TCGヴァンガードの世界観が好き というお話
私は結構ヴァンガードの世界観が好きである。
去年2021年にヴァンガードは心機一転、リスタートを切りそれまでの世界観から新たな一歩を踏み出した。
このためそれまでの歴史をまとめており、公式サイトで詳細含めて紹介してくれている。
【永久に終わらぬ光と闇の抗争】
好きな要素はサモンナイトのリィンバウムよろしく色々な要素を欲張りにゴチャ盛りした所にもあるにはあるのだが、究極的になぜずっと好きなのかというと、言葉で言ってしまえばすごく陳腐な光と闇の戦いである。
第一期の第一シリーズからしてこの通りで(画像のカードそのものは第二期のものだが)、鏡合わせの光と影の騎士の間を主人公のアイチ君は揺れ動き、最終的に光寄りで両方受け入れるという形になっている。
【光があるなら必ず影が生じる】
ヴァンガードは呆れ返るくらいに闇堕ちが多い。多すぎる。ワンパじゃねぇかって言われてもしょうがないくらいに闇堕ちばっかだ。
上記のブラスターブレードとブラスターダークは別人だが、使用者のアイチ君もレン様も闇堕ち経験者。
なんなら闇堕ち専用のカードカテゴリすら作ってくれるくらいに闇堕ち愛好家にはありがたく逆の人にはウンザリする商法である。
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なんでこんなに闇堕ちばっか生じるのかというともちろん商売上売れやすいからというのが一番大きい。
上で紹介したЯカテゴリは自陣を呪縛するという動きが、背景ストーリーとカード性能が見事に合致したうえで面白くて実用的と好評だった。
闇堕ちは既存カードの売れ行きも伸ばしつつ、新たな可能性をゲーム的にもフレーバー的にも両方切り開くのだ。
が、Яカテゴリ以外でもストーリー上闇堕ちしたユニットは結構いる。
ユースは直近で登場したユニットで、登場した瞬間から闇堕ちしていた国家への叛逆騎士である。
まぁ真面目にストーリーを追っていると、ユースが登場する前の去年から必ずケテルサンクチュアリは設定的にも歴史的にも叛逆のテロリスト騎士が登場するであろうことはわかりきっていたことなのだが。
要するに、ユーザーが完全に闇堕ちに慣れきっているのである。予定調和ですね。
【そもそも光こそが不自然という割り切り】
第一期のヴァンガードの背景ストーリーの戦いは究極的に虚無(ヴォイド)との戦いだった。
実際ドンパチやっていた時期は敵は虚無なんだから全てを無に還すのは当然なのだろうと思っていたのだが、全てが虚無に還るのが自然な姿であるというのは冗談抜きで真実のことだったのである。
虚無とは言いつつ、実際のところそれは無限の可能性とエネルギーの塊であり、それが故にその中からほんの一欠片が切り離され成長するといずれ必ず回収しにやってくるというのである。
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現実の宇宙でも「宇宙の大部分は何も無い絶対零度の茫漠たる絶対虚空である。ならば、エネルギーが生じている銀河は元より、生物が生じている環境の方が不自然なのである」という考え方もある。
存在するという事実、光や希望などといったポジティブでプラスなものの方がそもそもおかしいというのだ。
これは創作上の敵役の常套文句ではあるが、まさか世界観的に本当にそうだとは思っていなかった。
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ちなみにこの事実に気づいた背景ストーリーのキャラクターの動きが結構面白い。
絶対正義を標榜する古代世界最強最大軍の元帥であったヴァレオスは、世界を守らんがために誰よりも早く勇敢に虚無の軍勢と正面から戦ったが故に、そしてその優秀さ故に「虚無の方が正しい」と気づいて寝返ってしまった。
一方こちらは自分の欲望と力をどこまでも無限に満たそうとするエゴの塊たる文字通りの悪魔だが、それが故に虚無に触れ「世界を虚無という素晴らしいエネルギーに満たして還そう」という狂気に取り憑かれてしまった。
