【ヰ世界情緒】 ラピスのお人形
今年はMonarkのせいで神椿スタジオに沼ってしまった年でございました。
当のMonarkも続編?の予感があるので、実現されたならば相変わらずボス戦は神椿スタジオによるボーカル曲は続投してもらいたいですね。
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中でも最近よく聴いているのがお情ちゃんことヰ世界情緒の歌です。
Monarkで知った時はヰ世界情緒ソロの【何億光年の孤独】と【この夢に弔いを】は「歌は好きだけどなんか燃えない」という感想だったのですが……。
演出やバックボーン無しで曲単独に向き合って聴くと色々印象変わりますからね。
ちなみに春猿火とのデュエット曲である【愛厭奇縁】はめっちゃ好きです。というか愛厭奇縁はどうもMonarkの中でもかなり人気の高いボーカル曲っぽい。
【ラピスのお人形】
アニメMVを全面的に推していますが、歌詞を見ると印象がこれまた変わる一曲です。神椿スタジオの曲は言葉遊びとルビ芸だらけなので……。
当然歌詞の全文引用はアウトなのでピアプロのリンク先張っておきます。
【個人的初印象】
シャドーハウスっぽい。
シャドーハウスのネタバレになるので詳しくは書けませんが、「大人」になるまでのお人形遊びというテーマがあまりにも親和性が高い。
シャドーハウスはジャンル不定形ですが、割とこういうお耽美な世界観がよく合うキャラクターと設定もあります。
そのうえでジョンパンチとか首スパーとかオリバー○号機とかエドワードの顔芸とかベル欠けとかソウルメイトとかラム本当に可愛いとか全部盛りなので忙しない漫画だ。
【MVとしての感想】
豪華なフルアニメでコメントでも「みんなのうたっぽい」と言われている通りの雰囲気で統一されており、ラピスのお人形はお情ちゃん控えめなMVです。
人形の持ち主である地味な黒髪のおさげな女の子と、華やかなブロンドに碧い瞳を持つお人形との対比が良いアニメですよね。
でも同時にいつかこの華やかなお人形が忘れられ捨てられるようなカットが頻繁に入り、ヘッドが罅割れ何も無い真っ黒のアイホールを見せる場面は、生き生きと動くお人形がやっぱりただのお人形に過ぎない大きなインパクトを与えています。
というかこのお人形ビスクドールなのか。
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それでも持ち主の少女が、少女でいるまでの間はお人形を深く愛でて心の拠り所にしていることを読み取れる絵面をメインとして描かれているのが、かえって切ないですね。
いつか終わる時間だけれど、その時間はとても美しくて大切な思い出となる様を表現した、とてもよくできたアニメだと思います。
【楽曲単体として】
ラピスラズリの石言葉は「成功の保証」「真実」「健康」「幸運」です。
ちょうど12月の今現在の誕生石でもございます。私的な話になりますが、アメリカンカールとアビシニアンのハーフの双子猫が12月生まれだったので姉に「らぴす」弟に「らずり」と名前をつけて五年ほど前まで可愛がっていました。
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ラピスのお人形は、ラピスラズリという石の青い色を、未成熟を意味する青と結び付けており、歌詞内容の視点がお人形と戯れる側と、お人形そのものとが混在してどちらとも取れる内容になっています。
アニメMVでは可憐なビスクドールが登場するのでイメージが引っ張られがちですが、楽曲単体として聞くと「お人形扱いされている人間」という見方もできます。こう解釈するとかなり怖い曲に一変します。
しかしともあれ、石言葉や青という色のイメージから「成長を願いつつ、でも同時に大人になることに諦観や悲嘆が見える」印象を覚えますね。
『私』の本当の色は瑠璃色じゃない。でも何色なのかまではこの歌は謡ってくれない。
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見方を変えると、子どもの頃、学生時代には親友と呼べるほど親しかったのに、通う学校が変わったり就職して以降は音信不通になってしまった旧友を視る歌とも取れます。
情報社会の現代では縁は昔ほどキッパリ切れるもんじゃないですけど、それでも意外とあっさり切れちゃう時は切れるもんですしね。
でも、切れちゃって二度と出会えないというのは逆にある種の幸運とも取れなくないものです。
思い出は色褪せるかわりに、美しい愛しき青い子どもの姿から変わらないのですから。
その思い出こそを『人形』と取ってもいいんじゃないかなとか。
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余談ですが個人的にとくにお情ちゃんのとくに好きな歌は「やさしいせかい」です。