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MONOCHROMEのオサレ的解釈
BLEACH千年血戦篇相剋譚が最終回を迎えて、スペシャルEDMVも公開されたので今更ながら歌詞とBLEACH本編との関連性を見ていきたいと思います。
【公式MV】
こちらは歌詞が載っています。このMVはこれはこれで一つのストーリーとなりつつ、BLEACHともちゃんと合わせています。
コメント欄にも書かれていますが
15秒の時限爆弾=一護の暗喩
7月14日のループを経て7月15日へと進む=7月15日は黒崎一護の誕生日
また、MVの映像とBLEACH本編の展開を考慮すると、眼鏡刑事は犯罪者の間に潜り込んだけれど正体がバレたので、見せしめと罠のために時限爆弾で処されるというストーリー背景があるのかもしれませんね。
こちらは最終回を迎えたスペシャルMVになっています。後半から描き下ろし満載で京楽と浮竹、一護と雨竜などの友情が泣かせる演出になっています。
アニメとしては「オレンジの結晶」が一護のオレンジ頭に重ね合わせて、今の世界を守る(主に)死神たち陣営を表現しており、
一方で「青い結晶」は滅却師の主武装である霊子の矢から滅却師側の象徴として扱われていますね。
【歌詞内容考察】
これはMONOCHROMEのコメント欄で指摘されているように、滅却師の親衛隊キャラクターを表す歌詞が散りばめられています。
命拾いするたび致命的に鮮明=アスキン・ナックルヴァール
引き絞る射程距離は無謀か=リジェ・バロ(おそらく雨竜も入る)
到底敵わない巨大な敵=ジェラルド・ヴァルキリー
誰にも秤れない壊れてく一瞬で=ユーグラム・ハッシュヴァルト
唯一親衛隊の中で歌詞の中に入っていないベルニダですが、ヤツはそもそも「前進」が能力というか象徴なので、「気持ちは常に後ろ向きだけどそれでも前に進む」という水槽さんの楽曲に多いテーマと合致し、MONOCHROMEもそうなのでわざわざ言及する必要がないというか……。
またMVの方で眼鏡刑事が拘束を切られた左腕で相棒の刑事を押すことでループから解放させて前進させることで表現されています。
他にも
振り返る昔日 恨んでも懐かしい 生き急ぐ眼差しに肥大する型落ちの劣等=バズビー
二度と相容れぬ色を選んだ=バズとユーゴ/一護と雨竜
それでも見渡す限り未完成の未来=ユーハバッハとの対決
黒く刻む幻=一護と藍染
仇なす白夜の先=夜→矢で雨竜の謀反
などなど。
また
悔しい、悲しいの度に満ちる月
は月というワードから斬月を思い起こさせますが、たぶんこれただ斬月だけじゃないかと。
最終決戦で破壊された天鎖斬月の修復は「月島」と織姫によって行われ、藍染の「鏡花水月」のサポートで形勢逆転が行われたこと、そもそも斬月は形状から三日月をおそらくモチーフにしていることから「斬れる月」なので満ちるはずがない。
そのうえで「悔しい、悲しいの度に満ちる月」とは今まで一護が出会ってきた敵と味方との邂逅の道のりであり、満ちるはずがない斬月が満ちたことを表現している、と思われます。
斬月のおっさん(斬月ではない)は「私は雨が嫌いだ。一護の心が憂うと雨が降るから(要約)」と言っており、斬月のおっさん(斬月ではない)の正体とルーツを考えると「悔しい、悲しいの度に満ちる月」でラストバトルを表現しているのは「その負の感情も道程も全てユーハバッハとの決戦のために必要だった」とも考えられます。
また最初からして
刃毀れ欺いた メンテナンス時間外 わかっていたのに
とは斬月が何度破壊されても戦い続けたこの千年血戦編全体を表現しているのかと(それにしても歌詞センスが本当にいつもの水槽節でBLEACHとよく合ってる)。
せいぜい祈るのも良い どうせ戻れない
というのは事実であり(もう斬月のおっさんとも白一護とも別れて自立しなきゃいけない)、天鎖斬月が破壊されても「戻れないとは言ったが戻せないとは言っていない」や一度袂を分かった雨竜との関係にも繋がりますね。
そして
僕らがどこから来たのか思い出す混ざることのない生命を
はストレートに一護の出生を表現しており、BLEACHの世界の創生譚でもある霊王を表現してもいますね。
...…まぁ霊王は原作だと「バトル漫画としてのストーリー本編にはあんまり関与しないから」という理由と紙幅であんまり語られなかったんですが、アニメ版ではかなりそのあたり補完しているので……。
【逆再生】
で、アニメでは一護VS雨竜の対決後からED映像だけ逆再生されて、それが最終回直前まで続くんですよね。最終回になってもう一度元に戻る。
この逆再生で歌詞と映像のキャラクターが見事に調和し始める。
浦原・夜一・日番谷・チャド
オレンジの結晶=今の世界を守ろうとしている者たち。
日番谷がいったんゾンビ化→メンテナンス時間外とかマユリちゃんには関係ねえ!からこそ浦原さんがいる。
バンビーズ
青い結晶=滅却師側...だけど、相剋譚での彼女たち(約一名除く)は最早謀反を起こしているので、ここでの歌詞がぴったりハマります。
またジジのゾンビ化能力は不可逆の理への反逆そのもの。皮肉な言い回しが実にバンビーズらしい(そしていつもの水槽さんの歌詞センス)。
藍染
こんなヤツ解き放つのに覚悟と不安が付きまとうのは当然のことだろ。
浮竹
文字通り身体から張り裂けた想いの束。その右腕は何一つ掴まなかったのか?否!
メインキャラクターたち
浮竹の「生きるより大切なこと」を背負って分かつ二色。
親衛隊
ユーゴとバズの確執から、霊王に関係するキャラクターで世界のルーツを辿っていく。
恋次
蛇尾丸の能力は正に「誰にも測れない(あえて違う字をあてます)」
ルキア
非常に危うい一瞬で自壊しかねない斬魄刀能力
更木剣八
この化け物は尺度とかそういうもんじゃない。
白哉兄様
すまぬ。
いや白哉兄様ってさぁ、重要なことにちゃんと正面から向き合わない(見据えたらいい?)悪癖あるからさぁ……。
涅父娘
この二人で「心に意味を与えて」って卑怯だろ……。
京楽&七緒ちゃん
ある意味呪いともなった言葉と約束をずっと守り続けている京楽さんよ……。
一護と雨竜
この二人は順再生の時点でこの絵面になるよう計算されて配置されているのであまり変わりがないようになっていますね。
砕け散る青い結晶
これは逆再生だと青い結晶が収束していき、ユーハバッハに繋がるので逆再生だと聖別の象徴になっていますね。
順再生だとユーハバッハの能力である「魂を分け与える力」になっているので、アニメスタッフが大変よくBLEACHという作品を理解してリスペクトしている演出だと思います。
ユーハバッハ
仇なす白矢の先。
【オサレっていいよね】
中二病を発症し、それを恥ずかしげもなく「コレカッコいいだろ?」とやっちゃうのがBLEACHの作風であり、それをきちんとアニメはリスペクトしています。
そこに中二病を発症しているけれど自嘲と皮肉、泥臭く這いずって前進しようとする水槽さんの作風が実に良い悪魔合体を起こしたのがMONOCHROMEだったと思います。