曲です。
世界観をぶっ壊す和風曲。
枢機教団の司教と司祭たちは全て電脳化された旧世界の本物の生きたネコの成れ果てなので、その異質さを表現するために和風曲にされたと思われます。
本作のノンボーカル戦闘曲は、ストーリーに深く関わってこない亜人型ケルビムたちとの戦闘曲ばかりのためか、これまた何かこうエゴが物足りないと思っていたのですが、「Head」は間違いなくエゴが詰まっています。
【initiation】
最後のステージ「非ネットワーク領域」の探索曲です。
最初のステージ「星界ネットワーク」の探索曲「Staright」を抑えて静かにした感じの曲調なのですが、最後のステージ探索曲なのです。
そもそも曲名が「initiation=開始」なのに最後のステージ曲なのです。
私、こういう演出好き!
「最後の戦いに行くけど、エデンは終わらない。終わらせない。旧人類を殺して、ここから始める」という意志が詰まってます。
ラストステージである「星廟」がその名の通り、ピラミッド型なうえにたくさんの棺が安置されているあたり正に「墓」なわけで「旧人類はもう終わっているんだよ」という暗喩ですね。
この曲を聴きながらラストステージの知恵の樹に向かう絵面は、禁断の実を得て失楽園することでこそ「initiation=開始」なのだと。
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