#高石市の事件を考えよう。事件後の世界。

大阪府高石市で、部下や利用者の女性らに準強制性交・準強制わいせつを行った疑いで、障害者等相談支援事業所の代表、渡邉和美(55)が逮捕された、と報道が出た。
2023年2月9日現在で彼はすでに三回逮捕され、起訴中であるという。
被告は、「心は女性で、女性の体には興味がない」と言って犯行に及んだ。

私たちはこれまで、
「性自認によって男を女とせよ。女はそれを受け入れろ。排除は差別だ。性別の確認は当事者を死に追いやる行為だ」
といった主張に対し、
さまざまな危険性、問題点を指摘してきた。
長い人ではもう何年もこの問題に取り組んでいて本当に頭が下がる。

短期的・直接的な影響としては
子供や、障害のある、
判断力・訴える力・逃げる力・通報する力・腕力・情報を得る力等に
とぼしい女児・女性から
性犯罪のターゲットになるだろう、
という点に、特にずっと懸念を表明してきた。

懸念、なんて言うのも生ぬるい。
絶対に起きるのは、わかりきっていたことだ。
そのたび苛烈な「差別者!トランスヘイター!」という
中傷や脅迫をぶつけられてきた。
それでも私が声をあげることをやめなかったのは、
被害が出てしまったら本当にどれだけ後悔しても
被害者の時間を巻き戻してあげることはできないと
性暴力サバイバーの一人として
残念ながら身をもって知っているからだ。

同じ思いを、これからを生きる女性・女児に
ひとりでもさせたくない。
それが多くの
「ターフ(=トランスを排除する過激フェミニスト)」
と呼ばれる、ごく一般の、そこらに居る、多くの女性たちの
願いだと思っている。

だから、報道を受けて本当にショックだった。
無力感と怒りと悲しみに打たれ、体が震えて立てなかった。
「ターフ」と呼ばれてきた女性たちも
それぞれが苦しみ、また
自身の性被害体験などがフラッシュバックしてしまった人も
たくさん
居たことと思う。

いっぽう、
「トランス女性は女性です。心の性別を尊重しよう。性自認を受け入れよう✨」
と言ってきた人たちは、
どんな反応をしたんだろう。


>本件については“「性同一性障害」を装った男”が職場の上下関係を悪用して性暴力行為をしたのであって、トランスジェンダーは全く登場しない話。


>本文には『「心は女性だ」と偽り』と書かれているじゃないですか。「偽り」を抜いたら、トランスヘイトに利用される文意になりますよ。訂正して削除すべきです。


>装うシス男性は絶対無罪マン。(現在ツイート削除)

>女性を装い相手を安心させ性暴力を行うなど許されないのは当然です。
問題はこの事件を利用して、性の多様性を認めることがあたかも犯罪を増加させると宣伝し、古い家族観を押しつけ、マイノリティが生きづらい社会を温存する事だと思います。


>「性同一性障害装い」という部分に注目が集まりがちな事件ですが、権限のある立場を利用し、疑問を持っても言いづらい立場の人を狙ったという点では、組織の中で起こりやすい典型的な性暴力と言えます。



これらは
「心の性別を尊重しよう。それが多様性だ。シス男性にそうするように怖がったり警戒するなんて差別だ。犯罪者予備軍扱いだ。女性の中から排除するな。シス女性は特権を自覚せよ。トランス女性は女性だ」
と主張してきた人たちの、
今回の事件に関連して発せられたツイートの一部である。

誰一人として
「報道や警察は、被告の心の性別を否定している!」
と怒っていない。
むしろ
「彼は性自認・心の性別が女だなんて装い、嘘をついているのに、そんな言葉を持ち出すな」
「性同一性障害とかトランスジェンダーとかは無関係で、よくある性暴力だ」
との旨を言っているとしか解釈できなかった。

「性犯罪を起こしたら性自認が女というのは嘘になる」
なんて定義があっただろうか?
あるならその根拠はなんなのだろう。
擁護者が、誰かの性自認をバッサリ否定するのは、いつだって
自分の主張にとって都合が悪いから
それだけに見える。

あなたがたに都合の悪い「自認」なら切り捨てていいのなら、
なぜ
女には
「女性、特に障害者女性や女児には、体の区別を無視されるとことのほか都合が悪いんです」
と言う権利もないんだ。

事後にしかわからないジャッジ
「偽物で危険。騙されたんですよあなた。」
なんて、被害者のため、防犯のために
ゴミほども役に立たないことは明白だ。

こんなやり方で、こんな考えで、
こんな無責任さ、軽さで
つらぬけもしない、都合よくあっちへこっちへひるがえす
ガタガタの理屈で

よくも男を女として受け入れろと言ってきたな。

自認を疑ってはならない。
気にすんな。と。
嘲笑ってきたよな。


知っていたけど、予想していたけど、
被害者が複数出ても、
ここまで変わらないなんて。
建前だけでも、予想を裏切ってくれてもよかったのに。

私は絶対に許さない。
2023年2月7日に報道された事件を。

心が女性だという「自認」
メイクやスカートやネイルの「性表現」
すくなくとも数年もそうして生活している「女性としての生活実態」
あった被告。
「和美」は男性名とも取れるが、改名済でもあるかもしれない。

あなたたちが
「心の性別、性自認を受け入れろ。女性として生活している当事者を警戒するなんて差別だ。とてもひどいことだ。当事者を死に追いやるぞ」
という、その主張における
まさに「善なる行動」をした女性たちが被害にあったのに
「言葉巧みにだまされ、弱みに付け込まれた。卑劣で許せない」と嘆いても、
あなたたちは詫びさえしなかったことを。
再発防止のため、いったん黙って
自説のあやまちを振り返りさえしなかったことを。



私がどんなに言ったところで、
彼らは自分の主張、自分のポーズにしがみつくのに一生懸命で、
反省することはないし、このnoteを読むこともないだろう。

せめてまだ「どっちの主張もよくわからない」と思っている人は
彼ら自認主義者(とすら言えない、ただのご都合主義)の
今回の事件における態度を注視してほしい。

彼らの主張に、
「女性女児の安全と尊厳を守る」という方法も考えも
入ってなどいないこと、
よくよく見てほしいと思う。

声を上げてほしいと思う。

それが、ついに日本における「事件後」の世界に立ってしまった
私たちにもまだ、できることだ。


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