手づくりというけど、
文字でも、活字と手書きのもじょもじょ文字では違う。万年筆が好きで書かれる紙もいろいろ試したこともある。手書きにこだわる、という世界はずっと続いているのだけれど、一方で活字になるという面白さもまたこの頃は分かっている。ひと昔前なら考えられないような事が、現に目の前で起こっているのだから。
あさ、ボールペンの替え芯を入れる作業をしていた。お気に入りの赤いペンは、小さ目で細め。ずっと使いたいと思い、買う時に替え芯を3本とりあえずそろえていた。初めて替えるだんで、芯の出の調整がきかないではないか。「まじか。」いろいろ試したが、その構造がよく分からない。
替え芯で、紙にもじもじしていた時ひらめいた。
軸を作ろう。手作りのペンになるだろう、と。材料は山ほどある。道具もそれなりにある。こういう時は時間が止まる。ワクワクを抑えきれない。杉の木に決め、鉈で適当な太さに割り、ドリルで穴を開ける。替え芯をつっこんで、太すぎる軸をカッターナイフで鉛筆のように削る。
やっていくと問題点が次々と出て来る。一個ずつ考え解決してゆく。段々と既製品に近づいてくる気がすると、いかん、いかん、オリジナルを作らねば、と作家気取りが顔を出す。
だいだい出来て、紙に書いて使い心地を検証すると、芯の太さが軸の太さと合わない。車でホームセンターに向かう。替え芯。替え芯。
もはや、自分が焼き物やであることを完全に忘れていた。
まだまだ、検証と手作りペンは続きそう。
2020.12.21.典栄