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第3回SBFの感想メモ

主催している演奏会の感想をここに書き留めます。

主催といっても事務方は全て他のメンバーに任せきりなのであまり偉そうなことは書けないんですけど。

普段フォローして下さってる方にはよく分からない内容になります。内輪の人にしか全くわからないものを書くのもアレなので、簡単に説明。

SBFの概要

Sendai Barbershop Festivalの略。

バーバーショップとは、4人で4和音だらけの複雑なハーモニーをネチネチ奏で続けるニッチなアカペラジャンルだ。

このチャンネルの動画を見るとなんとなく雰囲気がわかるだろう。これの演奏会を定期的にやっている。

東北地方にはこれを歌う文化は当時は無かったのだが、仙台のとある大学合唱団で1組がネットで見つけて歌い始め、3年くらい経つと少し離れた歳の後輩に波及。やる人が少しずつ増え、小さなコーラスもできた。女声カルテットも複数生まれ、ついにイベントをやれるくらいの人が集まったのが2019年。

その一組目が、私の所属するVocal Tompectrumというカルテット。略してぼかとんと言う。

こんなカッコつけた紹介をするくらい大ごとになるのなら、こんな変な名前を付けるべきじゃなかったのである。

第一回(2019)

地元仙台チームのみの開催。というか全出演者が東北大学混声合唱団関係者である。台風でお客さんは少なかったが、超ニッチなbarbershopジャンルのみの催しを実現できたのは手応えがあった。

ここから全プログラムの楽曲を視聴できる。

第二回(2023)

コロナ禍が明けて3年ぶりの開催。この回から県外から素敵な知り合いのカルテットを多数お呼びし、仙台にとどまらない規模に拡大。いい感じの歌える打ち上げ会場もここで開拓。広い交流の場としても機能する、楽しすぎるBarbershopイベントになってきた。

ここから全プログラムの楽曲を視聴できる

第三回(今回)

そして今回が第3回。第二回同様、県外のカルテットを複数お呼びした。
新企画として、うちのリーダーの鶴の一声でドリームカルテット企画を実施した。

そして前回出演のカルテットのレベルがとにかく上がっている他、激うま新人カルテットJumpectrumの参戦、ここ数年破竹の勢いの東北大男声さんが出てくれたこともあり、かつてない盛り上がりになった。Sendai Barbershop Festivalの名の通り、仙台のチームが前回以上にメチャクチャ元気だ。

お客様も幅広い年齢層の方がお見えになり、東京からも多数駆けつけてくれた。

アンケートの結果も好評。出演者は楽しすぎて0時以降のスタートの二次会に半分くらい来るし、Twitterで感情になったりと、成功に終わったと言っていいだろう。

出演者への感想

各カルテットの感想をTwitterに放流しようと思ったがあまりに長くなるし、何日かに分けるとテンションが変わってきて書き方にムラができるので、noteで一気に公開しようと思う。

After Times

愛媛県のカルテットが今回来てくれた。全ては前回のSBFに遠路はるばる来てくれたTenorのちゃるめら氏のお陰である。彼が来ていて縁が生まれてなかったら勇気を出してオファーできなかっただろう。

このカルテットは、4人の人となり・声に合った曲を選んで1つのステージにまとめ上げる力が本当に凄い。動き・表情全てに矛盾・無理がない!カッコいい。

これはかなり難しいことで、普通の日本人にとってBarbershopエンタメはかなり遠い文化で、Barbershopらしい素敵な演奏をするには相当の工夫と、魅せるための努力が必要だ。

我々は海外の演奏動画を何度も聴き直して演奏を組み立てて「顔が暗い!表情良くしなきゃ!」とか言って頑張ってるのだが、彼らの演奏を観ていると自分たちよりだいぶ上のステージにいるなと思ってしまった。色んな人が言っていたがコメディが自然に出来るのは本当に稀有な存在。多分、今回の出演者で我々が1番学ぶべきカルテット。

ベースのひでひで氏と隣で何度も歌えたのもよかった。

ちゃんと豊かでソリッドな低音が鳴るベース。RichなベースはRichなハーモニーを生む、当たり前のことを再認識した。

(デカい声出すのをいかにサボるかしか考えてないエセベースの私は劣等感に苛まれた)

