赤崎暁 パリ五輪6位入賞の高地練習に密着
パリオリンピック男子マラソン6位入賞日本人1位の赤崎暁選手。赤崎は今回のパリオリンピックのフルマラソンを2時間7分32の自己ベストで走り、従来の日本人の男子オリンピックマラソン歴代記録である2時間10分33秒を3分も更新した。また、4か月前に行われた10000mの日本選手権では7位入賞で自己ベストの27分43秒84を叩き出した。今回はパリオリンピック4か月前、日本選手権7日前の長野県東御市での高地トレーニングに密着した。
<赤崎 暁 選手について>
所属 :九電工
大学 :拓殖大学
ベスト:5000m 13分27秒29
10000m 27分43秒84
ハーフマラソン1時間01分46秒
フルマラソン 2時間07分32秒
拓殖大学時代には箱根駅伝を4回走っており、4年次には主将を務めた。その後九電工に入社し、初年度からニューイヤー駅伝に出場。オリンピック出場選手を決めるマラソングランドチャンピオンシップ、通称MGCでは実力者を振り切り2位に入り、今回のパリオリンピックマラソンの代表選手の座を勝ち取った。
取材の詳細はYouTubeにも掲載されています。是非そちらもご覧になってください。
日本選手権1週間前高地トレーニング
日本選手権を1週間後に控えている赤崎。赤崎が所属している九電工の選手やトライアスロンの日本代表であるニナー賢治選手と共に長野県東御市でトレーニングを行った。1週間前のポイント練習として、3000m(8分15秒)と2000m(5分30秒)と400mを2本(57秒)を行うようだ。3000mと2000mは1キロ2分45秒ペース。10000mに換算すると27分30秒。マラソンで求められるスピードよりはかなり速いペースだ。この日は風が強く厳しいコンディション。本日行われるメニューは、合宿も終盤に差し掛かり、1週間後に控える日本選手権に向けてレースペースでの調整の為の3000m、2000mとラストを切り替える為の400mといった意図があるようだ。日本選手権1週間前のポイント練習だが、最初の3000mを誰が引っ張るかを笑顔で会話する様子が見受けられ、リラックスしているようにも思えた。
風が強い中、標高1000mのトラックでポイント練習がスタートした。400m66秒ペースで行う。合宿終盤であり、風が強く厳しいコンディションの為、全て練習をこなすことができない選手や余裕がなく見える選手もいた。だが、そんな厳しいコンディションの中でも余裕そうに練習をこなす赤崎。最初の3000mを設定通り8分15秒で終えると、次の2000mは赤崎が独走に。設定どおり2000mを5分28秒でこなした。そして最後に400m。こちらも最後は独走となり、設定どおり57秒でこなした。
九電工男子陸上部総監督を務める綾部健二さんも、風の中で思いのほか苦しかったと思うが、赤崎は全て設定どおりこなし、いい刺激が入ったかな、と語った。
練習後、赤崎は、楽しそうに仲間と談笑し、トライアスロンのオリンピックの日本代表のニナー賢治選手に対し、いい動きでした!と声をかけ、明るい表情だ。
とても仲のよさそうで良い雰囲気のチーム。ダウンもみんなで談笑しながら楽しく行っていた。いつも練習が終わった後は和気あいあいと仲良くしているようだ。
九電工陸上男子部総監督を務める綾部健二さんの考え
また、九電工陸上男子部総監督を務める綾部健二さんにも話しをうかがった。
赤崎にとって今年の10000mの日本選手権はマラソンに向けての弾みとして、自己ベストと8位入賞を目標として出場していたようだ。
パリオリンピックの男子マラソンの代表を決めるマラソングランドチャンピオンシップ、通称MGCで見事2位に入り代表の座を勝ち取った赤崎。MGCの時は、事前に行われたホクレンディスタンスのマラソンより短いトラックレースでスピードを磨いてからMGCに挑んだ。今回も同じように、日本選手権ではスピードの質をあげて、スピードに余裕をもってパリ五輪のマラソンに挑みたいといった狙いがあるようだ。
また、パリ五輪のマラソンコースはアップダウンがとても厳しいため、坂対策も行っているようだ。起伏の多いコースでトレーニングをするなど工夫をしているそうだ。代表内定が決まった後から坂の対策を行い、日本選手権が終わった後にまた行う予定のようだ。
九電工は高地トレーニングを行う頻度は実業団の男子チームの中で多いようだ。レース前の高地トレーニングは、基本的に2日前まで行い、そこからレースの会場に向かうといったスタイルをとっているそうだ。
また、九電工全体このことを考えて、選手によって練習の組み立て方を変えているようだ。赤崎はこの日本選手権が終わった後に本格的にマラソン練習へ取り組み、他の九電工の選手はトラックレースに向けて強度をあげ記録を狙いに行くそうだ。
赤崎は九電工に入社当初、そこまで目立った選手ではなかったため、このようにオリンピックに出ることに対し、綾部監督は、身近に日本代表がいるということが練習することで自分もこうなることができると思ってもらえるなど、いい影響があると思っているようだ。
パリオリンピックスタート
日本選手権10000mを自己ベストの27分43秒84で7位入賞を果たし、好調を維持する赤崎。初めのオリンピックに挑んだ。25キロ付近では、一時はレースを先頭で引っ張る姿も。初めてのオリンピックで堂々たる走り。
41キロ地点。続々と前の選手が通過する中、全体5位、日本人1位で通過。その後ゴールまで駆け抜け、初オリンピックで6位入賞の素晴らしい功績を残した。タイムも 2時間07分32秒。自己ベストであった。アップダウンがあるタフなコースで、日本代表という緊張がある中、従来の日本人にオリンピック最速記録である2時間10分33秒を3分も更新する大快挙であった。
赤崎選手のこれからが楽しみだ。