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クライマキナ/CRYMACHINA キャラ感想(その他編)

その他でひっくるめるのもひでー話ですが、全部一記事にするとすげー長くなるので……。

あと今回はアートブックに付いていた誕生花と花言葉を添えておきます。
……こんくらいでデジタルアートブックの売り上げの弊害にはならないよね?
初期設定画や枢機卿団のデザイン画なんかもあって見応えがありますよ!(販促)


【エクレシア】

製造日:8月12日
誕生花:タンジー

花言葉は「あなたとの戦いを宣言する」「抵抗」「平和」。
エデンの絶対正義にして秩序をもたらす盾と剣にふさわしいイメージそのまんまですね。
武力が無ければ平和はもたらされないってーのはもうこのゲームじゃなくて花言葉の時点で皮肉で一端の真実なので……。

※※※

エクレシアは発売前に「忠犬」と開発スタッフが漏らしちゃっていたので、このおっかない外観の割に、「最強の敵として立ち塞がることはない」のがわかっていたのが安心とするべきかネタバレされたと思うべきか。
まぁプロローグで明らかにエノア一家に接触を図るも、守ることを優先した挙動をしているので言われなくてもわかる感は強いのですが。

……ところどころ苦戦している時、手伝いに来てくれても良かったのよ?
ほら、ノエインのエノア自壊命令の時とか……。

まぁ言葉を使ったコミュニケーション能力を得たのは、喋った時の本当の直前くらいのタイミングらしいので下手に介入すると余計に事態をややこしくしちゃうというジレンマがあったのでしょうね。

初対面無言でこのキラーマシンみたいな目で見つめてくるんだもの
そりゃ誤解もされると理解できたあたりエクレシアはえらい。はなまる

「最強」なので武力を振るう時は慎重でならなくてはならない、というのは旧人類を実質滅ぼした時の反省をそれこそコードそのものにしっかり書かれていそう。

そうして芽生えた自我で一人称が「ボク」って可愛いすぎる。住谷氏の演技も機械らしいたどたどしさと純朴な少年らしさが混じっていて良い。
また、そうして喋る内容が「主のもっとも望むことを実現するためには、主の表向きの命令を放棄する」というのもエクレシアの人格が大変よくできた子に成長していることを示唆しているのが良いですね。

イブの祈りが2000年かけて遂に成就した素晴らしいシーンなんですが、当のイブに対して反逆の剣を掲げたのだから皮肉な話です……。

※※※

ちなみにエクレシアの「顔」案は揉めたようですが、その甲斐あって劇中で使われた大きなモノアイ案が一番良かったように思います。
ムービーシーンでモノアイがギョロギョロ機械と生物の中間感覚で動くのが実に不気味で、敵か味方かわからない感が上手く機能していましたので。

【ゾーエー】

お姉ちゃん

製造日:7月16日
誕生花:アマリリス

花言葉は「おしゃべり」「輝くほどの美しさ」「内気」「誇り」「虚栄心」。

ゾーエーは仕事が「オリジナル人類のスペックを越えつつも、美しい身体を造り上げる」解答の出ない職務であるため、神機の中でもプロパトールに次いで自我に目覚め、エゴも強く見た目も精神も非常に人間らしい、ある意味もっとも特殊・特別specialな神機かもしれません。
花言葉もそれにふさわしく、登場するたび妹愛と自作のE.V.E、己自身の美しさも尊大な言葉で自慢しています。

ですが実態としては八年間、溺愛する妹のエノアを守るためにエノアと敵対する道を選び、LILY計画反対派でもあり中々内心は複雑で苦労の多い立ち回りをする立場でありました。
ずっと正気を保っていたゾーエーからすればエノアはメンタル薄弱、コミュ瘴、機械としては狂っているくせに反抗心は人一倍と手のかかる妹でしょうが、手のかかる子ほど可愛いんでしょうな……。

でもまぁこの笑顔で頼りにされたら仕方ねぇよな!!

