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2020年好きな曲3選【HIPHOP編】


こんばんは!

昼に10選記事を上げました。

でも、どうにも2020年を総括しきれてない気がすると思ったら、今年ポップミュージックと同じくらい聴いたHIPHOPについて1ミリも触れていませんでした。

急ごしらえ感は否めませんが、HIPHOPでも記事を書くことにしました!!筆者もハマって1年とかなのであまり詳しくはないですが、普段聴かない人が聴くきっかけになれば嬉しいなと思います。


1 タンポポ feat. ZORN - KREVA

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KICK THE CAN CREWのMCでもあるKREVAさんと、ライムの完成度の高さで有名な葛飾区新小岩のラッパーZORNさんの曲です。

KREVAさんのバースでも、ZORNさんのバースでも互いの過去の曲の歌詞をサンプリング(引用)し合っていて(※)、3バース目は互いのフレーズを踏みながら一緒にラップしていく感じで進んでいきます。

※KREVAバース「わざわざ格下を見ないでしょ」
→ZORN客演参加「百千万(Remix)」からの引用
※ZORNバース「イッサイガッサイのみこんで」
→KREVA「イッサイガッサイ」からの引用

美女のモデルとかリゾートホテルより
味噌と米ありゃ理想と呼べる

↑このZORNさんのバースの頭、メチャメチャ痺れました。

(贅沢なこと)より(平凡な日常)、この構文よく出てくるので勝手にZORN構文って呼んでます(?)。曲後半でも出てきます。

4連続で長い韻を踏んで綺麗に意味を通すのは至難の業だと思いますが、ZORNさんはこういうことを曲中に平気で何回もやるので笑っちゃいます。韻はジャンル問わず作詞の上で重要だと思いますが、その専門家であるラッパーが韻を極めるとこんなに大変なことになるっていうのは普段HIPHOP聴かない人にもぜひ知ってほしいなと思います。

というか、一見怖い外れ者のお兄さんたちが国語の先生もビックリなくらい繊細な日本語遊びに没頭してるの、カッコいいと同時に"萌え"を感じませんか?私がHIPHOPにハマった理由の一つがこれです(脱線)。


2 ヘルレイザー - Creepy Nuts

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我慢に我慢 重ねたら
笑ってまた 会おうぜbrother
チケットなら 配ってあら
更に敏感になった身体
萎んで咲いて疑問抱いて
気揉んでないで鬼門開いて
もうイッてる生きてる生かされてる俺ら

コロナ禍の中、いち早く社会に対するメッセージを音楽で発信したのはラッパーだったと思います。そんな中で今トップを駆け抜けるCreepy Nutsがコロナ禍の中制作したアルバムの一発目がこの曲です。でも出だしのフレーズが「出会って4秒でまぐわう」・・・?は?え?なんて???

Creepy Nutsが選んだのは社会に中指を立てることでもコロナ禍で変わった内面の吐露でもなく、辛抱を重ねた末にこの状況から脱して満員の会場で思いっきりライブをやる瞬間のエクスタシーに思いを馳せ、いつも通りビートに乗せて言葉巧みにラップすることだった、ってことなんですよね。ライブができないライブハウス→禁断の箱→ヘルレイザー(ホラー映画)と見事に喩えて、この曲からアルバムが始まっていく。ほんと、コロナ禍への向き合い方があまりにもCreepy Nutsらしいなーと思います。

"快楽"が詰まってるので、ライブ大好きキッズやライブ大好きおじさんおばさんみんなに聴いてほしいです。


3 THRILLERCITY - テークエム

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Instagramにあげて 皆楽しんでる
実は誰か呪って 目が死んでる
誰かを羨んで表ハイで裏で病んでる
Pandemic. これは冷めた奴らのアンセムだぜ

テークエムさんはCreepy NutsのR-指定と同じく梅田サイファー発の実力派ラッパーです。本当に本当にラップがうまい。

ビートアプローチというか言葉の乗せ方が天才的なので、あんまり歌詞を考えなくても聴感上も気持ちよくノれますし、詞に耳を傾けると今風の技巧的フロウにそぐわないほど古き良き言葉遊びというか、「上手いことを言う」話芸にも似た濃い内容を歌っていて、ここぞというときにめちゃくちゃ綺麗な韻を落としていく。本当に最高です。

どうせ流行り物だ
いつか都落ちだ
どうせ踊るならおれに着いてこい
皆こっちだ

特筆すべきはやっぱりリリックの内容です。音楽をやっていないしがないサラリーマンや学生でも分かる、インターネット・スマホ・SNSが普及し、便利でなんでもできて、いろんな悪意が容赦なく可視化されて、なんだかメチャクチャ生きづらい、しんどい。そんな誰もが抱える現代人の悩みに踏み込んだリリックを書いています。

HIPHOPは"自分"を語る音楽だということもあり、歌もの以上に内省的で暗いリリックでも全然成立するイメージが個人的にあるのですが、こういう身近なところをテーマに語られるとすごく生々しく心に響く気がします。

この曲が収録される「XXM - EP」の他の曲も同様で、例えば6曲目のBROKEN PHONEは「命綱はwi-fiかBluetoothか 人間でいるためのライセンス」「Youtube見てるだけで10万円以上してる機械」といった、とても他人事とは思えないワードがたくさん出てきます。ぜひ「XXM - EP」の他の曲も聴いていただけたらと思います。


以上です!みんなもラップ聴こうぜ!!


おわり。