YouTubeの奴隷と化して釣りサムネを垂れ流す【切り抜き師を1年やった感想あるいは懺悔、あるいは言い訳】
どうも、てんぷらです。お久しぶりの方はお久しぶりです。
切り抜き師経験をゆるく振り返る
Vtuberの切り抜き師を1年くらいやって、紆余曲折ありちょっと病んでVtuber自体からしばらく離れていた。
やってみて見えたこともあるので退職エントリ(?)じゃないが感想や所感を残していきたい。
あるいは懺悔、あるいは言い訳である。
始めた経緯【ニートになったから】
切り抜きを始めた経緯としてはシンプルに激務で病んでニートになり時間があったから。その間にENVtuberにハマり、翻訳切り抜き、特に日英字幕のものを見て自分でもやってみたいと思い素直に始めた。
楽しかったこと
まずは楽しかったこと、良かったことから。
動画編集、画像編集、YouTube投稿の勉強になった
これは普通に人生における収穫だなと思うんだけど、YouTube投稿に関して一通りの知見が身に付いた。ちょっとだけ仕事もした(営業がしんどくて辞めた)。
あとYouTube投稿に慣れると、YouTubeを見ているときでも投稿者の狙いに敏感になるので、釣りサムネを踏みにくくなった。
受動的にVtuberを見るだけでなく、能動的に創作に参加できる楽しさ
後で話すけど、僕はオタクをやるのが下手なので、ひたすらに見る、ひたすらに推すという比較的受動的な形で何かを楽しむのが下手だ。
切り抜き活動は半消費半生産みたいな、オタク下手なりにVtuberを楽しむという点では良い楽しみ方だったんじゃないかと思う。(切り貼りしてるだけで何も生んでないだろというクラシックな批判は甘んじて受け入れる。)
ファンからの感謝、交流
特に翻訳動画だったからというのもあるけど、「翻訳助かる」「勉強になった」というダイレクトに僕に対する感謝はシンプルに嬉しい。(前職では無駄にある英語力があまり役に立たなかったし、罵られこそすれあまり感謝されない仕事をしていたので余計に。)
病みつつもそれなりに長く切り抜き活動ができたのは視聴者のおかげにほかならない。ありがとう。
しんどかったこと
さあここからが本題である(絶望)
Vtuberとファンに誠実でありたいという気持ちと、それに逆らうYouTubeの悪魔のささやき
切り抜き界隈と言えば、業者が収益化目的で釣りサムネや誤解を招く表現でVtuberに迷惑をかけていることが良く問題視されているけど、実際にやってみて思うのは、中には純粋なファン活動・二次創作活動として切り抜きを始めたものの、YouTubeの悪魔のささやきにあてられて、結果的にそのような業者と同じことをしてしまうようになった人たちも少なからずいるんじゃないかと思った。
というのもお金うんぬん以前にYouTubeの魔力がヤバい。動画がバズると脳汁が出るし、「他にもこんな動画が伸びていますよ、参考にしてね」とYouTube Studio(投稿者用のアナリティクスツール)が見せてくる他チャンネルの動画は軒並み釣りサムネなので、YouTubeの言うままにPDCAを回すと自然と業者みたいなチャンネルになる。
僕も最初は純粋に面白い翻訳動画を作りたいというモチベーションから始まって、気が付けば伏字サムネをポンポン作るようになっていたし、大した収益も出ていなかったのにバズに呪われたモンスターがごとく動画を伸ばそうと躍起になっていた。切り抜きはお金目的と批判されがちだけど、そういわれるほど稼げてない、あるいはまったく収益化できていないのにバズの快感が忘れられなくて切り抜きを続けている人は案外多いんじゃないかと思う。
そして自分の創作物がバズる快感を忘れられないのならまだいいけど、切り抜きは他者の創作物の切り貼りだ。なのに伸びると承認欲求が満たされてしまうからたちが悪い。「ジャイアンはすごいだろ」というスネ夫型の承認欲求モンスターである。
そうしてだんだんVtuberを純粋に楽しめなくなり、大したことを言っていない他者の発言の切り貼りを「こんなすごいこと言っていたよ」と必死に売り込む自分の滑稽さが俯瞰できるようになると「何やってんだ?」となる。
同時に翻訳動画だからそもそも誤解を生みやすい、バズりたいから危うい文脈を切り抜きがち、ビビりだから嫌われたくない・迷惑をかけたくないという性質が重なって結果的に日英両方で死ぬほど下調べして保険をかけまくりながら動画を作っていたので、シンプルと作業量と心労が多かった。
(「誤解を生まないように丁寧に切り抜いてくれてありがとう」と言ってくれる聖人のような人がいっぱいいたが、違うんだよ。結局は承認欲求のために危うい文脈を切り抜いていただけなんだ。)
スネ夫型承認欲求モンスターであることの滑稽さ、サムネで釣るくせに誤解を生まないように死ぬほど下調べしているという歪み、それでいてその保険がうまく働いてしまって視聴者に感謝されるというキショビビりマッチポンプをしていたらふつーに病んだ。あまりに自己責任。まあ他にもいろいろ要因はあるけど。
あとちょっと話がそれるけど、Vtuber事務所はあえてかなりゆるく切り抜きを取り締まっているんじゃないかなあと思った。
事務所やVtuberに迷惑をかけるなと批判される切り抜き界隈だけど、当の事務所が認知度アップと炎上リスク・誤解リスクを天秤にかけた上であえて野放しにしているんじゃないかと。実際たまに消されている切り抜きもあるらしいので、悪質な切り抜きで溢れているように見えるYouTubeは実は既に検閲済みなんだと思う。