※※※

ただ、ロゴスを隷属させた手段の悪辣さを考慮すると、やっぱりどうしてもただの「優しいお姉ちゃん」で済まらせられないところがあります。

後から調べたところ拘束したゾーエー自身が解除しなければ
拘束を解く=破壊は免れなかった模様

良く言えば「自分の守れる者だけは何をしてでも守る」神機であり、悪く言えば「身内贔屓でその他の者を傷つけることは全く厭わない」非常に危険な性格です。
……こういう性格で見た目からして悪の女幹部みたいな人、普通悪役じゃない?

でもまぁ
妹に激甘な態度エゴは一貫しているのでヨシ!!

【ハヤト】

誕生日:7月8日
誕生花:ホオズキ

花言葉は「自然美」「心の平安」「偽り」「ごまかし」。
自然美と偽りやごまかしが同居しているのが、花言葉を創作に持ち出す時には面白くも贈呈する時なんかに面倒なアレですな(ホオズキを花束にすることなんてないと思うけど)。

トリニティ一番のカッコつけで、ミコトと違ってカッコがつかないドジっ娘です。
チーム名を考える時に自分の存在を頭数から忘れ去るという本当に残念な娘。

同時にCRYSTARの恵羽千と同じ声で同じ台詞を戦闘中に言うもんだから「千ちゃんも大概カッコつけだったよな……」と再認識することに。
なお彼女の生前はその当の千のifとも言えるような悲惨な人生でした。
この頭残念っぷりも、人格データのサルベージ時に破損があったのを「傷や欠損もまた美しい」とかなんとかよくわからんゾーエー理論であえてこのままにしたのかもとか考えています。というか生前の記憶をハッキリ思い出すとハヤトは壊れそう。
頭残念なだけで、トリニティメンバーとしてはこれでも常識人寄りなので……。

また、ハヤトに限らずトリニティメンバーがジャン以外、人間としては問題児ばかりなのはゾーエーが意図的に選択した結果だと思われます。
E.V.E規格に則った手駒で、でもE.V.E適正があえて低い、されども扱いやすい人格を揃えたのかと。
アホの娘ハヤトがリーダーをして、ジャンが実質リーダーだけどリーダーという責務は負わせないというゾーエーの配慮があったとか。

【ジャン】

誕生日:2月14日
誕生花:ミモザ

花言葉は「秘密の恋」「友情」「感受性」「思いやり」。
バレンタインデーが誕生日ですが、「ミモザの日(国際女性デー)」は3月8日とCRYSTARの零ちゃんの誕生日なので、ちょっとしたお遊びが入っている気がします(ジャンと零ちゃんはCVが同じ近藤玲奈さん)。

まぁ問題児だらけのトリニティメンバーをまとめつつ、生前も笑顔で孤児院の子供たちと家族同然に暮らしていた優しく気苦労の多い性格だったようなので、花言葉はさもありなんといったところ。
……でも「秘密の恋」って意味ありげですね。劇中では本作屈指の真面目人間すぎて恋愛のrの字も見当たらない言動と行動ですが。
一度アミと全く噛み合わない恋花女子トークをやってもらいたいです。

ジャンが凄まじく常識人なのは、上述した通りトリニティの実質まとめ役が欲しくてゾーエーが厳選した人格データだったのではと考えています。
妹想い、家族想いだとそれだけでE.V.E適正が高くなるので孤児院出身で面倒見の良い娘というのは、絶妙にE.V.E適正から逃れつつ現場監督させられる性格なので。

【ヴィダ】

誕生日:5月14日
誕生花:オダマキ

花言葉は色によって違いますが、全般的には「愚か」。
良い意味ではないですが、劇中での喋り方や性格からして「のんびり屋」「面倒臭がり」「マイペース」などの意味合いかと思われます。

