Coupaの製品構成(ソリューション体系)~(3).BSMプラットフォーム
中段に位置する「BSMプラットフォーム(BSM Platform)」は、Coupaのアプリ群(コアアプリとパワーアプリの各製品)を連携させるための基盤(実際の連携の仕組みであり、連携ルールの定義)です。また社内ユーザー、サプライヤーなどがCoupaにアクセスするための機能も提供しています。またワークフローの動作方法や設定データなどを一元的に格納・提供するなどにも寄与しています。
購買ソリューションの世界では、次々に新しい機能が登場し、Coupaも買収などで取り込んで機能を強化し続けています。しかしもしそれらを連携させるルールが無かったらどうなるでしょう。アプリ同士のデータ連携経路を機能強化のたびに新規作成していては大変な手間になります。また、アプリごとに操作が異なるなどの不一致が生じかねません。そのような事態を防止するためには、このような基盤定義が不可欠になります。
BSMプラットフォームは昔(2015年以前)はありませんでした。Coupaが上場後に、買収を通じた大幅な機能強化を図ったのと並行して作成されました。そしてそれ以降も、新機能を追加していく際の基盤として用いられています。今後も様々な新機能の追加が、買収によって行われると考えますが、このような基盤があれば安心です。
ところでこのような購買アプリケーション統合のプラットフォームの考え方には、A.T.カーニー (カーニー)が2018年7月に論考「The Future of Procurement Technology: Mediocrity Is No Longer Acceptable」で提示した「AI hub」の概念があります。全領域をカバーする購買スイートと呼ばれる製品よりも、各機能ごとに優れたスタートアップ製品が登場しているので、それらをAI hub基盤上で組み合わせて活用する方がよほど優れているとする考え方です。
しかしこの考え方、途方もない無理があります。まず優れたスタートアップ製品を見極め、選び出すのが素人目には大変に難しいのです。いいなと思って選んでも意外に使えなかったり、もっと良い類似品が存在したりと、選び出すには大変な「目利き力」が必要になります(考えると、私などは眩暈がしそうです)。次に、各製品をどう連携するかという汎用的なデータ経路もかなり難しい。業務ごとの基本形はあるものの各製品で特色あるデータ連携が定義されていたりもします。また、データ連携ルールのAPIも製品ごとに異なっていて、統一されているわけではない。これを素人が本当にうまく連携できるのか、それには大変な労力が要るのではないかと考えてしまいます。
それならば、連携する製品を専門家の「目利き力」で判定し、それをBSMプラットフォームという連携基盤で統合して提供してくれるCoupaのようなベンダーにお任せしてしまう方がよほど楽なのではと考えてしまうのですが、いかがでしょうか。
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