小説の資料+2 ドラゴンの飛ばし方
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1.お品書き
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
本日のテーマは『リアルなドラゴンの飛ばし方』です。
ファンタジー系統の話題では、テンプレートを中心に、よりリアリティを増すためにどうしたらいいか、というより僕が納得いかんところに理屈をつけるシリーズで、異論は認めます。僕のファンタジー系の作品ではよくドラゴンが出てくるので。
にわかなので間違いが見込めますので、発見された方はお気軽にご指摘くださいませ。
吾輩は常々疑問に思っていた。ラノベではお気軽にドラゴンが飛んでいるが、どうやって飛んでいるのかと。
ということでドラゴンの飛翔及びこれによって齎される物理現象について考えてみたいと思います。
とはいえお気軽に飛ぶ理由としては『魔力』というのがオーソドックスなところです。けれども『魔法』というものに熟練やら種族特性という縛りをつけるのであれば、その効率化や飛ばし方について違いは出るのだろうと思うのです。
2.種族による違い
空を飛ぶ爬虫類といえば大きく2つに分かれる。
① 頭の悪いトビトカゲ、ワイバーン
② 叡智の結晶人類の及ばぬドラゴン及び龍
この2つがよく出るものとしてあげられるが、その姿かたちはテンプレート的には若干異なっていることが多い。
集合的に考えれば、ワイバーンは手の代わりに翼が生え、動物的な動きをし、人語を解さないプテラノドンイメージに近い存在。ドラゴンは手とは別に翼を背面に持ち、その翼は客観的には生み出す浮力のみで飛ぶには重量が重すぎるシロモノで、人語を解し魔法を使う人知を超えたり超えなかったりする、少なくとも人よりお馬鹿なドラゴンというのは母数の少ない存在。
こんな感じじゃないかな。
では差別化をしよう。作中に出てくるワイバーンなんだかドラゴンなんだかよくわからん存在を区別することによって、ドラゴンのスペシャリティを浮かび上がらせるのだ。
3.ワイバーン考察 トカゲはいかに空を飛ぶのか
ワイバーンはその羽根の大きさにもよるが、魔法を使わなくても飛んだように見える可能性は高い存在だと思う。何故ならばプテラノドンという前例があるからだ。魔法を叡智に位置づけた世界観では、トビトカゲは魔法を使えないはずだ。以下、ワイバーンは魔法が使えない前提とする。
ではワイバーンはどうやって飛ぶのだろうか。大抵のワイバーンが用いる翼は鳥ではなくコウモリのような被膜である。
飛翔には分類がある。
鳥やコウモリの羽ばたきによって揚力を利用する羽ばたき飛翔、ハチドリや昆虫等のホバリング、大型鳥類の上昇気流を利用した帆翔、モモンガなんかの滑空だ。滑空は厳密に言えばその翼に風を受けて落下するだけなので、基本的にはその飛ぶ過程で上昇することはない。
さて、問題は同じ哺乳類であるのに何故モモンガは滑空しかできず、コウモリが飛翔できるのかだ。それはモモンガに比べてコウモリがはるかに軽いからである。うちにもいるフクロモモンガのオスの平均体長が12.7-15.2㌢、体重は115-160㌘だそうだが、都会によくいるアブラコウモリは平均体長4-6㌢、体重は5-10㌘だそうだ。圧倒的に軽い。
なお鳥類はその羽根で空気を掴んで上昇しやすいため、鳥類は翼の先端を用いて飛ぶのに対し、コウモリは翼全体を動かして飛ぶ。労力は大きい。そしてコウモリは何もないところから飛ぶのは苦手だ。だから止まるときは頭を下にひっくり返っていて、その落下の際に風を掴んで飛ぶ。
つまりワイバーンは恐ろしく軽いか、滑空をする存在だといえよう。
結論として、魔法が使えずに自由に飛ぶワイバーンは軽い。軽いということはその物理攻撃力はたいしたことはなく、攻撃は鋭い爪や毒といったものがメインとなると思われる。滑空するだけのワイバーンは飛び始めるには高所が必要だ。物理的な質量があるため体当たり等の打撃力はあるかもしれないが一旦地上に降りてしまえば大きなトカゲと変わらない。
それでは次はどうやってワイバーンに対処するか、だ。