イヌミミですが性格が猫っぽいヤツというイメージ。あのギニュー特戦隊っぽいポーズを練習させて付き合わせるのは苦労しただろうな……。
ヴィダが「タイマンこそ正義」と言い出したせいでトリニティとの戦いは例外を除いて一対一という形になったり(後でゾーエーも同意して許諾している)、仮想世界での体感時間引き延ばし睡眠は本当の睡眠ではないと謎の持論を持ち出すなど、のんびりした見た目に反して恐らく自我エゴはトリニティ一番に強いと思われます。

本編はエノア視点なのでトリニティの日常は見られないのですが、安眠しているのを妨害すると寝ぼけたまま斧でぶん殴られそう(そして起床時間の方がはるかに短そう)。

【ハイム】

誕生日:3月29日
誕生花:ゴボウ

ゴボウは野菜のイメージが強いですが、花言葉は「私に触らないで」「用心」「いじめないで」。
……素直にキャラクターそのまんまです。というか劇中で同じ台詞を言っている。
武器も生前の記憶や、この性格を象徴しているのか距離を取って攻撃できるトリニティ唯一のアウトレンジ担当である銃。
話ズレますがプレイアブルキャラには射撃特化型のキャラがいないので射撃攻撃特化にできる装備も欲しかったですね。

本人申告の生前記憶が悲惨で、でも本人申告の方が真偽が怪しいと思っていたら人格データで見れる生前人生はもっと過酷だったという。
放っておいたら無害だけど働かないヴィダ、典型的な働き者のアホの子ハヤト、そして歩く地雷原の面倒臭い女子ハイム。……日常でのジャンの気苦労が伺い知れます。

そもそも生前時点で銃を握らされていたハイムが、来世のエデンでもやっぱり戦わさせられるとなると、あの狂いっぷりと話の通じなさも仕方ないというか……。
ゾーエーさん、なんでこの娘をE.V.Eに……?

【レティア】

製造日:1月22日
誕生花:アネモネ

アネモネはバラと同じように、色で花言葉が変わる面倒くさい例です。
概ねとしては「儚い恋」ですが、レティアの場合は白のアネモネの花言葉「期待」「真実」「希望」と見て良いでしょう。
「貴方を信じて待つ」ってのもあります。劇中でのぶっ壊れた後の言動を見るとロマンチックな意味じゃなくて破滅的な賭けの意味になるというのが……。

※※※

ところでレティアはノエインと同じ徐冬という旧人類の女性が製造者であるためか、二機は時空間操作に関しての研究をやり取りしていたと思しきデータの片鱗をエノアが拾っています。

空間と時間の理論が中心なのでようするに過去への時間跳躍が目的

ノエインは時空間操作をせずとも次善の策を機密事項として知っていたはずですが、そもそも旧人類のデータそのものが宇宙人によって破損されていますからね……。
機密事項だから詳細は言えないノエインがレティアの暴走を止めきれなかったのは仕方ないことかもしれませんし、ノエインもさすがに電波攻撃で旧人類のデータが破損していたことは知らなかった様子なので、このやりとりだけでノエインがそこまでレティアに配慮したことを言えたかどうかは色んな意味で怪しい所です。

それにしてもMonarkでは「どうせこの世は元から狂っているし虚ろだから好きなように生きろ」と言った同じ声で、世界が狂っていることを観測して狂っちゃったレティアを見るのはなんとも複雑です……。

【ロゴス】

製造日:11月18日
誕生花:ヒメジョオン

花言葉は「素朴で清楚」「いつも一緒」。
また、ヒメジョオンは貧乏草とかいう失礼極まりない呼び名をされる雑草花でもあります。小型でそっくりの眷属を無数に造っているのでそこらへんの生態……いや機能?もあるかも。

なお、クジラにそっくりで可愛いとレーベンが大はしゃぎしていますが、ミコトとアミは「感性がわからない」「ちょっと変」となっているのも、実は伏線かもしれません。

レーベンは旧世界の「本当のクジラ」の記憶がうっすら残っており、ロゴスはそっちにそっくりなのかもしれません。肌の質感は旧人類とそっくりですしね。

【アントロポス】

製造日:8月31日
誕生花:リンドウ

花言葉は「あなたの悲しみに寄り添う」「寂しい愛情」「悲しんでいるあなたを愛する」などが当てはまると思います(例によって色などで花言葉が多いパターン)。
製造者のアダムの嘆きや願いに良く言えば寄り添い、悪く言えば縋っているのがアントロポスというのが私的評価。なので「愛こそ人間的」と言いつつ愛情というものがわかっていないのでリリーに対しては寄り添っていなかったと解釈しています。

