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忍者と極道 紹介記事
思えば普通の紹介記事書いてねーなってなったので忍極入門用の記事となります。
【忍者と極道とは?】
講談社のWEBアプリ「コミックDAYS」で連載中の、忍者と極道が繰り広げる愛と因縁の抗争物語。
プロのライターが書いた紹介記事もあるので率直(ぶっちゃけ)こっちの方が紹介記事として読むにはオススメします。
【令和のロミオとジュリエット】
『忍者』とも、ましてや『極道』とも結びつかぬ悲恋のロマンス劇ロミオとジュリエットだが、本作は「令和のロミオとジュリエット」とファンから形容されることもある。
私が本作にググッと惹かれたページが以下のシーン。
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右のコマでは極道が親友のために、死地から生きて帰らねばと誓う。
左のコマでは忍者が仲間のために、死地から生きて帰らねばと誓う。
そう、この相対する忍者と極道、胸中に思い描く大切な人は同一人物!
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どちらが勝っても、主人公は大切な人を必ず喪う!
その葛藤、その悲劇を知るのは神の視点を持つ読者だけ。
仲間への深い情愛、それ故に生じる仲間の命を奪った敵への深い憎悪、螺旋を描く血で血を洗う抗争!
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そしてその中心で踊るのは、互いが因縁の宿敵だと知らずに親睦を深め友情を厚くする忍者と極道!!
生首と血飛沫で彩られた令和のロミジュリという評価は実に的確である。
【高い漫画構成力】
忍極は非常に印象深いルビやカッ飛んだ荒唐無稽な漫画的描写のインパクトが強い作品だが、それを支えるのは大変センスに富んだ漫画構成力にある。
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銃撃を自在に跳弾させる技「狂弾舞踏会(ピストルディスコ)」で忍者を追い詰めるシーンだが、コマ割りを跳弾する銃弾の軌道で描いている。
本作は携帯端末で読みやすいよう意識されており、基本的に斜めコマ割りは使わないのだが、使うとなったらこのような凝った演出が行われるのだ。
※※※
また、小さな携帯端末画面でも読みやすいようにされた単純なコマ割りだからこそ、最小限の絵で時間の流れを表現する手法も大変に上手い。
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このページでは2コマ目ではピストルを持つ殺島側の視点で忍者を狙おうと焦燥する心情を描いている。
そしてそのピストルを持つ手首が次のコマで描かれており、読者の視点と意識を完全に殺島にシンクロさせているのだ。
次ページからは殺島の回想が始まるのだが、その導入部として暴走族のカリスマ的リーダーには到底似合わぬ子供っぽいブレスレットを非常に上手く魅せている。
※※※
こういった凝った魅せ方はバトルシーンでは割とよく使われており
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このシーンではページを跨ぐ砲弾を大胆に描いているが、これは見開きでページの境界が本の隙間に埋まり込んで見にくくなってしまうアナログ媒体では効果的ではない手法ではあるが、電子媒体ではなんの問題もなくこのように見ることができる。
それどころか右上から左下へ視点を動かして読む漫画の構成を上手く利用して、砲弾の射線がそのまま読者の視点とシンクロするようになっている。
※※※
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とくにこのページは時間の流れとコマの流れが大変計算されているシーンである。
1コマ目で首ちょんぱされた全身図を俯瞰で描き、飛ばされた生首が舞う姿が描かれ、首ちょんぱされた少女の心象がルビ芸を使って必要最低限の文章だけで描かれている。そして
ま で
だ も
と、飛んだ生首の髪の毛を掴む胴体を描くことにより、次ページへの展開へと繋げている。
凄まじく無駄のない、そして「いや普通首ちょんぱされたら即死するだろう…」という常識的思考を脇に置いた大胆な漫画的演出と言える。
【常時無料公開の入門作もある!】
かなり頻繁に2巻前後くらいまで期間限定無料公開される(時には今のように全話無料公開されることすらある)が、常時無料公開している読み切り外伝作品が非常に入門作としてオススメできるので、忍極を読み始めるのに適切なタイミングというのは「いつだって」と言える。
この獅子の華は下書き状態でペン入れされてはいないものの、上手い漫画構成と確かな画力は健在であり、5話完結の中編で非常に熱く物悲しい忍者と極道の友情物語が描かれている。
この作品だけいきなり読んでも忍極世界はバッチリわかるようになっているだけでなく、忍極本編を読めばさらなる深い味わいを楽しむことができる。
逆に言えば常時無料公開の1話2話と獅子の華を読んでも「面白くない」となれば、作風が合わなかっただけなので無理に読む必要もない。
現実離れしたカッ飛んだ描写ばかりとはいえヤクザが大暴れするような漫画を敬遠するというのはごく普通の感性なので無理はしないに越したことはない。
※※※
ちなみに同じ外伝でも最狂悪童伝ガムテの方はさらに人を選ぶので注意。
というか割れた子供たち編(幼狂死亡遊戯)は本作が絶対アニメ化できない最大要因とすら言われるほどヤバい描写のオンパレードであり(児童虐待がある種テーマなので……)、忍極の面白さが詰まってはいるもののめちゃくちゃ人を選ぶ作品であるという代表格みたいなエピソードである。
オススメ記事でこう書くのもなんですが、合わない作品は本当に無理に読まない方がいいです。ハイ。
アクの強い作品は適切な距離が大事。