冒険者単位で考えてみよう。いずれのパターンにしろ、飛べなくなればトカゲと同じワイバーンは、その被膜で飛んでいる。とすれば、被膜を破って地に落とせばいい。あるいはこちらも風が扱えるとするならば、乱気流を巻き起こす。そうすれば奴らはうまく飛べない。あとはトカゲと同じだ。
対街対国(特別な力を持たない一般人の戦い)で考える。ワイバーンは平地から飛び上がるのが苦手だ。だからおそらく、高地に住んでいる。まずは平地に国を立てよう。そしてその周囲、特に山側を高い城壁で囲うのだ。平地から高く飛翔することのできないワイバーンはそれだけで街区に到達することが防げるだろう。城壁にとりついて登ろうとするワイバーンには、上から落石や落槍を落とす。城壁を磨き、とっかかりをなくし或いは油をまいて登れなくする。そうすればきっと、撃退できるはずだ。
4.ドラゴン考察 理解の範疇外の存在はどうやって空を飛ぶのか
叡智の結晶ドラゴンは、巨体とそれによる物理力をも兼ね備えている。だから魔法を使って飛ぶ。そうに違いない。
何故ならば、重力がある世界を前提とすれば(というかなければ大抵のラノベは成り立たない)空を飛ぶにはそのサイズに限界があるからだ。現存する最大の鳥類であるワタリアホウドリは体長120㌢体重7㌔、翼開長300㌢という。
二乗三乗の法則というのがあってだな、物体が大きくなっても同じ素材で作られるなら、その物体の重量は体積に比例して三乗で増える。つまり大きさが2倍になったら最大筋力は4倍になり、体重は8倍になる。
それを克服するために、骨を空洞化させて筋肉以外の体を軽量化させて飛ぶわけだが、つまり物理攻撃力は落ちる。しかしイメージの中のドラゴンというのは肉がつまっているはずだ。だから早々に自力で飛ばすのは諦めよう。
そうするとドラゴンを飛ばす魔法を考えよう。
「魔法で空を飛ぶ」という言葉は「電気でお湯が沸く」というくらい意味と機序がさっぱりわからない言葉である。魔法で飛ぶにはどうすればよいか、考えるのだ。
なお、特撮なんかではよく考えられているものがあってだな、ガメラはその腕や足、頭としっぽ部分を収納し、そこからねずみ花火のように下方に炎を出して回転しながら飛ぶ。だから目に頼らない外部確認の方法(地磁気を読んだりソナーを打ったりしているのかな)を持っているはずだ。2代目ゴジラは自分の尻尾を掴んで斜め下方に放射熱線を吐くことでいわばロケットエンジン的に空を飛んだ。
自分の世界ではこのような方法でも魔法と呼ぶべきなのだが、ラノベのドラゴンはそんなかっこ悪い飛び方はしないので、魔法(メタ)について考察しよう。
オーソドックスなのは風魔法だ。
① 単純にドラゴンに対して風を発生させて持ち上げる方法を考えよう。
強風で人が空を飛ぶイメージ。その巨体に風をたたきつけ、ただ風のみで浮かすのにはどれほどの風が必要か。
F=A・v^2・ρ
飛ぶには風をうける表面積が重要だ。一方向から面的な強風を発生させ、それを一定の体表面で受けて飛行する。面倒くさいし、おそらく周囲の被害が甚大だ。多分周りの山の木は全て吹き飛ばされ、はげ山になる。
風のみで浮き上がるとするならば、その風が生じる石礫や飛来物によって戦闘どころではないだろう。勇者(ドラゴンを倒そうというトンチキを安易に勇者と呼ぶことにする。)は簡単に吹き飛ばされるはずだ。
岩山に閉じこもっているならともかく、人が住む地には去来しない。なぜなら緑が残る地というのはそれだけで、このタイプのドラゴンが来る場所ではないことを示す。もし現れるとしたら、勇者がいらんちょっかいをかけて追いかけてきたときの可能性が大きい。
② ドラゴンから風を発射させることを考える。
ペットボトルロケットのように何かを噴射して飛ぶ。ロケットエンジンでもいいや。この方式で行くならば、勇者は想定何㌧もありそうなドラゴンの噴射を直下で浴びるわけだ。ドラゴン飛翔の瞬間に近くにいれば、大きく吹き飛ばされるはずだ。ドラゴンが滞空するならダウンウォッシュも考えなければならない。ヘリコプターの直下にいると吹き飛ばされるのと同様である。
①と②の双方を同時に行う場合は消費魔力はおそらく減るだろうけど、その2つの力がぶつかるわけで、その被害は益々甚大だろう。