アントロポス自身のエゴは無いと宣言しているも同然
逆説的に機械的に人の狂気エゴを肯定することこそ自我エゴとしているのがアントロポスという神機

でなければ「本物のリリー」の精度を上げるために、リリーにストレスをかける蟲毒形式の選別方法なんて取りませんよ……。

※※※

作中でも述べられているように
色んな意味で本作の事件の諸悪の根源と言うべき神機ですが

旧人類のエゴや負の遺産を忠実に機械らしく実行しただけなので、アントロポスより製造者のアダムの方が問題人物ですね。
いわゆる「CPUもプログラムも決して間違わない。間違っているとしたら、それを組んだり運用した人間が間違っている」という理論。

エデン計画は急ピッチ且つ他勢力の妨害も受けながら進められた計画なので「アントロポスはある意味プロパトール以上の権限を持ち、計画失敗の契機になり得る」のにアントロポス以外の監査役の神機を用意していなかったのではなく、できなかったと考えるべきでしょう。
そのかわり最終手段としてノエインを用意しておいた、と。
ここらへん、イブ&徐冬という八機の神機の内、半分も製造しエデン計画責任者だった主派閥と、当のイブの父でありデザイナーベイビーを認めたくなかった他派閥のいざこざが見え隠れします。
ある意味アントロポスはこれら旧人類の被害者とも言えるかもしれません。

これらを考えると、アントロポスのデザインの象徴である複数の棺は「本来蘇らせるべき人間を棺桶の中に眠らせたままでも、他の人間を蘇らせる」象徴かもしれません。

※※※

ちなみにアントロポスは彼自身が愛というものを理解していない様子であることを除けば、主人公たちエノア一家と大して変わらない思想と暴走をしていると思います。

この答えや行動原理だけはMonarkの真生徒会メンバーやエノア一家とほぼ同じです
自分自身の意志エゴで発言していないのが大問題

愛情とエゴ、情念や感情論で合理性や本来の役目を無視して、世界に対して牙を剥き抗う。

感情論の結末と
絡繰り仕掛けの愛を頂戴な

愛厭奇縁より

Monarkの遠野姉妹のテーマ曲ですが、リリーとアントロポスの関係にも中々合う歌詞をしている気もします。

【ノエイン】

額の三つ目は機密事項
ミコトと逆に右目だけ少し見える立ち絵をしています

製造日:6月20日
誕生花:サンスベリア

花言葉は「永久」「不滅」。「機密事項」の役割を考えると、どんなに時間がかかり、どんな犠牲を支払おうとエデン計画を完遂させて「本当の人間」を永久不滅とする任を負っているので、ぴったりですね。
またサンスベリアは花言葉はあるものの、まず観葉植物であり花が咲くのが珍しいので、開花は不吉とも言われています。パンドラの箱は閉じたままに越したことはない、という意味も含まれているのでしょう。

※※※

なお彼女は敵対しますが、最後まで一貫して与えられた命令を忠実にこなし続けてきた、本作で一番真面目に仕事していた神機です。一人称が「当機」というあたりも、見た目がとても人間らしい割に「己が機械」という自戒があったように見受けられます。

ただ自戒していただけで、情緒溢れる性格と感情で暴走しまくっているエノアには嫉妬だか怒りだかの感情を向けており、見た目通りの人間らしい感情に溢れた神機だと言えます。