後日公開の録画、みんな楽しみにしてほしい。

Orca Rhapsodia

第一回から出演してくれている女声カルテット。ステージ映えする衣装を身に纏い、コーラス出身らしいクリアで澄んだ歌声が特徴のカルテット。トータルプロデュース能力は随一だと思う。

今回Bassのメンバーが入れ替わって新体制になった。

新生Orcaの明るい雰囲気が伝わる1曲目、今まで培った強みが活きる2曲目、超有名だが技量とスタミナが要求されるチャレンジングな3曲目と、完璧なセトリだった。全曲、この年にやることに意味があった。

この5年間を知ってる人にとっては、実は1番熱いステージだったかも。

彼女達は出身合唱団が一緒で身内のはずなのだが、ぼかとんは実はSAMEとOrcaにはほとんどコーチングだったりで関わったりしていなくて、完全に自分たちで実力をつけていて脱帽する。

(ぼかとんは随所で受けるコーチングとかでなんとかなってる感じだし…)

Leadのねぇさんはこの演奏会に出た人の中でも特に胆力があると思う。緊張とか焦りを感じさせる瞬間がなくて、やっぱりステージに対する意識が高いと思う。

Go the Distanceの演奏は、難易度もあるが非常にアグレッシブな演奏で、今までの歴史を考えるとグッときてしまった。

第1回にやってたDeed I Doとか、テナー、バリトン全編リードの曲も聴いてみたい。早く次の演奏が聴きたいと思ってしまうステージでした。

見事でした!

F.F.

今回のMVPとも言われている凄い演奏をしたカルテット。バリトンが参加できず、テナーに補充人員のソルジャー泉くんを招聘しての演奏。

もともと声がすごい4人組によるカルテットだけど、泉くんが入ってテナー系2人が真ん中に降りてくることで余力が生まれて(?)結果的にとてつもなくRingしやすい状況になっていた。怪我の功名というか。バリトンの穴をバリトンで埋めないのがメチャクチャ楽しい。

1曲目のSugarは話題賞獲得です。目立つパートを担当すると毎回伝説を残す男、泉くん。

バリトンとテナーは誰が担当しても相当バーバーショップでハモる音量と歌い方をしていて、うわーーこれはまずいぞと思った。ハモリで勝てない!ベースはいつもの通りすごすぎる。到くんのベースはバカデカなのに暗くなくて軽さがあって野暮ったくないの全然意味がわからない。ハモリに都合が良すぎる。ほんますごい。

Lucky Old Sunは、おそらく東北界隈のBarbershopの演奏で前人未到の領域だったと思う。本番1発でアレができるのは尋常じゃない本番力。Barbershopは少しでも調子が悪い部分が出ると綻ぶから、すごすぎる。イケメン。大スター。コンベンション10連覇(出ないらしいけど…)。

Vocal Jumpectrum

東北大アカペラコーラス部の4人による新カルテット。SBF史上初めて、完全にアカペラサークルにルーツを持つ団体が出演した。本当に嬉しい。

SBFを客席で聴いた人達がカルテットを作り、次のSBFのステージに上がる。一番思い描いていたことが第三回にして現実になった。

演奏がマジでほんとに。あ〜あ、ビギナーカルテットが凄すぎると参入障壁が高くなりすぎて困ってしまいますよ!本当に達者だった。ステージでの落ち着きはステージ経験の多さによるものだろう。

演奏中に凄く観客にウケたちょいトラブルがあったのだが、なぜあんなにウケたかって、そこに至るまでがあまりにもうますぎたからだと思う。

マイクに入る声がどこよりもきれいな気がして流石すぎた。アカペラーの培った経験はコンデンサマイクでも映えるんだな。

練習にも2度お邪魔させていただいたが、あんまりガツガツしてないし不安そうでもなく、淡々とハーモニーと自分たちの上達を楽しんでる感じで雰囲気が良かった。長寿カルテットになりそうな雰囲気すらして楽しみしかないです。

全員、就職しても転勤族にはならないでください(身勝手)

SAME

ファンです。全国ツアー全通します。という感じなのだが、何がどう凄いか書こうと思ったらペンが止まってしまった。

第一回からこの4人は呼吸が合っている。

もちろんレベルアップしているのだけど、今5年前の演奏をみても入り・切り、フレージングの4人のシンクロ具合はもう完成してる感じがする。

今のSAMEが何が凄くてこんなにハイレベルに聴こえるのか、多分自分がまだその域に到達してないからわからない。スキルが上がってハモリの厚みが増してくるにつれて、元々持ってるシンクロ具合がどんどんわかりやすくDrive感を増して音楽を前に進め、強固になっている、そんな感じがする。

