一日外出録ハンチョウ、マジで変すぎるって。
まずお願いがある。
この記事を読む前に、こちらを見て欲しい。
これは本日無料公開された、カイジシリーズのスピンオフ『ハンチョウ』のある一話である。
お願いがある。
とやかくいわず、まずざっくりと目を通して欲しい。
目を通したら、スクロールしてほしい。
変すぎるって。
え、今回何? ヤバいって。怖い。何がどうなってるの?
私は今ひどく混乱している。ハンチョウ、どうした。ハンチョウはすごいことを今している。
気を取り戻そう。今回のハンチョウ、別に前提なくこの回が出された訳では無い。
今回の話は前提となるストーリーがある。
あらすじはこうだ。
ヤバいって。
前提でこれを出すんじゃないよ。すごいことをさせているな。
今回、色々変なことが折り重なっているが、それらを要素分解してベラベラしゃべっていきたい。
おそ松さんがいる
なんで?明らかにおそ松さんがいる。確かにハンチョウはある程度パロディ要素を多く取り入れている(Slay the Spireに酷似したゲームが登場する)が、にしたってそれらにも文脈がある。必要だから、パロディをするのだ。
六つ子、いる?いらない。この時点でいつものハンチョウと比較してイレギュラーであることを示しているといえよう。
ちなみに入幕できたことを自慢する武士がいるが大槻は歴史マニアなのでこれはOKとする。
イマジナリー息子の自我
これが今回のミソであり、この回をイレギュラーたらしめている所以である。原初の息子・時生に芽生えた自我、そして感じた絶望。自らの出自を察してしまった彼はその苦しみを親父―もとい自分を『生成した』男性―に吐露する。
冒頭、大槻のイマジネーションが息子たちの行動を至極自然に引き起こす旨が説明されているが、にしたってこれは明らかに異常行動である。本来こういう展開は現実世界のアンドロイドとかでやるんだよ。現実世界の人間たちと、ぶつかり合っていくストーリーであるべきなんだよ。デトロイトビカムヒューマンを中年男性の脳内で展開するんじゃない。
……いや、これは先ほどの話からすれば自然なのかもしれない。大槻の脳内息子シミュレーションは、日を増すにしてその精巧さ・現実性を研ぎ澄ましていく。その過程に特異点のような、突然変異のような、恐ろしいものが発現する可能性は宇宙的に見れば往々にしてある。超現実を知ることができた、もしくは知ってしまった男。それが時生である。
オチ、何?
オチさえ、オチさえ普通のハンチョウになってくれれば。オチがいたってシンプルなものになっていれば、これはギリギリ『ちょっと変わった回』になる。なるはずだった。
オチがああなせいで、今回が徹頭徹尾完全に変すぎる回になってしまった。あーあ。
別にこの、世界がイマジナリーであるかもしれないという問い自体は誇張の夢という形でフィクションに活用されている。しかし、なんか、変だ。私の稚拙な文章では言語化できない、変さがずーーーーーーっと一話につきまとっているのだ。
この読後感を、ハンチョウで感じるとは思っていなかった。心をかき乱すだけかき乱して、最後にまたかき乱して帰る。なんなんだ、これは、どうすればいいのだ、もうわからん。読者が思考を放棄してしまうのだから、一体作者の方々(上原求様、新井和也様)は何をどうして原稿を完成できたのだ。あの、大丈夫ですか?休んでもいいですよ。たまには。
おわりに
ここまで書いてしまって信じてもらえないかもしれないが、私はハンチョウが本当に大好きだ。単行本を欠かさず購入し、楽しませてもらっている。普段自分のnoteを腐らせている、それどころか文章もまれにしか書かない私がここまで筆を進められたのも、ハンチョウを心から大好きと思っているからである。手が非常に鈍っているため、目も当てられないほど単調で幼稚な部分が多数みられることであろうが、どうか私のハンチョウ愛に免じて許してほしい。
それに私はこういう回が本当に大好きだ。ハンチョウがハンチョウである理由というものが、この回にギュッと凝縮されている。昨今のブームによってスピンオフ作品というものはその数を急速に増加させたが、その中でもハンチョウはパイオニアにして途方もない異常性を孕む。それこそ、私がハンチョオウに今の今まで心惹かれている最大の理由だ。
わざわざここまでスクロールしてくれて、ありがとう。ほんとうに。今まで読んできていた人はこの感情を一緒に嚙み締め、読んだことがなかった人はこの新しさを分かち合おう。そう……
この世界も・・・・・・・・・・・・
もしかすると誰かの・・・・