共同戦線時期でもこのようにあからさまな皮肉をぶつけてくる

正直なところ、ノエイン視点で本作の事件を見れば

  • 人類再生の管理者であるアントロポスが不正する

  • そうして再生されたリリーこと「アダムの子=人間もどき」がさらなる「人間もどき」を作り始めるよう命令する

  • そうこうしている間に製造担当の第八神機エノアが鬱で壊れる

ある意味アントロポス以上にエノアに対してはキレてます
  • 遂には信頼していたプロパトールがリリーを「人間もどき」だと認めるかわりにリリーに壊され、統括代理をせざるを得なくなる

  • だが秩序のための絶対武力たるエクレシアが自分の命令に応じない

ノエインさんに次々降りかかる頭痛案件
  • 仕方ないので戦力をかき集めて「人間もどき」製造担当で壊れたエノアを攻撃するが、戦力不足でトドメを刺せない

  • 遂にエノア一派が本格的な反抗を始め、エデンがどんどん崩壊していき、終いにはゾーエーまで裏切ってエノア派につく

エノア一家には頼もしい姿勢ですが
ノエイン視点で見れば「やはり芸術家気どりの壊れた機械ですか。嘆かわしい」
といったところでしょうな……

ガチギレしていいと思います。

旧人類の負債、リリーやプロパトールとエノアの我儘に振り回され続けてきたノエインは本作屈指の不憫神機かと……。
壊されてからもなおイブに実験体として利用されるし、散々です。身を粉にし、私心を殺して尽くしてきた扱いがこれなのか……。

発売前に言っていた「ノエインはコールドスリープした旧人類なのでは?」は、彼女自身のキャラクターを考えれば大外れでしたね。掠ってはいたんですけど、ノエインは真面目に仕事していただけなのに本当に不憫です。

※※※

そんな不憫なノエインですが、プロパトールへの忠誠心は本物だった模様。

製造者の愛する製造者イブの子たるプロパトールが人間至上主義だったから、ノエインも人間至上主義を信奉したという複雑な順番なので、劇中での結果に至ったようですが。

ノエイン戦前のやりとりダイジェストですが、これらはわかったあとに見ればプロパトール=レーベンだということに彼女が気付いていたことがわかります。

愛した自分の姉妹機を自分でぶっコロしておいて何を言う
というのがノエインさん視点ですね……
ここで暗にしかしハッキリとレーベン=神機と言っています
E.V.Eは厳密には人間じゃないから一週目だとミスリードさせる台詞回しですね

……完全にプロパトールに対してガチギレしていますね。
それだけの権利がノエインにはあるくらい、プロパトールはレーベンが自認するくらいにやらかしていますからな……。

プロパトールを父、エクレシアが忠犬だとすれば、神機一家長女はノエインなので長子はやっぱり苦労するんだなって……(自我の覚醒順で言えば長女は実はゾーエーだけど)。

ちなみにノエインは例によって私のヴィラン好き創作意欲が沸いたので、渋にSS上げています。
興味ある方はどうぞ。

【ユリ=■■■】

この公式アイコンの画像名でただ一人
繝ェ繝ェ繝シ
と文字化けさせているのが凝っているところ

誕生花は以前の記事で書いた通り「クロユリ」。

ピアスもクロユリの形していますし、あからさまに不穏さを隠す気ない娘です。
ちなみに項目名で本名のリリーを■■■で伏せているのは、目次ネタバレ防ぐためです。

花言葉の「呪い」は彼女自身が蟲毒形式で生き残り「此処は楽園エデンじゃなくて地獄」と嘆き、500年も人間たった一人で生きてきたってのも大概呪いだと思います。こんな環境で正気を保てるわけないじゃろ……。

そんなリリーの振る舞いが「人間は自分たち機械を生み出してくれた尊く慈愛に満ちた存在」と信じていた統括神機プロパトールに失望を抱かせ、遂には憎悪にまで発展させたあたりも正に「呪い」。
最近の作品だと呪術廻戦がそのあたり語っていますが「呪い」は斯様にして巡り回って断ち切れず、遂には穴二つで自らを滅ぼす恐ろしい代物で感情で儀式です。
本作でもリリーの「呪い」の根源はイブを疎んだアダムの不正=「呪い」が原因。ただ、私がたびたび口にする京極夏彦からの受け売りですが「呪いと祝いはベクトルが違うだけで同じもの」でもあるので、アダムの不正は同時に愛娘へと向けた祝福でもあったと言えます。
それが巡り巡って呪いへと変化し、旧人類を滅ぼしたのだから人の業はどこまでも深く穴二つを穿つ。

