忍者と極道 嫌慈&叛巻戦感想
半年以上ぶりの忍極感想だァッ!!!
97話の締めのここから始まり、100話有料公開から連載休載期間を経て長かったですが、無事隔週形式で連載が続いて心底感謝ッス!!
【弱体化(デバフ)の累積!】
改めて今回の救済なき医師団との戦いは地獄への回数券でバフかけたうえで敵にはデバフの累積をかけるという、RPGの常套戦術みたいなことやってますね。
忍者はFOEかなんかか?
【パッシブHP回復スキル発動!】
しかし一度ダウンしてもなお立ち上がる右龍に叛巻さんもドン引き。
「生物としてありえない」を2ページ中三回も連呼していますがウン確かにこれは化け物だわ。
それこそRPGで例えるなら、バフデバフの累積でやっと敵の攻撃(通常攻撃一発クリーンヒットで即死する)を回避できるようになっているものの、HPは削りきれないので毒ダメージでじわじわ殺す戦術を取っていたようなもの。
それをパッシブ回復スキルで毒ダメージを実質軽減されたらやってられんわ。化け物だわ。クソゲーだわ。
……っていうか右龍って、即座に数リットル単位の失血を造血できるほどの骨密度ってことを考慮すると、体重150kgという見立ては大間違いで骨の重さのせいで体重もっと重いんじゃ……。
畏怖で恐怖ェわ忍者。化け物だわ。
【右龍の戦術的判断】
死亡フラグビンビンの台詞ですが、骨太でフラグへし折った右龍。
ここで二人を先行させたのは、一刻一秒でも速く麻薬水を止めるため。
戦力分散は愚の骨頂、弱体化ったとはいえ三人がかりで確実に目の前の叛巻を仕留めてから、残りの極道を倒すのが確実安全な作戦ですが――
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そして右龍は闇雲に二人を先行させたわけではなく
最初から弱体化を和らげるお注射を入手するために叛巻と戦っていたわけです。
例え自分が戦闘不能になったとしても、鼠坊主や忍巧美男衆に届させればいいだけの話。
仮に本当に三人がかりで殺しに行くと叛巻もあまりの不利を自覚して血清を自ら破壊する可能性も十分あったので、一対一で「一人で診殺してみせる」という慢心を生ませる状況を作ったこの判断はベストに近いベターと言えます(ベストはもちろん三人で瞬殺して血清を即座にお注射すること……できればの話ですが)。
そもそも
「敵が自爆特攻目的なら一番頑丈で体面積がゴツい自分が盾になるのが正しい」
「血清を持っているはず」
「『案外流血しても大丈夫』ならと単独ver氷帝雷公来駕の血風怒涛剛雷漢を即座に考案実行して逆転勝利」
と、右龍今回の戦いではめちゃくちゃ頭使っています。
そういえば毒&天使戦でも電撃ドカドカ撃っていたのは、お兄ちゃんと合流するためのサインが目的で、オマケに長話で時間稼ぎをするとかいう姑息な作戦も使っていたな……。
……こと戦闘面に関してはお兄ちゃんより頭いいんじゃないの右龍?
【嫌慈と叛巻の過去】
これは「難民救助に失敗したのではないか?」という予想がありましたが、実態は全然違いました。
この漫画らしく、より日本人に身近な問題で闇が深い過去でした……。
どうやら忍極世界では現実世界より一足速くコロコロな世の中になってしまっていたようです。
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ここでもう一つお辛いことは、燃え盛る村の救助に向かおうとした叛巻を嫌慈が止めたこと。
これは悲しいことに嫌慈のトリアージが正しいとしか言えません。
過労でボロボロの身体に、火災用救助装備を何一つ持っていない男が一人二人救助に向かったところで、二人とも焼け死ぬだけ。
携帯電話の電波も届かぬ僻地だったと想定すると、むしろ二人は「自分たちは近隣に救助を求めに行くだけで逃げるわけじゃない」と言い訳できたのに、それをしなかった。
……流行病が蔓延している最中に、閉鎖された僻地で起きた大火災の救助に、公が即座に動いてくれるわけがないという現実問題があるだけにこの言い訳すらできなかったというのが実際のところでしょうが、自らの精神を守るために一時的にその考えに緊急避難しても良かったんだよと私は思うのですが、例によって私が極道寄りの考えをしすぎているだけでしょうか。
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あとこの二人、今までの救済なき医師団と違って二人の絆が強く、堅気の時点から共依存感あってズブズブの闇に落ちる素質がありましたね……。
また、叛巻は嫌慈に対して負い目があったのではとも考えています。
叛巻の自分勝手な感傷につき合わさなくてもいい嫌慈を巻き込んで辛い目に逢わせてしまったと考えていそう。
でも医師より患者により距離感が近い看護師だけあって、職務上嫌慈はそこらへんの割り切りができる方だったから先述の画像のように「逃げよう」と言えたんではないかと思っています。
……自分から薬中になった歪罹井や、如何なる理由があれど殺人を犯してしまった美陀と違って、この二人は犯罪を全く犯していなかったことを考慮するとまだ社会復帰できる可能性があったのですが、誰よりも早く「そこに病んでいる人がいる」という嗅覚を持つ孔富が拾ったのは必然ってのがやるせないですね……。
【妄想・嫌慈の過去】
二人の過去は語られたけれども、嫌慈個人の過去は匂わせるものがあったのに触れられなかったので、考察というより妄想をちょっと書いておきます。
二枚ギメする特攻直前の様子と、看護師として働くことに目を輝かせた時の嫌慈の様子ですが、どっちでも「役に立ちたい」と言っているんですよね。
「救済なき医師団でもっとも未熟でこれといった取り柄もない自分ができることは自爆くらい」という自己評価の低さ。
叛巻に命を助けられるだけの医療費を捻出できたこと、看護師免許を取るために必要な資金など、どこからともなく出てきているお金。
元暴走族という過去。
これらを考慮すると「金持ちのお坊ちゃんがグレて暴走族やっていた」というのが嫌慈の少年時代かな、と考えています。
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「役に立ちたい」と命の恩人の叛巻に献身する理由は以下の経緯を妄想しています。
出生がお金持ちの坊ちゃんでも、親の求める成績や功績などを上げられずに親からの愛情が満たされず、承認欲求をこじらせて反抗として暴走族に入ったのではないかと。
これは結構よくあるパターンのグレ方ですね。
でも暴走族に入っても、殺島のような共感性の高いカリスマの下についてこられたのならともかく「金持ちのお坊ちゃんがグレているだけ」として暴走族仲間からも侮られ軽んじられお財布扱いされて、それでも認められようと無茶をした結果とうとう命に関わる大病を患ったのではないかと。
そして、自己肯定感の低いグレた少年の嫌慈の経緯や過去も全部関係なく命を救ってくれた叛巻の姿勢、医者という尊い生き様に嫌慈は感動してリスペクトしたくなり、叛巻の支えになりたい、やがては自分のようなくすぶった少年をも助けたいと看護師の道を選び、見事に夢を果たしたのではないかと。
……そんな行き着いた夢の果てが疫爆飛だよ!!