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【ゲーム論】ボス敵の能力獲得っていいよね【ENDERシリーズ】
ENDER LILIESの続編、ENDER MAGNOLIAが発表されました。
【強敵と書いて友と読む】
ゲームではよくあるシステムやイベントですが、倒した敵キャラの能力を獲得するってゲームならではの面白さや燃え要素があると思うんですよね。
お前は強かった!だが自分はもっと強い!
そしてお前の能力はやはり強い!!
これによってプレイヤーを褒め称えてプレイへのモチベーションを上げつつ、倒した敵キャラを通過地点にせず、各プレイヤー次第で思い入れを抱かせたりバックボーンを描くことができます。
有名なのはロックマンシリーズあたりだと思うのですが、倒したボス敵の能力が他のボス敵への弱点になるので、敵キャラ同士の関係性も見えたりするんですよね。
【能力獲得できる理由付け】
東方Projectの神主ことZUN氏の提言していたゲーム論なのですが「ゲーム的演出や攻撃方法にキャラクター設定を結びつける」というのは、単なるゲームプレイヤーに留まるだけの私でも大切な所だと思うんですよね。
例として東方Projectは弾幕STGですが、ばら撒かれた弾幕が突然停止する、という攻撃方法を使うキャラクターがいます。
チルノや十六夜咲夜なんかが代表格ですが、氷の妖精チルノは弾幕を凍結させることで停止、咲夜さんは時間停止することでプレイヤーと弾幕のどちらかあるいは両方も自在に停止させられる、という設定面での理由付けがあります。
※※※
これを踏まえたうえで、敵の能力を獲得できることの理由付けって大切だと思うんです。
試練と称した戦いを経て、相手の協力を得られる
ボス敵のパーツから自分用にカスタマイズする(ロックマン)
敵自体を仲間にしてしまう(メガテンシリーズやポケモンなど)
食べる(カービィなど)
※※※
で、ENDER LILIESの能力獲得方法なんですが「浄化」なんですよね。
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死にたくても死ねない無限の苦痛に苛まれているボスキャラを、リリィちゃんは浄化して救うことで彼らに守ってもらえるのです。
これ、大変上手いんですよ。
リリィちゃんは見た目通り、メトロイドヴァニアの主人公とは到底思えないほどに可憐で儚げで弱々しい少女。
だからリリィちゃんは戦えない。戦うのはあくまで亡霊たち。なおリリィちゃん本人の身体スペックはメトロイドヴァニア主人公の中でも非常に高かったりする。
ボスキャラは倒された瞬間に生前の理性を一瞬取り戻して一言呟き、それから浄化するという手順を踏むのですが、ステージボスキャラはさらにそこに生前の記憶のムービーが流れる。
「コイツはこんな思いを抱きながら生きていたのか」「苦戦したけどそれを上回る物悲しさとボスキャラの優しさに心打たれる」といった感想を抱けるのですよね。
そして仲間になってしまえば大変心強い!
ENDER LILIESの場合、それぞれのキャラクターが最善を尽くしたり、残酷な運命に抗ったり、不器用ながら一貫した己の信念の下で戦い抜いたりと、みんな利他性の下に戦い続けた良い人たちばかり。
こんな彼らが、結局生前の内には成す術もなく国が亡びて行くことを止められなかったことを、主人公のリリィちゃんとプレイヤーは知り、亡国の真実と原因を探索するリリィちゃんを浄化された亡霊たちは守り、そして死の国と化した果ての国を救う戦いに最後まで付き合ってくれる。
「敵キャラの能力を獲得する」というお決まりのゲームシステムにガッチリ噛み合う設定、リリィちゃんのキャラクターデザインとその変化、そしてそれがシナリオのカタルシスにまで繋がるという正に「敵キャラの能力獲得」を突き詰めたタイトルだったと言えます。
【ENDER MAGNOLIAについて】
まずタイトルにもなっている「マグノリア」ですがこれはモクレンのことです。
花言葉は「持続性」「自然への愛」「自然な愛情」「崇高」など。
副題の「Bllom In The Mist」は直訳だと「霧の中で咲く」ですが。本作の舞台は「煙の国」なので、「霧」「靄」などとイメージを重ねさせつつつ、smokeでは無いことに意味があるのでしょう。
ちなみにENDER LILIESはタイトルをLILIE(百合)としつつ、実際のところゲーム中では蓮や睡蓮の方が目立ち「汚濁に満ちた泥中で育ち美しい花を咲かせる」ということから仏教のシンボルでありつつ、ENDER LILIESのテーマにも繋がっています。
なので素直にモクレンが前面に出てくるわけじゃない可能性もありますが、花言葉で考えると前作のファンタジー的世界観からスチームパンク的世界観に移り変わっているので「持続性」「自然への愛」をENDERっていうのは既に筋が通っていますね。
【主人公のライラック】
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ライラックの花言葉は「友情」「思い出」「謙虚」「純潔」です。
ユリの花言葉の「純粋」「無垢」「威厳」「純潔」と「純潔」だけ被っていますね。
白巫女様で、自分以外みんな死んでいる環境で目覚めたリリィちゃんと違って、一応生きている人がいるので「友情」「謙虚」で彼らを助けて協力を得ていかなければいけない、という方針転換もありそうです。
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……しかしかろうじて生きている人間がいるだけで、いきなりグッとロストエピック感が出ましたね。
同じディストピアもののメトロイドヴァニアだしね……。
どうでもいい話ですが、去年の秋頃遊んだロストエピックは主人公のキャラクターボイスをテキトーに選んだら紡木吏佐さん(CRYMACHINAのレーベン役)、その次テキトーに選んだら井上ほのかさん(CRYSTARの恵羽千役)とどうやら耳がそっち寄りになっていた模様。
※※※
なおENDER LILIESから数十年後の物語、ということになっているうえにグッドエンドのリリィちゃんは穢れがまだ残った半穢者状態なので、登場する可能性も十分ありますね。