利他の極致のような正義の軍の総帥と、利己の極致のような悪の大魔王が、己の行動理念を突き詰めた果てに到達した地点が全く一緒だったという皮肉である。
オマケにこの二人は辿った道筋こそ違えど到達地点が一緒だったからか、お互いを同志と信頼しあう無二のマブダチと化している。
行動を除けばめっちゃ尊い関係なのではあるが……。
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なおこの同志たちには
漁夫の利を狙う害虫(文字通り)とか
単なる愉快犯までいる。
【破壊神はある種の救世主】
そんなこんなで降臨した破壊神ギーゼであり、ストーリー上のお約束としてなんだかんだで苦労と紆余曲折の末に撃退はされる。
されるが、相手は正真正銘別次元の超越存在。
破壊というマイナスベクトルとはいえ間違いなく世界のバランサーであり、もう片方のバランサーである創生の神格メサイアと共倒れしたもんだから世界はエラいことになった。
具体的には世界は3000年の荒廃と衰退の歴史が刻まれた。
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要するに、たとえそれがどんなにネガティブなものだったとしても、世界の均衡の一端を担っていたのは間違いなかったのである。
それでも討伐しなければ世界は滅びていたから戦うしか選択肢は無かったわけで、荒廃と衰退は生き延びたという事実の代償として支払わなければいけなかったわけなのだ。
そもそも上で紹介したガスティールやグレドーラやカオスブレイカーが人心を煽ったとはいえ、それでも本心から全てを無に帰す破壊神の降臨を少なくない民たちが願ったからこそ破壊神は復活したのである。
破壊神はある種の人々にとっては救世主ではあるのである。そしてヴァンガード世界の破壊神は本当にバランサーだったので倒したらそれはそれで世界がエラいことになった。
ここまで徹底して、ネガティブでマイナスな存在をそれでも世界には必要であり、必要とされているのだと繰り返し何度も説いている世界観は好評に継続している創作シリーズとして結構珍しいと思う。
【破壊神が滅びてもなお滅びを願う祈りの声】
そして3000年の月日を経てようやく惑星クレイも復興の希望の光が見えたというのが第三シリーズの始まりだったわけだが、第三シリーズ第一期のラスボスはまたも性懲りも無く世界の滅びを願う意志の体現であった。
もういい加減にしろよと思わなくもないのだが、背景ストーリーを追えば3000年の荒廃で人心は荒れるどころかもはや疲れ果てて滅びを願う声が無視できない勢いであったとしてもなんらおかしくはないのである。
この戦いももちろん、光と希望側が勝利して世界の存続は決定されたわけだが、先に挙げた叛逆の騎士ユースベルクのように、生きるのであれば結局は闇と影は世界で蠢き続けるのだ。
そもそもユースの一件に関しては、むしろよりよく生きようとする生命エネルギーが爆発したからこその叛逆とも見れる。
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ヴァンガードの世界観である惑星クレイのストーリーは、本当に徹底して一貫して光と闇の戦いを描き、それがなぜ終わらないのか、なぜ人は闇に魅き寄せられるのかということを描き続けている点が私の琴線によく合う。
マイナスでネガティブな心やエネルギーは、必要とされているし実際無ければ無いで困るものなのだ。
そしてそれを悪意で弄ぶ者もいれば、真摯に受け止める者もいる。
中には闇を受け入れ克服し、より良い世界を築き上げようと足掻き続ける者もいる。
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というわけで、ヴァンガード面白いですよ。
300円のトライアルデッキから始めるのもお手軽だけれど、コロコロな世の中にはオンライン対戦ができる電子ゲーム形式もオススメだ!
突然のダイレクトマーケティングですが、実際ヴァンガードはビデオゲーム版が出た直後が一番オススメしやすいんですよ……。(まだ発売してないけど)