※※※

というわけで、リリーへの憎悪は帳消しにして本編後に彼女はゾーエーによって蘇生され人間性を取り戻さんとする後日譚がスタッフロールで描かれてますね(さすがにネタバレが過ぎるので画像は貼りません)。
……というかウエダ先生やけにリリーの絵だけ多くないッスか?

※※※

あとこの背骨と骨盤剥き出し、異様に長い両腕の姿で「本物の人間」を自称するのは中々に滑稽ですが、リリーのこの身体はゾーエーが嫌がらせで作った義体だと私的解釈しています。

だって本人目の前にしてこの嫌味だし……

【ノア】

誕生日:2月12日
誕生花:ネコヤナギ

花言葉は「自由」「気まま」「開放的」「努力が報われる」。
シャレみたいな誕生花ですが、花言葉もシャレっ気で決めただろ的なところがあり、ドンピシャですね。

※※※

ノアは正体不明の行商人さんという、CRYシリーズにおける恒例キャラなんですが、CRYSTARの行商人さんと違って、作中でほぼ正体が詰められる所まで設定がわかるようになっています。

ただ解釈が分かれそうなところなので、私的解釈をば。

  • 枢機教団リーダー「司教枢機ノア」は旧人類のイブがエデンに乗せた本物のノアの成れの果て

  • 「行商人ノア」はエノアが作った仮想世界のノアの人格データがベース

  • 枢機教団が「仮想世界のノア」の人格データをサルベージし、義体にインストール(この義体がE.V.E規格なのか独自のものなのか不明なため、ノアは人ともケルビムとも言えない変な姿になった)

  • 「司教枢機ノア」と「仮想世界ノア」の間で「旧人類からの解放」という目的だけは一致

  • 「旧人類からの解放」を達成する刺客としてエノアとE.V.Eを利用しようと「司教枢機ノア」が目論見、箱庭などのオーバーテクノロジーを枢機教団側から提供

  • 枢機教団の目論見通り「旧人類の絶滅」は達成するが、「仮想世界で生まれたノア」はエノア寄りの考えで、神機全ての破壊まではやりたくない(そもそもエクレシアが本気を出せば枢機教団の全滅は容易……余波によってエデンの崩壊が加速するが)

  • なので本編通り「行商人ノア」として枢機教団の情報をリークし、討伐後は感謝の意を述べる

※※※

「劇中で登場する二人のノアは別人」でないと司教枢機ノアを倒した後も行商人ノアが登場して御礼まで言うのはおかしいですし、なぜノアがオーバーテクノロジーの産物を持っていたかについての謎なども、旧人類の系譜である司教枢機ノアを介せば筋が通るな、という解釈ですね。

コレが無ければエノア一家はいつまでたっても反逆の狼煙を上げられませんでした

また、造換搬送機もノアが仕入れてきた代物なので、(教団関係やごく一部の超危険領域以外は)なぜかいつもノアが先回りしているというのも、そもそもノアは未だに造換搬送機の起動とアクセス先を把握する手段を持っていると考えるのが自然です。

他にも「司教枢機ノア」をはじめとした枢機卿団の幹部たちがなぜ2000年もの間エデンで存在できたかという点についても、そもそもイブのペットである実験動物のネコたちは電脳化実験のためにエデンに乗せられた生物なので、魂=イデアコードを保持したまま電脳化する技術を確立できた結果だという示唆が、各種資料を読み解くと見えてきます。

そんな枢機教団の苦しみも理解していたのか、一連のイベントを終えたノアの発言は、ある意味で本作を象徴する一言とも言えるので、そのスクショを以て本記事の締めとさせていただきます。

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