ファンが守ろうとしている事務所こそがリスクを承知で攻めた切り抜きを許容しているという皮肉な話。全部想像だけどね。でももっと厳しく取り締まろうと思ったらできないことはないはず。
Vtuber界隈特有の空気と毒
あとはVtuber界隈、基本的にどろどろしすぎている。
転生、卒業、炎上うんぬん、、、リアルでもバーチャルでもスキャンダルはみんな大好き。そこにあやかって再生数を取っていた僕が言うのもあれだけど。
最近は割と転生が当たり前、モデルを引き継いでの事務所移転事例、出産を発表する人が出てきているなどだいぶメスが入ってきて、Vtuberが完璧で究極のアイドル、あるいは愛のある嘘つきである必要がどんどんなくなってきているのはいいことだと思う。
が、同時にユニコーンの死体が増えているし、虚像を偶像に変える優しい魔法であることもVtuberの良さの1つだと思うので、Vtuberを生活のあるひとりの人間としてチルに推すのもよし、クラシックなアイドルとして推すのもそれはそれで住み分けとして残っても良いんじゃないかなとも思う。そういうアイドルになりたい人もいるし。
話がちょっとそれた。とにかく切り抜き活動をしていると、そのどろどろさに晒されやすいのでちょっとあてられてしまったという話。
本当のファンのまぶしさ
僕はENVtuberを見始めてから切り抜きを始めるまで2か月もなかった気がする。切り抜きをやるくらいならちゃんとファンでいないといけないというプレッシャーを勝手に感じていたので、一生懸命Vtuberを見ていた(この時点で本末転倒である)けど、僕は先ほどちょっと言及した通り昔から熱中するのが下手というか、オタクスキルが低い。
好きなアニメがあってもOVAまで追うわけでも原作小説まで必ず読むわけでもないし、好きなバンドがあっても全リリース追うわけでもない。このゲーム面白くて昔から好きなんだと友達に貸したら3日で知識量で負けるようになるみたいなことが多々あり、オタクやれないコンプレックスがずっとある。
ちゃんとファンしなきゃとVtuberを見ていると、前世から追っていて長時間でも深夜でも全配信リアタイしてるみたいな猛者がいて、配信に来れば必ずスパチャ、特段しんどそうでもなく配信が終われば「今日も楽しかった」とタグをつけてつぶやいている。(本当はしんどかったらごめん。もしそうだったら悲しすぎるなぁ、、、)
僕は眠かったら寝るし長いアーカイブはコメ欄のスタンプに頼ってつまみ見る。金がニートなのでなかったから当然スパチャもしない。(金があっても自分程度の偽物のファンがしていいのかという葛藤を抱きそう)
兎にも角にも本当のファンたちがまぶしく、昔からあるコンプレックスが刺激されるのがしんどかった。
輝くファンたちに幸あれ。
今とこれから
切り抜きをやめた後の1年の間、一時期「結局Vtuber事務所も釣りサムネを容認して、、世の中結局お金稼ぎなんや!」とこの上なくナイーブな病み方をしてかわいい闇堕ち(?)をし、アフィリエイトとかお金稼ぎ一直線みたいな活動をちょっとしたけどやっぱり虚無でしんどいので挫折した。
そのあと別名義で二次創作じゃないゼロからの創作活動を始めたところ、これがそこそこ見てもらえていてちょっとしたお小遣いになっている。ちゃんと自分から生まれたものが評価されるのは嬉しいし、正しい承認欲求の在り方な気がする。(承認欲求自体は克服できない)
あと激ゆる事務職に就職もした。脱ニートだけどゆるすぎて将来が不安なのでいずれ転職はすると思うが、やりたいことをあれこれ試せる余裕があるのは助かっている。
ある種切り抜きを始める前のニュートラルな状態に戻れたわけだけど、やっぱりVtuberはいいなと思うし、何かその世界で作りたいなという欲求はある。
具体的なことな何も決まっていないけど、字幕作成の知見が無駄にあるのでそれを還元したり(英語字幕付けたい個人Vは多いんじゃないだろうか?実は工夫すれば英語力0でそこそこの英語字幕を付けられる)、何かしらの形で切り抜きスキルも役立てれれば思う。
切り抜きはまたまっさらな気持ちで作りたいなあと思えたら作るかもしれない。なんかVShojoめっちゃメンバー増えててビビる。
感謝
切り抜き師時代に温かく接してくれた方々に感謝をしたい。
結果的にしんどくなってやめた切り抜き活動だけど、同時にVtuber界隈の温かさも教えてもらったように思う。Vtuberとそのファンたちに幸あれ。
あとがき(本当に作ってよかったと思う切り抜き集)
この駄文を書くにあたって過去の活動を振り返ってみたんだけど、マジでいいもの作ったなあと思える切り抜きもあるので貼っていく。(なんで?)
以下3本は特に活動終盤の切り抜きなので編集スタイルが安定している。前半は日本人向けなのか海外向けなのか安定しなかった。(多言語チャンネルの運営ノウハウも還元できるかも)
この3本はまだ日本向けか海外向けか軸がブレていたころ。1本目の動画が初めて伸びたんだっけなあ。
最後の動画は短いけどKsonの海外勢との、さらに相手側のTwitchでのコラボというかなりディグったところから切り抜いていて、翻訳切り抜き師の価値を発揮できた気がして気に入っている。
チャンネルで伸びてるのはやっぱりちょっとした事件というか、危うい文脈を切り抜いたものなんだけど、作ってて楽しかったのはやっぱりエンタメ純度高いものだなあと思う。