一聴して軽快でチャーミング!超かわいい!でも完璧で圧倒されてしまう。アンサンブルとしてこんなにカッコいいことはないと思う。

リードのあっちゅは本当の"シンガー"で、凄いと思ったところで何がどうなってるのか本当にわからない。凄いことはわかる。分からなすぎて「幼少期から歌が大好きな女の子だったんですか?」とキショすぎる質問をしてしまった。悔しい。

Vagabonds

東京都のカルテット。このカルテットは、4人ともBarbershopすぎる。
リードがリードすぎるし、テナーがテナーすぎるし、バリトンがバリトンすぎるし、ベースがベースすぎる。全員天職に就いている。だから普通に声を出しただけでバーバーショップらしくハモるに決まっている。

だからステージ上のムーブもすべて「らしい」もので、無理がない。バーバーショップを発明した人はこういう人向けにこの文化を作ったのだろう。

さとあつくんはコーラスもアカペラもバーバーショップもどっぷりと経験してる多分界隈唯一の存在。それもあってか、自分たちの教科書にない歌い方で、圧倒されてしまう。もっと近くでたくさん歌って盗みたいと思っている。
Bassのしいなくんにさとあつの高音の独特の伸びの秘密についてこっそり聴いたが「すごいですよね〜」「わかんないです」と言われた。

何より人柄がいい。会場がウケてるとき、これ人柄でウケてるんだろうなという瞬間がメチャクチャある。多分今の時点で世界で通用する。

東北大学男声合唱団

本当に出てくれて嬉しかった団体。

数年前に2〜3人しかいなかった状態から人を爆増させ、今まで年間計画に無かったコンクール出演を決めた年にバーバーショップを自由曲にする、運営役員と人生何周目なんだよみたいなムーブをしている。SNSも他団体と一緒に大いに盛り上げてるし、凄すぎて、尊敬しかない学生団体だ。

昨年のコンクールが始まった頃にバーバーショップ講座的な感じで練習にお邪魔したが、すでにポイントを抑えてるし、すごく向いてる感じがした。メンバーは自分たちの音が変わると大いにはしゃいでたし、我々も楽しすぎたのを思い出す。

今回は前回のコンクール曲South Rampart
ではなくSound Celebrationで、爽やかなパワーを届けてくれた。Bassの層が厚くて、歌い方も自分の武器を持ってる器用なメンバーが多くて、Barbershop向きだなぁ・・・

ドリームカルテット企画にも4人がエントリーしてくれた。彼らの参戦のお陰で参加者の予想が追いつかない展開がいろいろ起き、十倍くらい面白くなった。

あと、打ち上げでSouth Rampartを大合唱する様があまりにも楽しそうで、普通に泣いちゃった。

ドリームカルテット


冒頭でも書いた新規企画。

その日顔を合わせたメンバーでカルテットを組み、人気投票上位を翌日の本番ステージに上げてしまおうというもの。参加希望者を募ったら5カルテットできた。

チームのメンバーに事前に選曲と準備をしてもらい、本番前日顔合わせ後2H練習して発表会、という、ムチャ振りも甚だしい企画である。Barbershopは難しいから普通はそれで客前に持って行けるクオリティにはならない。

それが割となんとかなってしまい、独特のライブ感リアル感も乗っかってなかなか痺れる演奏ができてしまった。いろんなバーバーショッパーが完全シャッフルされることで想定していないドラマも生まれたりして大盛り上がりとなった。

SBF出演を決めたのはBassが多い混声カルテットと、Barbershop怪人3人+男声ルーキーというカルテットの2つ。

2カルテットについてはここにだいたい書いてしまった。

2カルテット以外も、他のカルテットも皆素晴らしかった。そのうち演奏が上がると思う。

特に、東北大男声メンバーがいたチームの演奏はどこも痺れた。明らかに他メンバーに刺激を受け、遠慮や様子見なんてできない状況で120%の力を発揮している。本当に痺れた。

おわり

各出演者の感想は以上。

これからYoutubeの演奏が上がったらリンクを貼っていこうと思う。

カッコつけて偉そうに色々書いたが、「いや〜マジ良かったなーー」の一言なのである。

おわり。