そんなことをしててはなかなかドラゴンを倒すどころか近寄ることすら困難である。というか、そんな面倒くさい風被害を考えるのが面倒くさいから、うちのドラゴンはたいてい登場時に既に飛んでいるのだが、それはさておき別の機序を考える。
③重力、斥力等を改変する。
そもそも一定以上の大きさのドラゴンは重力を制御できるはずなのだ。そうでなければ自重とその体にかかる重力で動けなくなるはずだから。
生物のサイズというのは強大な作用である。
さて、突然地球世界の話をすると、現在地球は素粒子間に相互に働く『強い力』『弱い力』『電磁気力』『重力』という4つの力の作用で成り立っている。重力の伝達粒子である重力子はこの地球世界で未だ発見されていないが、地球の物理定数を前提とした異世界でも同様の働きが存在すると考えられる。そうでないと転移勇者が生存できないからな。
とすればドラゴンの行使する魔力はその重力子に何らかの方法で働きかけるものではないか。重力を自由に操ることによって他対ドラゴンの重さをキャンセルするのだ(自分で言ってて意味がよくわからないが、発見されていないので放言することにしている)。
ただしそれには限度があり自己の表皮の内側外側レベルに話をとどめておかなければならない。質量をもたず無限の彼方まで届くといわれる重力子を自由に操る設定にしてしまうと、惑星の運行も自由にできてしまうので(あれ? メテオストライクってそういうことなのか?)。
この手段をとるのならば①②の影響を低減でき、ようやくドラゴンの飛翔によって甚大な被害を被らずにドラゴンに近づくことができるのだ。あと、攻撃する際は重力影響をキャンセルしないと自らの攻撃が軽すぎてノダメになるので、おそらく飛べるドラゴンは成長するにつれ、①~③を自動で調節できるレベルに熟練している。できなきゃ自重と重力で死ぬ。
そして③で重力を軽減すれば、あとは少しの風で飛べる。台風を現出させる必要もない。自由に風を吹かせることができるということは、ジャイロのようにその場でとどまることもロケットエンジンのように加速するのも思いのままだ。だから自分のドラゴンの飛行イメージはドローンだ。重力制御は生存に必須だから、あとは僅かな風を発生するだけの魔力で大空を飛べるのだ。
恐ろしいなドラゴン。さすが叡智の結晶といわれるわけだ。遥か長きを生きるものよ。どうやって倒すんだよ。
でも倒さないと話にならないから考える。
そのような超絶生物だから、人間なんてなめてるとしか思えないのだ。だから油断を誘った上で魔法効果をキャンセルする道具を使って速攻首を切り飛ばす。闇討ちに近い。まあうちのドラゴンは他の方法で倒してるんだけど、魔法効果をキャンセルする方法はいずれ機会があれば書こうかな。長くなるので。
飛べず重いドラゴンなどはやはりでかいトカゲである。その強大な攻撃力をふるうまでもなく蹲って動けなくなり、首を落とすだけだ。なお、ブラキオサウルスは45㍍くらいあったようだが、あれは鳥と同様、気嚢が体内にあり見かけに反して体が著しく軽かったといわれている。でもドラゴンの中身を風船にしたら物理攻撃力がなくなるのナシしなのだ。
もう一つはものすごく達者な風魔法使いがいれば、ドラゴンのまとう風にあわせて気流を循環させ、ボルテックス・リング・ステートを起こして墜落させる。簡単に言えばドラゴンが作る気流を打ち消すんだ。でもこれ、多分ドラゴンの叡智に相当するくらいの空気読みができないと無理だと思う。
対街対国戦はあきらめよう。
アイツラは自在に空を飛び、魔法を使い放題だ。対処しようのない高高度から雨やら槍やら魔法やらを降らせてきてもおかしくない。ドラゴンに喧嘩売るような王様にはクーデターを起こすべきだ。
5.おわり
ファンタジー方面のエッセイはますますまとまりません。なにせファンタジーなので。みなさまも頑張ってドラゴンを倒しましょう!
宣伝です! とはいってもNoteで公開しているファンタジーがこれ1本しかなく、しかもドラゴンが出てくるのは2章でサイバーパンク的に機甲マシンにのって倒すんだけど、手が空いたら持ってくるかもしれませんがとりあえず普通のファンタジーの1章をおいてみます。
ではまた。
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